目次
はじめに
どうも、「好きな串カツのネタは紅しょうが」のお市です。別に近所の串カツ田中でも食べられるんですけど、こういう変わり種食べると大阪来たなあって実感できますね。
ガンバの本拠地、パナソニックスタジアム吹田のコンコース抜けた後のこの開けた風景もだいぶ見慣れてきて、個人的には大阪来たなあと実感できる景色となりました。
今回は角に行ったけれど、そういや2017遠藤渓太のゴールや2019開幕戦の衝撃も、思えばこのスタジアムのアウェイゴール裏から見たんだっけとしみじみ感慨に耽ってしまいました。
この日のパナスタは「GAMBA SONIC」とのことで、ハーフタイムショーだけでなく音楽関連の催しがちらほら。選手の好きなアーティストとか曲を教えてくれるのは小ネタ好きからするとうれしいですね。あと小野瀬はやる気出してほしい。
そんなピッチ外のエンタメもあった試合の結果はこちら。
0-1ビハインドで折り返した前半から鮮やかに逆転して首位キープ。夏の野外フェスのような蒸し暑さの中、トリコロールの戦士たちは見事なギグをかましてくれました。
とはいえ、前半苦しんだのは紛れもない事実です。
ガンバが準備したものとはなんだったのか、そしてマリノスはどのように対策を潜り抜けたのか。そんなこのゲームの疑問を読み解くべく、壱百満天原サロメ嬢のおバズに全乗っかりして、サッカーヲタクのお嬢様と、お抱えの爺やのコンビの話に耳を傾けてみようと思います。
お嬢「いいこと?爺や。お串カツは高温の油で揚げておりますでしょう?なのでおカロリーは熱に耐えられず霧散しますの。ですからお串盛りをもう1セット…」
爺や「お嬢様、ゼロカロリー理論は提唱された伊達様ですらとうの昔に飽いてらっしゃいます。おかわりは何卒お控えを。」
ガンバ戦レビュー、はっじまーるよー。
※お嬢様と爺やのビジュアルはご想像にお任せしますが、筆者の中でのお嬢様の髪はゴリゴリの縦ロールです。
スタメン

お嬢「ガンバは4-4-2*を採用してきたようですわね(と試合後石毛様がおっしゃってましたわ)。」
爺や「札幌のように全員がマンツーマンで守るオールコートマンツーマンとも取れますが、深追いはしない箇所もいくつか散見されましたな。優先したのはショートカウンターの引き金になるプレスのため、敵陣でボールを持たれた際、マリノスのDFラインとボランチに誰がつくかを明確にする意図がおありのご様子。」
お嬢「マリノス側からすれば柏戦、広島戦でも見られたプレスに苦しみましたし、掘り返せば2019や2020の片野坂監督が指揮されていた大分も、マンツーマン気味に人を当ててマリノスを苦しめておられましたわね。片野坂監督なりの対マリノス常套手段なのかもしれませんわ。」
*現地で見ていた下男(筆者)は『3-1-4-2だ!』と錯覚したらしいですわ
お嬢「対するマリノスは陣形はいつも通りでも顔ぶれが異なるご様子。怪我人とジョエル様の代表活動で中断期間明けとは思えぬ満身創痍っぷりですわね…」
爺や「ですがエウベル様、マルコス様が戻られました。攻め手のバリエーションは増えましたぞ。」
お嬢「わたくしこのチームのベストメンバーがわからなくなりつつありますわ……とはいえ今いるメンバーと相手から逆算して微調整するのはマスカット監督の十八番ですものね。ACLで見つかったエウベル様と永戸様のコンビも期待ですわ!」
前半
Q. 今後も見据えたガンバのプレス。マリノスはかいくぐれたのか?
A. 中央の「フリーな2人」+選択肢を突きつける立ち位置+長短のパスで何度か回避

お嬢「スタメンで薄々わかってましたけれど、ガンバは2トップ、2SH、2ボランチがそれぞれマリノスの2CB、2SB、2ボランチをマークする形ですわね。いわゆる同数おプレスですわ。」
爺や「ガンバは長く走れる選手を多く配置してございましたし、疲労が出そうなSHやボランチには交代要員の選手達が控えてございました。片野坂監督のコメントを見るに、前からボールを奪いに行くのはチームの総意だったご様子ですな。」
お嬢「自陣からのおビルドアップより敵陣で奪っておカウンターを優先されるのは、今のガンバの陣容を見ても理に適った判断ですわね。」
爺や「と、申されますと?」
お嬢「1つに前線のスピードですわ。メンバーをご覧くださいまし。山見様、石毛様、小野瀬様とスピードのあるお方が前線に多くいらっしゃいます。高い位置でおボールをむしり取ったらおゴールにまっしぐらできる方が多いんですの。2つ目はDFライン-GKの連携不安ですわ。とりわけギョンウォン様と東口様は初めてのセット。東口様もそこを気になされて細かく繋ぐよりもロングボールを使うようにしたみたいですわ。」
--意図的に大きなプレーを心がけているように思いましたが?
出典:Jリーグ公式 選手コメント
そうですね、あまり細かくというよりは分かりやすくというところで。今日は(クォン)ギョンウォンとも初めてプレーしたので、分かりやすくやったつもりです。
爺や「ご高説、感謝の極みでございます。また片野坂監督としてはこのハイプレスも標準装備にしたいご様子。現有戦力の課題を出さずに良さを引き出しつつ、マリノス対策にもなる。しかも今後に繋げる布石にもなる。一粒で3度美味しい選択ですな。」
お嬢「むむ、、まとめの美味しいところを取られた気がしますわ…ですが、そのおプレスを掻い潜ってこそマリノスの成長をお見せできると言うもの!剥がし散らかしますわよぉ~~」
お嬢「早速失点してるではありませんの!」
爺や「やってしまいましたなあ」
お嬢「呑気なことを言ってる場合ではありませんわ!同数おプレスのたびに毎回おもしろ失点メイカーになってしまっては、優勝する前に失点数が横浜市の人口を超えてしまいますわ!」
爺や「お嬢様、どうかお気を鎮めてくだされ。たしかにこの失点はサイドにボールが追いやられ、SBの松原様のパスコースが全て切られた結果ではございますし、何度かサイドでハマるシーンも幾度かございました。ですがマリノスは他のパスコースを担保することで前進を試みてございます。」
お嬢「パスコースの担保ォ?」
爺や「下の図をご覧くだされ。前半DF、GKからのパスに始まってペナルティエリアに侵入した経路を示してございます。」


お嬢「こうして見ると複数の手段で前進できてますわね。わたくし、おもくそハメられ続けたものとばかり思ってましたわ。」
爺や「印象論というものは誠に恐ろしいものでございますな。現にSofaScoreによると前半シュート6本(うち枠内2本)を放っております。前半シュート2本(枠内0本)に抑えられた広島戦に比べれば十分ボールを相手陣地まで押し込めていると言えるでしょう。」
お嬢「中央も上手く経由してボールを運べていますわ。言われてみれば、渡辺様と岩田様が相手おボランチを引きつけておパスコースを作られてましたものね。さしずめ宝塚の花道のようでしたわ~~この花道を通ったボールを、マーク担当が定まりきらずフリーになりがちなレオ様と西村様が受けてらしたのですね!」
爺や「しかしこの花道作戦”だけ”でなかったのがこの日のマリノスでございます。例えば渡辺様は両CBの間に降りて相手ボランチに『中央のスペースを空けてでも深追いすべきか』と選択を突きつけて悩ませておられましたし、キックに優れた永戸様と松原様におかれましても中央に入ってパスコースを増やされておられました。」
お嬢「加えて主に高丘様が出されていたロングパスもいいアクセントになったのではなくて?細かいショートパスだけならばあまり相手も移動することはございませんが、ロングパスで裏を突かれると長い距離を走って戻らねばなりませんもの。『もしかしてGKや深い位置にいるCBも潰しに行かないとロングパス蹴られる?』と思ってプレスが自陣深くまで及んだら逆手にとって裏のスペースをショートパスで突くこともできますし。」
爺や「ええ。選手個々の特色を使ってあの手この手でプレスを剥がして前進を試みる、まさにパズルを解くような45分だったと言えます。上手く剥がせていながらもゴール前に人数がかけられないシーンが多く、得点は奪えなかったのが惜しいところですが。」
後半
Q. 後半にスコアが動いたが両チーム変更はあったのか?
A. ガンバは2点目を奪いにいき、マリノスは手数をかけ始めた
お嬢「おエモですわ…おエモの過剰摂取ですわ…爺やはご覧になって?水沼様のあの左胸をお掴みになるお姿!わたくしのようなクソチョロ一般サポの涙腺にはおエンブレム掴みは刺激が強すぎますわ……」
爺や「お嬢様、本題を忘れておられますぞ。試合の振り返りを戻らなければ。小ネタのせいでもう3600文字を超えております。」
お嬢「ハッ、やべえですわ。おレビューを進めましょう。この後半での逆転はガンバ様が前がかったのが大きいとわたくし思っておりますの。先制点が生まれる数分前、54分のシーンが代表的ですわね。」

お嬢「ガンバ側の左サイド、WG山見様とSB藤春様はタッチライン際の高い位置を取っておられていて、その他の方は右側に集中してますわね。こうしてできたおスペースを山見様がドリブルで運んで使ったシーンですわ。」
爺や「恐れながら、このガンバのチャンスシーンがどうマリノスの得点と繋がるので?」
お嬢「ガンバが陣形を崩してでも攻めていることがわかりますことよ。ボールを持った際にSBも高い位置をとってマリノスの陣形を動かすことでゴール前まで行く回数は増えたかもしれませんが、一度ボールロストをしたら定位置に戻って埋めるまでには時間がかかってしまいます。ここをマリノスが使ったわけですわ。」
爺や「つまりガンバ側からすると、ゴールを狙うために陣形を変えてでも作ったスペースが逆にカウンターの温床になってしまったのですな。」
お嬢「ええ。現に54:42あたりはカウンターに晒されておりますが、自陣にはギョンウォン様と三浦様の2人だけ。変身ヒーローが変身しかかる生身の状態で猛ビンタ食らったようなものですわ。しかもこの中央スペースに入ってくるのが、よりにもよってチーム内屈指のボールコントロールの巧さと攻撃センスを持つ渡辺様ですわ!」
爺や「先制点はまさしく渡辺様の真骨頂が目白押しでしたな。こぼれ球をピタリと足元に収めてサイドの水沼様へタイムロスなく配球、しかもマンマーク気味についてきたボランチの奥野様を引っ張り出しておられます。」
お嬢「その後アシストに至るまでの一連の動きに無駄が一切ございませんの。一粒で6度くらい美味しい動きですわ。。」
爺や「このシーンだけでなく、渡辺様はゲームを通して全ての役割をこなされました。前半はガンバのプレスを回避するための位置取りとパスに徹し、後半相手の体力が削れてきたタイミングでゴールに絡む位置まで顔を出して結果を残され、かつ試合終盤にギョンウォン様にご退場いただくキッカケとなった抜け目ないランニングもされました。”ゲームの中心”と呼ぶに相応しい見事な仕事ぶりでございます。」
お嬢「シーズン前に代表に召集されながらも怪我やジョエル様、山根様の台頭に押されて雌伏の時を過ごされましたものね。。こりゃ完璧ズル剥k…じゃなくて、選手としての格をまた上げられてますわ!ポイチ様!ぜひ横浜もご覧あそばせ!」
爺や「しかしガンバがここまでリスクをかけた攻めを許容したのは何故なのでしょう。」
お嬢「追加点をとるかボールを保持することで、ゲームのテンポを自分たちで調節できるようにしたかったのだと思いますわ。1分間もしない間に両軍ゴール前を行き来するようなハイテンポな展開は、スタミナを消耗いたします。特に当日蒸し暑い中前半プレスを敢行し続けたガンバにとっては厳しいですし、反対にマリノスはそのようなオープン殴り合い合戦は慣れてます。」
爺や「自分たちにとって苦しい上に相手の土俵ともなれば、避けたいと考えて然るべきですな。ただそれならば自陣深くに引いても良かったのでは?」
お嬢「そうすると今度は自分たちでボールを奪いにくく、自陣でサンドバッグ状態になる恐れがございます。本当は籠城して跳ね返した後、前線の皆様がマリノスDFに圧勝してロングボールを収めてくだされば良いのですが、この第17節でデュエル勝利数No.1を記録した角田様を筆頭にマリノス側が競り勝つシーンがございましたので。」
爺や「なるほど。いくら籠城を決め込んだとしても、マリノスがボールを握っている限りはマリノスの好きなテンポで好きなように攻められてしまいますな。なのでガンバ側としてもボールをマリノスに渡さないための工夫が必要だったと。」
お嬢「そうですわそうですわ。あとこれはわたくしの憶測ですが、この試合で『ハイプレスを軸にして戦う』というチームの方向づけをするためには、0-1逃げ切りでは不足だったのかもしれませんわね。片野坂監督のハーフタイムコメントを読む限り、前半のように高い位置でボールを奪うことと後半のようにボールを持ちながら相手を動かすサッカーをこの試合で根付かせようとしていらしたのかと思いますわ。」
・奪ったボールが前線に入ったら全体で押し上げていこう
出典:ガンバ大阪公式サイト試合速報ページ
・強気でやるべきことをしっかりやろう
・自分達が勝ちたい気持ちを出して自分達のサッカーで勝点3獲ろう
お嬢「試合後の片野坂監督のコメントでも、『選手もやっぱり前から奪いにいきたいという思いの中で、共通していたのでそこをトライ』『高い意識、高い強度をハイテンポでできるゲームをやれるように』とあったので、尚更ここで自陣に引きこもることは選択したくなかったのでしょうね。」
爺や「目先の勝ちを考えた策と今後の進め方のための糧とするための策の違いですな。どこか我々が通ってきた道を思い起こさせます。」
お嬢「まったくですわ。2018年とか2020年とかはこの手のジレンマが多くあった年でしたものね…」
総括
お嬢「さて、終わってみれば逆転勝利ですわね!お首位!お首位でのターンですわ!」
爺や「前半失点を喫した点はいただけませんが、その後のプレスも耐え切り後半逆転に繋げたことはたしかな自信となりましたな。また文字数の都合上割愛いたしましたが、後半終盤は無理に攻め急ぐことなくボールを動かしながら相手の消耗を誘っておられました。クロージングにも成長の跡が感じられますぞ。」
お嬢「いやもうほんそれですわ!強いて個人名を挙げるとすれば、空きがちだった真ん中のスペースに入ったマルコス様のプレーが大きかったですわね。下男なんかはいちいち『上手えなあ…上手えなあ…』と声を上げてましたわよ。」
お嬢「ともあれプレスへの対応策も見えてきたことですし、次節柏戦のリベンジの準備は整いましてよ!」
爺や「お嬢様、天皇杯もお忘れなく。慢心は被ジャイアントキリングの元ですぞ。」
お嬢「も、もちろん忘れてませんわ!栃木とくれば串カツの次は餃子ですわ!ジャイキリと生活習慣病が怖くておサポーターはできませんことよ!」
爺や「お嬢様?」
<この項・了>