2023シーズン加入内定の木村卓斗ってどんなプレーヤー?調べてみた!

(よくあるダメキュレーションブログ風タイトル)

どうも、マリノスのこととなると織田信成や徳光和夫ばりに涙腺が弱くなるお市です。ただでさえ涙脆くなってきて、「コーダあいのうた」を映画館で観た時なんかは泣きすぎて隣のカップルに引かれるほどだったんですが、今回もそれくらいの涙腺破壊案件がやってきました。

お゛か゛え゛り゛卓゛斗゛お゛お゛ぉ゛お゛!゛!゛!゛う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ん゛ん゛ん゛!゛!゛!゛!゛(号泣)

…取り乱しました、申し訳ございません。

マリノス公式のリリースページにもあるように、木村卓斗は明治大に入る前は小学生からずっとマリノスの育成組織で育った選手で、紛れもないホームグロウン(HG)選手です。今季からJ1クラブはスカッド内に4人以上のHGを義務付けているのですが、大きめの不祥事による内定取り消しでもなければ2023から加入した暁には卓斗はこのうち1人として扱われます。

まあでもそういう制度上の話は正直今はどうでもよくて、まずは土手の民ことマリノスユース893の皆さんの反応をご覧いただきたいわけです。

ユース893とひとくちに言っても、小学生の頃から卓斗を知るトップオブ筋モンもいれば、私のように高校から彼を知り始めた人もいて、歴は様々です。でも皆が口々に卓斗のプレーぶりを語り、彼の帰還を喜ぶのはなぜなのか。プレースタイルの解説も交えつつ、僭越ながら893の末席を汚す私が紹介文を書かせていただこうと思います。(土手の皆さんは何か追加があれば適宜ご指摘ください。。)

それでは木村卓斗おかえり記念記事はっじまーるよー。

そもそもどんな選手なの?

魅力の多い選手ではあるが、強いて一言でまとめるならば「マリノスの育成らしい巧さと賢さ、明治らしいタフさを兼備するマルチツールプレイヤー」だろうか。

攻撃(ボール保持)時は、マリノスの育成組織出身らしいボールテクニックの上手さ、3,4人での崩しの時の動きのスムーズさが光る。トップチームでたとえるなら、サイドで3角形を作った時に水沼宏太が入れるようなさりげないスイッチを入れるパスやフリーランは卓斗の得意技でもある。また10m弱のサイドへ散らす浮き球パスにも逐一バックスピンをかけ、走るWGのスピードを損なわないなど細かなキックの上手さもある。
またある筋での話では小学生〜中学生前期頃はドリブラー系WGだったとあって、ゴールに近づくと小刻みなボディフェイクを繰り返すドリブルや冷静なフィニッシュワークも見られる。
また大学2年次からボランチとしてプレーしており、自陣からボールを前進させる際にも貢献できる。CBからボールを受けて前を向いたりあえて縦パスは出さずに時間をかけたり…という山根陸が好んでやるムーブも随所に垣間見えた。明大の栗田監督をして「木村があそこにいるとゲームが落ち着く」と言わしめるように、同じく4年生の松原亘紀との中盤コンビは、現在関東大学リーグ首位をひた走る明大のボール保持の中心と言っていい。

守備(ボール非保持)時は、年々バルクアップしていく筋肉をフル活用したボール奪取が最大の持ち味。170cmと中盤では小柄な部類に入るが、五分五分のボールに先に触って身体を入れれば180cm超の相手FWにも打ち勝つ強さがある。当人としてもアピールポイントに挙げているだけはある。

また自チームが一度相手を押し込んだ後に顕著だが、セカンドボール回収頻度も高い。長距離を走り切るスタミナのおかげでもあるが、この後どこにボールがこぼれてくるかあらかじめ予測しているのか、「はいはい知ってましたここにボールこぼれて来るんですよね」と言わんばかりにあまり動かずにこぼれ球を拾っているシーンが大学でのプレーでは多かった。

重ねて、攻守それぞれの局面で使える武器の多さからもわかるように、これまで様々なポジションをこなしてきたポリバレントな選手でもある。先述の通り中学生序盤までは前線の選手(だったらしい)、そこからはサイドバックを経験して高校3年次にはカップ戦優勝の原動力となり、大学2年次には3-5-2のボランチに挑戦して新境地を開拓してきた。ボランチへのコンバートもいきなり告げられたものらしいが、大先輩安部柊斗を参考にしながら適応しており、与えられたタスクを実直にこなしながら自身のプレーの肥やしにする強かさも強みのひとつと言える。

マリノスではどうなりそう?

マリノスの首脳陣と会話した(と思しき)内容を踏まえた本人の談は以下の通り。

栗田さんに出会えたこと、そして明治大学に入れたことを感謝しています。プロでもボランチで勝負したい思いはありますけど、サイドバックも出来ることはひとつの武器。特にマリノスは偽ボランチというか、サイドバックも中に入ってプレーする。マリノスからも両方を評価してもらっているので、どっちの起用になっても結果を残したいと思います

ボランチ転向で掴んだ横浜FMへの帰還…MF木村卓斗「明治でやってきたことを信じて」(ゲキサカ)

かつては和田拓也、現在なら小池龍太といったSBの選手がボランチで起用され、反対に本職ボランチのジョエルが対人能力を買われてSB起用されているように、今のマリノスのボランチとSBに求められる要件は比較的近いものがある。卓斗のコメント通り、ボランチとSB両方の戦力として見込まれているのだと思う。(ここはケヴィンの卓斗評が聞いてみたい)

また筆者の私見ではあるが、ことボランチにおいてはマリノスの既存戦力のいいとこ取りのような特徴を持っていると思える。渡辺皓太やジョエルの持つボールスキル、喜田拓也や岩田智輝の球際の強さ、山根陸が見せるボールの動かし方の妙などをそれぞれ小さじ2ずつ入れた選手なので、大学でのプレーがトップチームでも出来ればあまり違和感なくプレーできそう。SBでの起用イメージとしては、今のトップチームなら小池龍太が近い。クロスの名手というイメージはあまりないものの、マリノスユースで見せたインナーラップや持ち運ぶ動きのプレー選択の確かさが出せれば、「リーグでも特殊」「もはや住所不定」「え?本当にそこまで行っていいんですか?」と名高いマリノスのSBでも輝けるだろう。

とはいえこれらの期待は”大学やユースのようにプレーできれば”という条件付きではある。当人もエリートリーグに出場した際に「本当のトップの試合に入ったと考えたときに、実力が足りていないと痛感しました」と語るように、マリノスのハイインテンシティ・ハイカロリーなサッカーの中でどこまでできるかは未知数ではある。高山vsドン・フライのごときオープンな殴り合いを許容するチームカラー上、SBは数的同数どころか2人の相手をワンオペで対処しなければいけないシーンが多いし、ボランチもワンツーのパス1つ立ち位置1つ間違っただけで大惨事になりかねない。

A代表まで順調に駆け上がった若き逸材ジョエルであっても、開幕当初は動きすぎてしまってピッチ上で迷子のようになり良さが出せずにいた(まあ数試合で慣れて今じゃ主力なんすけどね)。同じような事象は運動量とボール周りでのプレーで良さが出る卓斗でも起こりかねない。まずは周囲との連携を深めつつマリノスのプレースピードに慣れてほしい。

で、なんでお前(筆者)はそんなに泣いてんの?

(ここから先は筆者が勝手に木村卓斗にまつわる思い出をダラダラ述べてるだけなのでスキップしてもらって構いません)

2018年マリノスユースは、降格スレスレというトップチームの惨状に疲弊したマリサポの心を癒したのもあってか、今なお語り継がれる奇跡のチームだった。各ポジションの選手たちが自分の強みをこれでもかと見せ、それらが化学反応のように互いに作用し合って格上の相手をも圧倒していく様はまさに痛快そのもの。この年のマリノスユースを見て「トップチームだけじゃなくマリノスは育成組織も面白いな」と思った人も何人かいて、かくいう筆者もその1人だった。

その黄金比でできたようなドリームチームの中でRSBとしてプレーしていたのが、木村卓斗だった。

大外のレーンとハーフレーンを上手く使い分けてパスを引き出す卓斗を見て「このチームと右サイドの2番はどうやらただものじゃないぞ」と思うようになり、気づけば暇を見つけては日産フィールド小机(通称:土手)に通って2018マリノスユースを観るのが私の楽しみになっていた。

その後も右サイドのハーフレーンをほしいままにしている卓斗を観察していると様々な表情が見てとれた。

ある日は1年生の怪物WGの立ち位置修正に苦心し、

またある日は金井貢史や小池龍太のようにいきなり敵ゴール前に現れて美味しいところをさらったり。

それでいて、いつ何時でも対面の相手とのマッチアップには果敢に挑んだりと、知れば知るほど興味をそそられる上に見ている観客も奮い立たせる選手だとわかってきた。

ただ、ドリームチームは完成がいささか遅すぎたのかもしれない。2018年マリノスユースが軌道に乗ったのはトップチームの編成がまとまり出す夏をとうに過ぎた10月ごろのこと。そのせいもあってか「2019シーズン加入内定」のリリースの中に木村卓斗の4文字は無く、椿と山谷というチームの花形を担った2人のWGだけがプロ入りの切符を掴んだにすぎなかった。

ただ一度軌道に乗った後のマリノスユースはまさしく負け知らずで、リーグ戦ラスト4連勝だけでなくJユースカップ(文字通りJリーグのユースチームが参加するカップ戦。位置付けはルヴァンに近い?)で大躍進を見せ、ついに決勝まで辿り着いた。当時2部相当のプリンスリーグ関東にいたマリノスユースだが、1部相当のプレミア勢も破ってファイナリストに名を連ねているように勢いは凄まじかった。

その決勝の舞台、冬のミクニワールドスタジアム北九州。いつものように右サイドからするすると誰にも気づかれていないかのように敵陣深くまで侵入し、決勝弾となる一撃を見舞ったのは、この半年私が目を奪われ続けていた背番号2の右サイドバックだった。

「ほんと、かっこよすぎか」とずっとうわ言のように言いながら私はずっと泣いていた。

※泣き崩れる筆者イメージ図1

育成組織のアマチュア選手かプロかなどは抜きにして、一目惚れして追い続けた選手が同じく一目惚れしたチームを頂点へと導く。それはサポーターとして味わえる幸せの中でも極上のものなのだと、噛み締めたことを今でも私は忘れない。私にとって2018マリノスユースはどんなプロチームにも負けないくらいまばゆい輝きを放ったチームだった。

それからしばらくして、ユースの3年生たちの進路を耳にした。卓斗はトップチーム昇格は叶わなかったものの大学サッカー屈指の強豪明治大の門を叩いたと知った。

プロ入りが果たせなかったとしても彼の良さはやはり広く知れ渡っているんだなとどこか安堵していた。

とはいえ、明大のサッカーとマリノスユースのサッカーはまるで違うのは素人の私から見ても一目瞭然だった。陣形がそもそも違うのでサイドバックの役職はなく、動きの妙よりスピードを求められるウィングバックが求められていた。案の定卓斗よりもスプリントに長けた選手がレギュラーになっており、再三述べているように2年次には卓斗はボランチにコンバートされていた。

「さすがにボランチじゃ卓斗の良さは出にくいんじゃないか?」

そう思ってYouTubeの試合配信を観ると、手持ちの武器を使いながら足りないものを自ら取得して補いながら新境地に挑む彼の姿がそこにはあった。始めこそ決して起用にこなしているとは言えないプレーぶりだったけれど、場数を重ねるにつれてポジションを次第に自分のものにしていたのは印象的だった。

時折怪我に苦しんだりもしていたが、4年次にはすっかり前々から中盤の選手だったかのように明大の攻撃を指揮していた。それでもどこか私は卓斗がマリノスに戻って来るとは信じ切れず、「きっといいクラブからお声がかかるだろう」と思っていた。
その理由として、3年前にマリノスの練習に参加しつつ、鹿島を選んだ元マリノスユースの常本のことが頭にあり続けたのも否めない。また「若いうちにプロで経験を積むことを優先する」「海外に選手を多く送り出す」といった昨今のマリノスの方針を考えると、大卒選手はあまりターゲットにしていないように見えたのもあった。

ただ、こうした障壁すら飛び越えて、卓斗は再びトリコロールのユニフォームに袖を通すことになった。もちろんホームグロウン枠の関係もあって、マリノスも他の育成組織出身の大卒選手よりも躍起になって卓斗を狙った節はあるかもしれない。でもそんな事情の話は正直どうだってよかった。一目惚れして追い続けた選手が紆余曲折を経て自分を一度見送ったクラブに実力認めさせて帰って来る。しかも戻る先は愛するマリノス。こうしてひと回り大きくなって帰還を果たした選手を「おかえり、待ってたよ」と迎え入れられるのは、育成ヲタクとしてはとても幸せなことなのだと悟った私は、リリースと同時にまた泣いた。

※泣き崩れる筆者イメージ図2

私にとって木村卓斗は、ただの大卒新人ではない。サポーターとしての幸せを2度も味合わせてくれた、唯一無二のプレーヤーだ。

いかがでしたか?

(自分でも記事の着地点が)わかりませんでした!(よくあるダメキュレーションブログ風の締め)

プレーの紹介だけ淡々と書ければ良かったんですが、私がユース沼にずっぷりハマるキッカケの選手の1人だったのでダラダラと蛇足を付け加えてしまいました。。

ぜひ木村卓斗には、単位の取り漏らしとかなく土手とは目と鼻の先でも土手よりも数段大きな日産スタジアムの舞台に立ってもらいたいですね!ひとまず私はその時に備えてリットル単位で流れる涙にも耐えうる厚手のタオルを入手しておこうと思います!それでは!

スペシャルサンクス

写真をご提供いただいた皆様、本当にありがとうございました。

<この項・了>

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