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はじめに
誰も待ってないかもしれないけれどお・ま・た・せ(©️Creepy Nuts『助演男優賞』)
今季の選手名鑑、MF編です。例によって長いので選手名リンクから読みたい選手の分を読んでもらえると幸いです。
GK, DF編はこちらから。
MF
MF 8 喜田拓也
Embed from Getty Images喜田さんだって岐路にいる
度重なる負傷に苦しみつつもチームの精神的主柱として振る舞い続けたキャプテン・ヨコハマ。ハーフシーズンとはいえ百年構想リーグでのスタメンはわずか2試合のみと、チームでもっとも苦しい半年を過ごした選手かもしれません。
どうしても「キャプテン」「チームリーダー」としての貢献を語りたくなる選手ですし、三井寺眞がその姿勢に憧れを感じて自主練を共にするようになったり依然として今の夜明け前のような状態のチームには大事なキャラクターを持ったお人だとも思っています。
ただ、どうしても選手としての昨季の喜田さんには疑問符をつけざるを得ません。本職のボランチとしての出場よりも明らかな守備固めとしてCBやSBを緊急で任されるケースが増えてきていますが、それもボランチとして山根陸と渡辺皓太にきっちり上回られたからだと思います。
長年課題視されていた攻撃での貢献度の低さは、シーズン当初こそ今まで見せなかった持ち運びなどで改善を見せてきましたが、それ以降は(任されているタスクの関係もあるのでしょうが)まったく見られなくなってしまいました。
一方で持ち味だったはずの対人守備でもスピードある相手のアタッカーに容易く振り切られるシーンが増えるなど、明らかにコンディションが上がりきっていないなと嘆きたくなるプレーぶりでした。あくまで主観ですがここ最近の喜田さんは前よりプレーに波があるように見受けられます。
チームを2度優勝に導き、残留争いのプレッシャーにも負けずJ1の舞台に止めた功績は計り知れません。
そして今なお彼の姿勢と言動がチームの支えになっていることは重々承知の上です。
だからこそ今季は「選手:喜田拓也」としての価値を改めて示してもらいたいと強く願っています。
悲しいかなプロサッカー界含めて運動部コミュニティでは試合に出られているかどうかが発言権に大きく関わってきます。マリノスを思いマリノスのために日々を積み重ねる彼だからこそ、ピッチの真ん中でリーダーになれるようポジション争いを改めて勝ちにいって欲しいわけです。
加えて、喜田さん自身の自助努力は大前提として、クラブやコーチ陣含めたスタッフには、喜田さんがピッチ外で背負っているタスクを改めて考え直して欲しいとも思っています。決して彼を信任していないわけではなくむしろ逆で、喜田さんがリーダーシップを発揮してしまうからこそ組織が甘えてしまう状況もあるのではないかと思うのです。あれです、ジャイアントキリングの達海猛が就任する前の村越キャプテンみたいになっているように見えるわけです。
背負わなくてもいいクラブの負債を背負いながら見えないところで奔走していてもピッチで「聖域」だなんだと思考停止な批判の槍玉として消費される喜田さんはもう見たくありません。
もちろん心労は計り知れないものがあると思いますが、それでも筆者のエゴを言ってよいのであれば、改めていち選手として、新監督の信頼を勝ち取り直し、中盤の底で誰もが納得する仕事ぶりをみせて若手に規範を示す喜田さんが見たいと強く強く願っています。
MF 14 知念慶 NEW!!(←鹿島)
Embed from Getty Images本当は期待されたくない
川崎所属時にFWとしてしれっとマリノスから点をかっさらっていった頃も今は昔、鹿島でのボランチ魔改造を経て、すっかりリーグ屈指のボールハンターとなって横浜にやってきました。マジでポポヴィッチはどうやってこのコンバートに辿り着いたんだ。
高さ・展開力・なんかボール獲れちゃう能力の三拍子が揃っており、なかなか中盤のフィルターがかからなかったマリノスの救世主になり得る選手といえるでしょう。コンバート初年度の2024シーズンでベストイレブンをかっさらっていった活躍ぶりが発揮されれば、知念にぃには中盤の軸になってくれるはずです。
2024シーズンでデュエル勝利数No.1に輝いた守備が注目されがちですが、低い位置からゴリゴリと運ぶ推進力やセットプレーでのヘッドやミドルシュートなどの飛び道具の多さも現有戦力にはない良さかなと思います。
懸念点は怪我の多さと動き過ぎの嫌いがあるところでしょうか。
前者は特に大きな怪我こそないものの、フルシーズン怪我なく稼働した試しがほぼないというところが引っかかります。渡辺皓太なき後ボランチの軸になってもらいたい選手ですが、酷使は避けたいところです。
後者は鹿島で知念にぃにを個人レッスンまでした鬼木監督のコメントが印象的です。
よりボランチらしくと言ったら表現としてあっているかわからないですけど、能動的な部分だけではなく、ゲームをコントロールしながらとか、彼の運動量の良さもありつつ、そのパワーをどこで発揮したら良いのか。そういうのがすごくボランチらしさで必要になってくるかなと思ったので、そういう話もしながら、本当に細かいところ『ここはターンできるんじゃないの?』『前に付けられるんじゃないの?』とか、そういうものを映像で2人で確認しながらやったりしました
Football Zone 『鬼木監督と再会は「イヤでした」 昨季ベスト11も出場減…二人三脚で目指した”理想”「日本人では出せない」』 2025.11.08
たぶん「ボランチとかよくわかんねえけどよぉ、とりあえず危険なエリアと相手ぶっ潰せばいいんだよなァ!?」みたいなコンバート当初から本格的な中盤の選手に脱皮している最中ではあると思うので、31歳とベテラン寄りの中堅ですが成長途中ゆえのエラーも覚悟した方がいいかもしれません。
そう思うと鹿島としても、マテウス・ブエノというJ屈指の本職ボランチを手に入れつつ、稼働率に不安が残る上に成長段階だけど年俸は抑えられない脂の乗った歳を迎えた知念にぃにをこのタイミングで売れたのは悪くない取引だったのかもしれません。
ともあれ、川崎時代も鹿島時代も苦々しい記憶を植え付けてきた選手が味方になるのは心強い限りです。ボランチとしての集大成を見せつけると共に、チームの中核としてマリノスを引き上げてくれることを期待しています。
プレーはとても雄弁ですが、ネガティブな一面も。自己分析では「期待されない時の方が上手くいく」「ボランチで上手くいったのは、CFからコンバートされたばかりで周りから期待されていなかったから」などと言うレベルです。
また大分での武者修行時代にはあんまり感情を表に出さないのでサイコパスと思われていたもよう。本人曰く「あの頃は尖っていた」とのことなので、今はいい兄貴分として若いチームを支えてくれ……ますよね?
MF 25 鈴木冬一
Embed from Getty Images大変恐縮ですがからしちゃんの動画供給多めでお願いします
伶俐な読みに裏打ちされたド根性守備と確かなテクニックで観る者をワクワク(心拍数的な意味で)ドキドキさせるLSB。久保建英、菅原由勢と共にU-17W杯でイングランドを追い詰めた「00ジャパン」の一員でもありますが今は離脱中です。
キャリアを通して3バックのWBとしてプレーした時期が長く、4バックのSBとなると身長差のあるFWに空中戦で狙われてしまうなど起用に難点を抱えた選手でしたが、2025シーズンの残留争いの中でタフに成長。百年構想リーグでは4バックにも慣れてスタメンとしてブイブイいわしてくれる、、、と思った矢先に長期離脱と失意の半年となりました。そのといちの居ぬ間に加藤蓮がLSBとしてフル稼働して評価を高め、彼を放出した京都に移籍するのはなかなか皮肉めいたものがありますね。
開幕は間に合わないかもしれませんが、3バックも視野に入れられるチームなのでWB本職のといちは大島政権より重用される可能性があります。4バックであってもDFラインでタメを作ったりビルドアップの起点作りができる選手はレアなので、焦らず、けど早く帰ってきて欲しいところです。
窮地に陥るとお通夜のような雰囲気が漂いがちなマリノスにおいては貴重なムードメーカーで、ほどほどに後輩にナメられていたり、数少ない英語話者として外国籍選手ともコミュニケーションをとったりと、ピッチ外でもチームにとってたすかる立ち位置をとってくれます。同年代の菅原由勢もですけど、なんかサイドバックってコミュ強多いですよね。。
あと愛犬からしちゃんの動画はもっと軽率にインスタにあげてくださいお願いします(懇願)
MF 28 山根陸
Embed from Getty Imagesヨーロッパのスカウト連中よ刮目せよ(※お買い上げは高額でお願いします)
試合に絡めず移籍も噂された失意の2025年から一転、悔しさをバネに躍動し、すっかりレギュラーを射止めた感のある愛され初孫系ボランチ。謙虚そうにはにかむ姿が印象的だったルーキーイヤーから泥水をすすっては這い上がりを繰り返し、今やすっかりすわりきった目でピッチを睨むようになりました。…いや単純に過労のせいか?
かねてより定評のあった中盤の狭いスペースでのターンに加え、直近では最終盤にスプリントするための走力、ぶつかってボールをとるための筋肉といったアスリート能力にも成長の跡が見られます。Box to Box(自陣のペナルティエリアから敵陣のペナルティエリアまでカバーする選手。つまりクッソ走ってなんでもする人)とばかりに顔を出し続ける様は、ギャンブルをしないサンドロ・トナーリとも言えそうです。
徐々にリクがひとりでにゲームを掌握するような試合も増えてきており、現有戦力で最も頼れるボランチとなりました。
そんなリクにも渡欧の話があったりなかったりするのですが、今のところ色良いオファーが来ないのか当面は残留ということになりそうです。
やはりヨーロッパでは空中戦で中盤が狙われることもしばしばあるためか180cm未満のテクニックで売っているタイプのボランチは需要があまりないようです。
とはいえ身長以外にもまだまだ磨くべきところはあるはずで、とりわけ中盤の底で立ち位置を守りつつフィルターになる守備能力や、点に絡むスキルは伸びつつあるとはいえもっとわかりやすい形で求めたいところです。キックも上達しつつあるので、対角フィードやミドルシュート、プレースキックといった武器も装備しようとしています。
長らくボランチの主軸だった渡辺皓太はチームを去り、喜田拓也は負傷がちで稼働率が安定しない今、リクにかかる期待は大きいところです。このまま怪我などなければ開幕もスタメンを任せられるはずなので、個人としてもチームとしてもスタートダッシュをきめて冬の移籍市場で渡欧できるよう引き続き成長して欲しいところです。
チームの平均年齢が高かった頃に昇格した選手なので、長い間一番下の末っ子のような扱いでしたが今は下の世代の面倒を見る方に移りました。関富貫太に寿司を奢るなど「プロ選手の先輩」らしい振る舞いもしているようです。
MF 29 樋口有斗
単位?3年で取り切るっしょふつー
風間八宏氏がアドバイザーを務める中部大学で頭角を現した中盤のテクニシャン。大学2年次のデンソーカップで東海選抜として出場し、それに惚れ込んだマリノススカウト陣(たぶん谷口スカウトの性癖)にブッ刺さり1年前倒しでのプロデビューとなりました。
大サカ界隈はどうしても関東大学サッカーリーグが中心になりがちで、筆者も恥ずかしながら名前を存じ上げなかったのですが、東海地区では名の知れた存在だったらしく名古屋方面からは「日本のモドリッチ」と称する声もあったそうな。
たしかに小柄で華奢というフィジカル的な弱点はあれど、風間八宏式トメルケール技術とサッカーというゲームへの理解度の高さで相手の逆をつくようなプレーぶりからは、微量のモドリッチ成分が検知されます。
ただ実際にプロの舞台でアルトを見ていて目を引くのは、野心と冷静さが同居した胸のすくようなプレー選択です。とりわけ前線で起用された際は守備からもゴールへの意欲あふれる仕事ぶりを見せつけ、試合後半にかけてやや閉塞感が漂いがちだったマリノスに新風を吹き込みました。あと何気に中盤の選手の割にスプリントが速いので、中央からサイドへ飛び出す裏抜けもアクセントとして加えてくれます。
徐々に存在感を示してきていますが、次に求められるのは明確な結果でしょうか。とりわけトップ下は激戦区なのでわかりやすいアピールがないと埋没しかねません。ゴールとアシストを計上しているAJパイセンがおわす上に、遠野大弥もいずれ怪我から復帰してくる見込みで、9.5番の適正が高い二田理央や、ブレイクを狙う三井寺眞、特別指定の松村晃助とライバルは多士済々です。
彼らと見比べるとやはりどうしてもラストパスやシュートといったここぞのキックで技術がもうひとつ足りない印象が拭えません。じゃあボランチではどうかというと、守備時の不安が拭えないのでなかなかコリカ監督が起用に踏み切れない恐れがあります。
そんな諸々の不足はあれどライバルたちにはない特殊な武器を持っている選手なので、なんとか埋没することなくメンバー入りを勝ち取り、近い将来マリノスの中盤に君臨してほしいです。
オフは学業のため中部大学に帰還。卒論を書き進めたとのこと。プロ選手と学業の両立は大変そうですが、「単位は3年でとりきりました」と言い切りしごできっぷりを見せてきました。これを聞いて思わず拍手したマリサポの何人かは、かつて単位が足りないままマリノス入りしたあの人を思い浮かべたかもしれません。
MF 32 田中雄大
今こそ示せ”PRIDE OF RONIN”
昨季慶應大から加入した司令塔も、プロ1年目はなかなか出番に恵まれませんでした。ベンチ入りこそ4試合あったものの試合出場までは至らず、悔しい半年となりました。
大学時代のプレーを見ると細かなテクニックとかよりは、中盤の底でピンチの芽を摘む守備や、距離を問わずきっちり届くパス、そしてそれらを下支えするゲームの流れを読む賢さが武器の選手のように思えました。いずれも現有戦力のボランチが武器にしていないところなので、きっかけさえ掴めば隙間産業的に出番を確保していけそうではあります。
ただいかんせんマリノスでのプレーを見られていないので何とも言えないのが正直なところです。プロのプレースピードについていけていないのか、それとも違う要因なのかはわかりませんが出られずじまいだったのは寂しいところ。
慶應の主将として酸いも甘いも味わってきただけあって「周りがどうというよりは自分がどうしていけるかにフォーカス」という精神性はあるようなので、苦しい時期が続くかもしれませんが悲願のプロデビューに向けて日々積み上げて欲しいところです。
宮崎キャンプでは「ボランチには6番タイプを好む」とされるスティーブ・コリカ新監督のお眼鏡にかなったようで主力組でのトレーニングに参加しているもよう。練習試合ではBチームのボランチのようでしたが、ゴールにも絡んできっちりアピールできているようです。
経歴といえば学歴よりも出場時間や所属していたクラブの大きさが問われるサッカー界においては稀有な一般入試浪人経験者。しかもサッカーの練習をしながら勉強して慶應とのこと。しゅごい…
MF 34 木村卓斗
Embed from Getty Images目標:攣らない
ピッチ内ではスペースのケアを、ピッチ外ではスキンのケアを怠らない、マリノスユース産八幡山育ちのボールハンティングマシーン。早いもので大卒4年目です。
愛媛、甲府と武者修行を経てついにスタメン争いに名乗りを上げかけた2025シーズンで右膝前十字靭帯損傷の大怪我となったため、なかなかマリノスでは戦力になれていませんでしたが、2026百年構想リーグでは随所に存在感を発揮。徐々にボランチとしてメンバーに名を連ねる機会を増やしています。
特筆すべきはやはり相手とボールを潰す能力の高さ。170cmと小柄ではありますが、地上戦では上手くボールを持つ相手の死角から侵入してピンチの芽を相手選手ごと刈り取ってくれます。
またユース時代はSB、さらにその前はWGだったこともあり、ボール保持時はサイドに流れてSB-WGと三角形を作りつつ崩しに絡むこともできます。近年ではキックも磨きをかけ、サイドチェンジなども挟めるようになってきました。
問題はまだまだJ1出始めて日が浅くあっさりかわされたりすることなどが挙げられますが、一番は70分もたずに脚が攣ること。その試合その瞬間に迷うことなく全額ベットしていけるのは彼の良さですが、どんな指揮官も戦術上の理由ではなくガス欠が原因でボランチを70分手前で交代させたくはないでしょう。
めちゃくちゃ走ってくれるのはありがたいのですが、やはりまだまだ動きに無駄が多いので新政権でチームが整理整頓されていく過程で卓斗自身も無駄を削ぎ落としていってもらえたらと思います。
渡辺皓太を手放せるとフロントが判断できたのは、知念慶の獲得や山根陸の一本立ちだけが要因ではなく、卓斗の成長も要素として大きかったはず。アカデミーの後輩で小学生の頃は同じ電車に乗って練習に通っていた山根陸に追いつけ追い越せの勢いで、今季こそ満を辞してボランチの座を狙いに行ってもらいたいところです。
持ち前の クソガキ感 明るさで上からは可愛がられ、同期とは軽口を叩き合い、下からはほどほどにいじられるおいしい立ち位置をチーム内で保っているもよう。 あとたぶん角田涼太朗のことはちょっとナメてます。
MF 40 天野純
Embed from Getty Images今が一番若いの第六感、六感またがって
34歳にしてキャリアハイを迎えたトップ下のアーティスト。それはたゆまぬピラティス、はたまたたゆまぬ個人トレーニングの賜物か。色々着手されてるのでもはや何がどう作用しているかわかりませんが、明らかに今までのどの天野純よりキレッキレの天野純がお出しされています。
一番大きく変化を感じるのはステップでしょうか。今まではやや遅めだった足運びも今は若手より軽やかで、以前はあんまり印象になかったドリブルにも細かなボールタッチとスピードが共存するようになりました。
また元々の武器だったキックもより振り幅小さく強めにインパクトできるようになったように見受けられ、プレースキックや外に流れてのクロスだけでなく、エリア内で脚を振ってゴールを狙える純然たる2列目の選手にアップデートされました。
あとはこのハーフシーズンでの絶好調ぶりを維持してもらえればとは思いますが、1点お願いするとしたらビルドアップ時の関与の仕方でしょうか。一時期ほどマーカーを嫌がって降りてくるイメージはないのですが、それでもボールがなかなか自分の足元に来ないとDFライン近くまで受けに降りてくる傾向は相変わらずです。
せっかく2列目のアタッカーとしてブイブイ言わせ始めたのですから安直にボールを受けに降りたりせず、むしろ相手のライン裏を狙うアクションやサイドのローテーションなどを招くムーブを増やしてもらえると、崩しの局面に全力を注げるのではないかと筆者は愚考します。
ともあれかつては中村俊輔と比較されたりマルコス・ジュニオールにポジションを追いやられたりとマリノスではずっと自分の理想と現実の狭間で悩み続けたAJが、長い時を経てマリノスのど真ん中に入ってきたのは感慨深いものがあります。遠野大弥、樋口有斗、二田理央、そして特別指定の松村晃助や神童三井寺眞と彼の「玉座」たるトップ下を狙う選手は多々いますが、それでも易々とポジションを譲るのではなくこの第二の春を謳歌しながら彼らの壁となり続けて欲しいと思います。
特に前プレ部隊のリーダーとして相手のビルドアップを限定していく動きとかは後輩たちに見せつけるようにやって欲しいですね。
百年構想リーグ後は監督推薦枠でオールスターに出場。鮮やかなPK逸など見せ場を作りました。フリーキック叩き込むのにPKは外すってジャンフランコ・ゾラか。
MF 41 松村晃助(※法政大4年 特別指定)
Embed from Getty Images俺は松村晃助と優勝したい
子どもの頃から根っからのマリノスサポーターだったことで有名なアカデミー育ちのアタッカー。彼がユースにいた頃、ベテランマリサポの方の前で「ユース観てます」と筆者が言ったら、ほぼ毎回「晃助はどう?」と聞かれたほど。親戚同然みたいな愛されっぷりです。
まあサポーター有志の街頭へのポスター掲出活動(ポス活)にも参加していたと言われるくらいゴリゴリのマリサポだったようですし、コアサポの皆さまからもユースの選手というより「仲間のひとり」として認知されていたものと思われます。
じゃあマリノスは彼のクラブ愛や帰属意識だけを評価していたかというと、そんなわけではありません。選手としての松村晃助もちゃんと魅力的です。
特に彼のプレーで目を引くのが、キックやドリブルといったところで垣間見える基礎技術の高さ、そして飽くなきボール奪取への意識です。プレッシャーがかかっていても腕を上手く使いながらボールを隠してパスを通してみせたと思いきや、またある時は守備の局面で間断なく別の相手にプレスに行ったりと、現代的な2列目の選手らしい軽やかさとスタンドに熱をもたらすような泥臭さが同居したプレーはとても目を引きます。
そうした彼の強みを下支えしているのが、キレというか軽やかな足さばきだと筆者は思っています。ペナルティエリアに入って行く時もプレスを連続してかけに行く時も、回転数高く足を回して素早く目的地に到達している印象があります。
スピード自慢の宮市亮、近藤友喜、そして同年代の高橋輝のようなトップスピードはないかもしれませんが、細かく方向転換するアジリティ(敏捷性)は彼らにも引けを取らないでしょう。
一方でマリノストップチームでは数字に残る仕事はなかなか出来ずにいるのが課題です。法政大学からのインターンのような立ち位置なので先方都合で帯同できないことも多々あるでしょうが、試合に絡めたらまずはゴールやアシストといった目に見える活躍でアピールしたいところ。
法政ではエリア外からも決めていますし、マリノストップチームでもコーナーを任せられたりとキック自体は得意だと思うのですが、J1のDFと大学生の脚のリーチやタイミングの違いからか、どうしても相手に引っかかってしまっているように見受けられます。
確かな体力とキレはあるので、この壁を乗り越えて数字を残し始めれば、チーム内での序列も底上げできるポテンシャルは持ち合わせています。
晃助をよく知るコアサポの皆さまやユース893の皆さまほどではないですが、かくいう筆者も晃助の歩みには感情を揺さぶられてきた1人です。
特に印象的だったのは彼が3年生のとき。2022年のマリノスユースはリーグ戦もカップ戦も2位で優勝をあと一歩で逃し続けました。今思えばかなり個人も際立っている中で結束も強く、3-0で勝っていてもずっとお互いに要求しあうような貪欲なチームだったと記憶しています。その中で10番を背負い、LWGとして攻撃にアクセントを加えたのが晃助でした。
あれから4年の歳月が過ぎ、晃助は法政の大黒柱としてチームをアミノバイタルカップ優勝に導きました。マリノスユースでは目前で逃してきたタイトルを法政で掴んでみせた彼の表情からは、充実した様子が見てとれました。(いや試合後の写真は結構ちょけてたかな)
次は子どもの頃から慣れ親しんだトリコロールで頂上の歓喜を味わう番。育成出身だからとか以上に、他チームの歓喜の脇で悔しがる彼を見てきたからこそ、筆者は強く思うのです。「俺は松村晃助といっしょに優勝したい」と。
割とすぐ誰とでも打ち解けられるヒューマンスキルがあるのか、トップチームでも角田パイセンを筆頭に可愛がられているようす。
高3のクラブユース選手権(ユースのルヴァンカップみたいなカップ戦。ユース893の夏フェス。)では飲水タイムに恐らく初めて会ったであろう副審と世間話をしていたほどなので人たらしの才能ありそうです。
そして法政時代のゴール画像のモノボケはマリノスでも続くのか。乞うご期待。
MF 47 三井寺眞
Embed from Getty Images未来は俺等の手の中
ユース加入もそこそこに16歳の誕生日と共にプロ契約を結んだ神童。百年構想リーグでは出番はなく主戦場たる試合はユースチームのプリンスリーグ関東2部でしたが、練習はトップチームとユースをはしごしているそうです。同じ日に昼はトップの練習、夜はユースの練習ということもあるみたいなので、怪我しないよう祈ってます。
プレースタイルは現代的な2列目の選手そのもの。背筋を伸ばし華麗に刻む足捌きとボールタッチ、そしてそこから繰り出されるスルーパスは若かりし頃の鎌田大地を想起させます。(スポニチは香川2世とか言ってますけど)自らガンガン点を取りに行くタイプというよりはラストパスに関与する10番の選手と言ったほうが近いかもしれません。
ただマリノスユースは現在、上から数えると実質3部相当の関東2部に所属しているため、正直相手の拙さに助けられて良さが出せている節もあります。またユース年代でもまだ完全に無双しているわけでもない(とはいえゴールもアシストも記録はしている)ので、絶賛苦戦中のトップチームの救世主かのように過度な期待を背負わすのは避けるべきでしょう。
それよりかは着実に課題と向き合う1年になるのかなと思います。特にみっちゃん自身が口にしていますが守備はかなり不得手なように見えます。「切り替えが遅い」と指摘されるようですが、まだフィジカルが完成しきっていないのとプロのスピード感がまだ慣れてないのかもしれません。
学習意欲旺盛な選手なので、案外あっさりこの辺の課題もクリアしてしまうかもですが注意深く見守りたいところです。
ただ正直みっちゃん本人以前に、彼をちゃんとヨーロッパやA代表へ羽ばたかせられるか、というのはクラブが試されている点だと強く思います。
コロコロと変わるクラブの方針で何人ものホームグロウンの選手の進路を狂わせ、津久井匠海や椿直起、他にも数多の才能を無碍にしてきた過去がある弊クラブ。16歳でプロ契約という大きなインセンティブがあったとはいえ、こんな過去を持つマリノスを選んでくれたみっちゃんに適度に課題を与えつつ成長させられるか。ある意味トップチームのピッチ内での戦術の進捗よりも、クラブとしての力量や器が問われるトピックかもしれません。
今季の宮崎キャンプでは好調を維持し、早速主力組の練習に混ざっているとのこと。練習試合ではLWGでプレーし、スティーブ・コリカ新監督から名指しで賞賛されていました。もしかしたらトリコロールでの彼のプレーを拝める時間は想像以上に短く、濃いものになるかもしれません。
昨季キャンプではキニョーネスにスペイン語を習ったり、日頃の練習では喜田拓也のストイックな姿勢に感銘を受けて自主トレを共にするようになるなど、将来から逆算した動きと末っ子らしい愛嬌をフル稼働させて日々精進しているもよう。
そんな日々成長していく三井寺眞の進捗が見たい方はぜひプリンスリーグ関東2部マリノスユースの試合を観に来てください!(毎年言ってる気がするが)今季のチームはみっちゃん以外もマジで楽しいのでぜひ!
<この項・了>



