第46回日本クラブユースサッカー選手権U-18大会グループH1日目マリノスユースvsヴォルティスユース

はじめに

(旅行記の出来損ないみたいな章なので、ストイックに試合を振り返りたい方はスキップ推奨)

どうも、「始発で前橋に行った自分に若干引いている」お市です。夏ですね、皆様お暑うございます。けど前橋はもっとお暑うございましたわよ。曇り予報とはなんだったのか。

朝の7:30頃に利根川沿いの河川敷に集まる健康的なユース893の皆様に混じって、893にもなれないチンピラの私もおずおずとクラブユース選手権(クラ選)にお邪魔いたしました。プロのJクラブで言えば天皇杯みたいなものでしょうか。いわば「(街クラブも含めた)クラブの高校生チーム日本一決定戦」で、思いっきり乱暴に言えば天下一舞踏会です。

なかなか有観客で開催されなかったここ最近の育成年代のゲームですが、今大会は有観客。私にとっても今年初、いや2020年コロナ前以来の現地観戦だったので「オラ、ワクワクすっぞ」と早起きして駆けつけたわけです。

現地の気温は午前8時にして26度。カフェの空調くらいの強さの程よい風がキックオフ前から吹いていたので「半袖短パンじゃちょっと肌寒いね笑」とか言うくらいでした。
しかしナメんなよとばかりに前橋が徐々に本気を見せ始め、気温の数字とは裏腹に試合終了時には立っているだけで汗が流れるほどに。この環境下で中0日でゲームをやる選手達には頭が下がる思いです。

そんな中で大会初戦を迎えた我らがマリノスユース、相手は高円宮杯プリンスリーグ(2部相当)四国で3位の徳島ユースです。順位だけ見ればプレミアリーグEAST(1部相当)2位のマリノスユースからすれば格下とのゲームと言えるのですが、どのような展開になったのでしょうか。マリノスユースの選手達の特徴にも触れながら、試合をさくっと振り返ってみます。

それではマリノスユースのマッチレポート、はっじまーるよー。

スタメン

前半

冒頭徳島ユースはラフにボールを蹴り込んできたが、これは決してマリノスユースのプレスによって「蹴らされた」わけでも、ボールを握ることを諦めたわけでもなかった。まずボールと両軍の選手をマリノスユース陣内に押し込んで、そこから縦幅の狭い4-4-2ブロックを敷きつつ前からボールを奪いに行く守備を敢行するのが主な目的だったように思える。マリノスのSBとボランチにもほぼマンツーマンに近い形で守備を行い、外(主にマリノスの左)に誘導してボールを刈り取っていた。

奪った後は寄せられてもギリギリで相手をかわせるFW10番の藤原くんがボールの預け処として降りてくるので、そこにパスをつけていく格好。これでマリノスの14番細川くん、8番篠原くんのコンビは対面の徳島ユースボランチを見るべきか、降りてきた藤原くんを見るべきかで悩み出すことになってしまった。とりわけ現地で印象的だったのは10番藤原くんがボールを要求した時とパスを受けた後。奪った後は多くの選手がルックアップして彼をすぐ視野に入れていたし、パスを受けた背番号10に「優志!(藤原くんの下の名前)」と四方八方から声が聞こえ、皆彼がロストするなんてあり得ないとばかりにパスを受ける動きにすぐさま入っていた。まさにこのチームの主柱なんだろう。

また藤原くんだけでなく、6番RSB佐藤太亮くんが内側に入って3バック化し、彼のキックや持ち運びを活かす前進なども披露。(マリノスの左側に狩り場を設定していたのはそれもある?)こうして徳島ユースは上手くボール保持・非保持(攻守)両面で個々人の良さを活かして試合の主導権を先に握るに至った。14番ボランチ柴田くんの鮮やかなワンタッチパスでマリノスの最終ラインの裏を突いてカウンターで先制すると、自信を得たように個々のパフォーマンスがさらに良くなっていったように思えた。

大会初戦というのもあったのか、それとも普段とところどころ違うユニットだったからか(LSB26番桑原くんは元々ボランチの選手だった記憶)、もしくは怪我から復帰したCBコンビの試合勘不足からか、朝寝坊気味だったマリノスユース。起き抜けにコップ一杯の水を飲んで目を覚ますかのごとく、飲水タイムで立て直しを図った。(実際はこの時間から暑かったのでコップ一杯の騒ぎではない)

まず初めに行ったのが徳島ユースのSB裏に向かってのロングボール。「ボールと陣形を相手陣地に」という意図も込みで完全な意趣返しだが、これにより前線の選手が試合中指摘していたDFラインの低さを解消しつつ、徳島ユースの4-4-2ブロックを後退させることに成功。

次にプレスをかいくぐる前進ルートの作成だが、これには主に2つのアプローチを実施した。

1つは中央での密集。9番CF内野くんの周りに、40番OMF望月くんや14番ボランチ細川くんが近い位置に立ってスリーオンラインのような形を作るシーンが散見された。どこまで狙っていたかはわからないが、結果として徳島ユースのボランチが「誰につけばいいんだ」と悩む状況を作り出すことに成功。だいぶ即興的で奪われたら命取りではあったが、CBからの速い縦パスを活かして中央を使い出した。

もう1つはRSB24番舩木くんがタッチライン側で高い位置をとること。もっとも失点シーンでもこれは狙っていたが、ここに8番ボランチキャプテンの篠原くんが降りるなどして「後ろは任せて上がっていけ」状態を作り出した。このとき10番RWG松村くんがハーフレーンに入って徳島ユースLSB武田くんを釣り出すなど連動した動きを発揮。リーグ戦でもレギュラーとしてコンスタントに出場していた2人らしく、スムーズな内/外の使い分けができていたと思う。

こうして最終ラインを上げつつ、敵陣での滞在時間を伸ばしたマリノスユース。今年の代名詞でもある前からのプレスによる牽制が効いてからは、こちらも今年の強みである伝家の宝刀セットプレーからの混戦をCF9番内野くんが押し込んで追いつく。篠原くんのキックは毎度ながら見事なのだが、ファーサイドに振って折り返す形はこの試合の中で3回ほどやっていたので、もしかしたらスカウティングかチームとしての狙いか。我々土手の民たちはグラウンドレベルでしたので「入った?入った!え、誰!?」状態でしたが。あと筆者は最近視力が落ちたのか遠くが見えにくい。

ともあれ大会得点王を視野に入れるエースの一撃が炸裂し、前半は1-1で折り返す。

後半

後半頭から立て続けに動いたマリノスユースベンチ。左サイドに1年生ながらリーグ戦でも戦術兵器になりつつあるLWG43番白須くんを投入。1対1のドリブルに強みのある白須くんの仕掛けもあって厄介だった6番RSB佐藤太くんが守備に回る時間を増やすようになり、次第にサイドでピン留めできるように。

次はLSBに抜擢された26番桑原くんをボランチに戻し、18番RSB三橋くんを投入。元から右サイドの高い位置から持ち前のスピードを見せていた舩木くんはLSBに回った。三橋くんのプレーをまじまじと見るのはこれが2度目くらいだが、舩木くんのようなスプリントは見られないものの、穴を空けない堅実な守備と心憎い立ち位置ができる賢い選手だと感じた。例えばあるシーンでは、低い位置で徳島ユースのSHに捕まっているようにも見えるが、その実2番RCB髙橋謙豪くん→10番松村くんへのパスコースが空くようになっていた。リーグ戦は舩木くんがレギュラーだが、同い年の三橋くんもまた違った魅力の持ち主だった。

加えてOMF望月くんとCF内野くんが適宜裏を狙って相手のDFラインが上がってコンパクトにされるのを避けていたのもあって、次第にマリノスユースが徳島ユースの間伸びを突くシーンが増えてきた。右ハーフレーンでの速いパス回しから前進に成功すると、逆サイドフリーの白須くんがカットイン。この時に白須くん合わせて5人もトリコロールの選手達が徳島ユースゴール前に殺到したのだが、こぼれ球を押し込んで2点目を叩き込んだのは、ボランチ14番細川くんだった。フィニッシャーが後ろから飛び込んできた中盤の選手であること、またゴール前に人が押し寄せるスピードは、実に今年のマリノスユースらしい形だったと言える。寝ぼけ眼の前半立ち上がりはどこへやら、後半飲水タイム前にはすっかり平常運転に戻っていた。

そして彼もまた平常運転でゴールを狙い続けていた。

ここまで来ると強度切り替え地獄慣れしているマリノスユースがゲームを握っていく。33分には後に投入された6番ボランチ島田くん(3年)のターンから、同じく途中出場の45番吉沢くん(1年)が抜け出し、ラストパスを受けた内野くんが流し込んで3-1勝負アリ。この展開のキッカケは徳島ユースのCBからのボールをLSBの舩木くんがハーフウェーライン付近でカットしたことなのだが、「蹴らせる」プレスを何度もかけていたのがこの吉沢くんだった。出場時間が短いとはいえ、プレスでどこを切るべきかを把握していたし何よりしつこかった(※褒めてます)ので相手にとってはすごく鬱陶しかった(※褒めてます)だろう。抜け出してからのラストパスも落ち着いてて良かった。

そしてこの試合2ゴールとエースの働きを存分にした内野くん、「 #結局内野かよ 」(元ネタはこちらのゲキサカの記事)を地でいく仕事ぶりだったが、得点以外にもポストプレーや前を向いての強引な突破など、最後は流石に疲れ気味だったが、苦しい時にチームを助ける動きも目立っていた。またプレーが切れた時にすぐ味方選手を捕まえ、局面を打開するために身振り手振りで話し合うシーンもあった。ゴール第一のストライカーとしての側面もさることながら、チームプレイヤーの顔も覗かせていた。やっぱり現地に行くと色々この辺わかっていいな。

総括

序盤こそ苦しんだものの、相手陣内で過ごす時間を伸ばすことでいつものペースを取り戻したマリノスユース。グループリーグもそうだが、その先の決勝トーナメントでもブロックでプレスをかけてきながらもボールを前進させる術を持つチームはこのレベルだと多そう。中0日なので反省している時間はないが、この経験が次に活かされることを期待したい。

一方の徳島ユース、プレミアEASTなど東日本のチームの情報は耳にすれど西日本のチームには疎いマリノスユースファンからは、「こんなに強いのか」と驚きにも似た声が多数あがった。事実私もプリンス四国3位という部分だけを見てしまっていたが、10番の藤原くんの突出した個をはじめ、6番の佐藤太くん、8番新田くんと14番柴田くんのダブルボランチは上手かった。お見それいたしました。

それでは明日も元気に朝活(っぱらから若い子のサッカーに力をもらうムーブ)しますので、この辺で。

<この項・了>

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