どうも、「夏休みの宿題は12/31で本腰を入れるタイプ」のお市です。三つ子の魂百までと申しますが、やるべきことを後回しにする悪癖は依然健在です。なので、気づけば開幕がすぐそこになってしまいました。前置きはすっ飛ばしてさっそく本題にいきましょう。
監督、GK、DFはこちらから!
目次
MF
6 渡辺皓太(なべこ)
Embed from Getty Images165cm 23歳 在籍4年目
予想ポジション:ボランチ一番手
〜マリノス2022シーズンパワープッシュプレイヤー〜
浮き沈みの激しい2021シーズンを経た小柄なゲームメイカーに、ポスト扇原のバトンが渡された。「マネージャーから連絡をもらって」背負うことになった背番号6は首脳陣期待の現れと見ていいはず。サポの期待が高止まりしているものの、3歩進んで2歩下がる進捗だったなべこ。昨年末の代表合宿招集に引き続き着実に完全開花に近づいている。
圧巻だったのはやはり昨季のラスト2戦でのパフォーマンスか。神戸戦ではイニエスタや山口蛍ら歴戦の中盤をかわしきり、川崎戦ではラストパス未遂を含む活躍と守備時の1on1対応を見せつけ、自身が扇原に代わるマリノスの中盤の主軸に相応しいことを証明した。
元々小柄な身体を逆手にとって相手の懐に入り込むボール奪取やボールテクニックは定評があったが、昨季のなべこは「次に何が起こるか」を予測してプレーできていたように思える。たとえばこの動画の1:29あたり。
ボールを受ける前に相手が後ろから来ていないか+次どこが空くかを素早く振り向いて知覚している。
また5:33のシーンでは囲まれながらも簡単にボールは離さず、あえてボールを持つことで、相手が寄せてきてできるズレが自然発生するのを待っている。ただボールを失われないのではなく、「今の状況から少し待つとどこが空くのか」を理解しているからこそ、なべこを経由するとスペースと余裕が生まれるのだろう。
才能の片鱗を見せるフェーズはもう十分やりきった。あとはマリノスの中盤の新たな顔役として、コンスタントに活躍し続けることが大事になってくる。ポジション奪取のチャンスだったのに退場処分を受けてしまったアウェイ横*FC戦のようなことはもう繰り返せない。代表合宿を終えて「この(代表の)レベルを基準にしないといけない」と意識も新たに気合十分。あとは白い巨人の某おにぎり頭の大エースのように「最高のなべこを観られると約束する。」と宣言してもらえば期待値は青天井だろう。

奥様の実紀夫人との仲は実に睦まじく、SNS無精のなべこに代わり奥様が色々発信してくれており、ついにYouTubeチャンネルを立ち上げるまでに。これが新しい「内助の功」様式か。そんな見てて微笑ましくなるわたなべファミリーに第2子が加わることに。第1子のあいくんはなべこにめちゃくちゃ似ているが、2人目はどうだろう。。
8 喜田拓也(キー坊、喜田プロ)
Embed from Getty Images170cm 27歳 在籍9年目
予想ポジション:ボランチ二番手
〜進化し続けるキャプテン・ヨコハマ〜
言わずと知れた横浜のバンディエラ。リーダーシップが服着て歩いているようなナチュラルボーン・キャプテン。リーグ戦ホーム最終戦でのあいさつでは毎回至言が飛び出すなどスピーチ能力にも長けるため、「いっそJリーグのコロナ対応プロトコルとかも喜田に喋ってもらえばよかったのでは」という声も聞こえるほど。なんなんだろうな、あの話の上手さは。
ただ選手として置かれる環境は決して安泰ではなく、今年も苛烈なポジション争いに身を投じることになる。特にポゼッション時の貢献度でいけば、ジョエル、なべこのようにボールの持ち方が上手く、相手を寄せ付けてから剥がす力量を持つ選手たちの後塵を拝しかねない。喜田プロもワンタッチで叩くのは上手いんだが、どうしてもボールを離すタイミングが少し早過ぎたりするのが惜しい。
ピッチ内でも光るリーダーシップや慈愛に満ちたリスク軽減のポジショニングもさることながら、ノーファウルでボールを奪い切るスキルは喜田プロの専売特許でもありマリノスを幾度も被カウンターの危機から(見えにくいが)救ってきてくれた。リード展開時のリリーフとして途中出場で使われることを考えれば干される心配はないが、いちマリサポとしては喜田プロが更に進化を遂げて喜田名人、果ては喜田永世三冠になっていく様が見たい。まだまだ27歳。「精神的支柱」という言葉を隠れ蓑にしてひっそりピッチから遠ざかっていくには早すぎる。今一度モンバエルツ政権下の時のように、「自身の成長がチームの成長」とばかりにガムシャラに抗ってもらいたい。
スーツ総選挙に浮かれ立つチームメイトを横目に、「ランキングとかつけるの良くないと思うな」「みんな違ってみんないいじゃん」と返す。金子みすゞの「わたしと小鳥とすずと」やSMAPの「世界に1つだけの花」の域にまでたどり着いたもよう。
14 吉尾海夏(かいな) WELCOME BACK!!
169cm 23歳 レンタルバック
予想ポジション:トップ下二番手
〜可愛い子に旅をさせた結果〜
仙台、町田と3年にも及ぶ武者修行を経てついに帰還を果たしたマリノスユース2017のNo.10にして横浜市民の息子。写真撮影の際のクラブスタッフも、「おかえり!」とまるで実家に帰ってきた我が子を愛でるように歓迎していた。復帰のコメントがまた泣かせる。
「この3年間どこにいても僕の体にはトリコロールの血が流れてました」
吉尾海夏 2022シーズン復帰時コメントより
仙台ではなかなか数字を残せなかったが、2度目のレンタル先の町田では昨季ポポ将の信任を得て覚醒。10G10Aと堂々たる結果を引っ提げ、首脳陣を結果で認めさせた末の復帰である。
海夏の代(2018とか?)あたりからマリノスは、新卒の選手を下位カテゴリのチームにレンタルするようになった。トップ昇格即レンタルなどもよくやったりしたので、人材派遣業でもやるつもりかと言われたり、川崎はユースから昇格した選手がそのまま活躍するのに…とか言われたりしたものだ。後者のコメントは見聞きするたび「はーー?<※あまりに口汚い罵声なので自己規制>」と心の中で叫んでいた。
今回の海夏のように結果を残して首脳陣を認めさせて帰ってきたのは、おそらく初めてだろう。各地に散らばった若きトリコロール戦士たちも「活躍すれば海夏くんみたいにマリノスに帰れるんだ」とモチベーションを喚起されるかもしれない。だからこの海夏がたどり着いた時点でも大きな意味を持つと筆者は思う。
だがマリノスに帰るだけでなく、ここでも数字を残すことこそが海夏の目標。「自信がなければ帰ってきていない」と言い切っている。先代の14番で天野純には「期待しかない」と言わしめた若きレフティは、持ち前の左足のキック精度とターン技術に加え、裏抜けのスピードまで身につけた。増えた武器と得た自信を携えて、いざマルコスとのポジション争いへ。
今季デジっち担当。前任の水沼宏太に「デジっちどうすればいいすか」と聞いたら「とにかく元気よくいけば選手はみんな応えてくれるから」とざっくり目のアドバイスをもらい、その勢いで喜田プロに「喜田くん!!!!!!どうすか!!!!」と話しかけにいって若干引かれていた。
16 藤田譲瑠チマ(ジョエル)NEW!!
Embed from Getty Images174cm 20歳 新加入
予想ポジション:ボランチ二番手
〜国内屈指の逸材はキャラ大渋滞〜
正直マリノスにやってきたのが未だに信じられないくらいガチのマジのヤングスター。念のため確認ですけど、よく似た双子の弟さんとかではないですよね…?しんちゃん、和田拓也、杉本竜士、なべこに続いてまたしてもヴェルディの育成組織出身。読売と日産の二強時代を知る世代の皆様からすれば隔世の感があるのではないでしょうか。
ヴェルディで2種登録時点で試合に出て、トップチーム昇格後即レギュラー、プロ2年目で先物買いを狙った徳島に個人昇格。「言ってもJ1だとビミョーなんだべ?」という声を覆すがごとく28試合出場。出来過ぎなくらいのキャリアパスを歩んで横浜にやってきた。たぶんここもそんなに長居せずに海外行っちゃうんだろうな
とはいえユースの時はベンチは愚かメンバー入りもかなわずビデオ撮影係だったとか。筆者もマリノスユースとの試合で観ているはずなんだが、正直まったく覚えてない。
武器はヴェルディ育ちらしい技術とプレーエリアの広さとボール奪取能力。「喜田と扇原を合体させて、究極のボランチを作りたいんですよ〜!」というトムブラウンみちおみたいな願望を抱いたマリサポは少なからずいるだろうが、それを叶え得る稀有な選手。あ、ロングキックは未実装です。
ただやれることが多くプレーエリアが広い選手のジレンマとして、居て欲しい時に居るべき場所におらず、ポジショナルプレー過激派の血圧を急上昇させてしまう、いわゆる”動きすぎ”の傾向も散見される。一見カオスに見えて案外繊細なマリノスのポジションチェンジをどこまで理解、実践できるかが活躍および早期海外移籍への鍵を握ってそうだ。
水沼宏太と肩を並べるくらいよく喋るしよく声が通るタイプで、マリノス合流後すぐの練習動画でもバンバン周りに要求するし指示も出しまくっていた。もしかしたらこうしたコミュニケーションスキルこそジョエルの最大の武器かもしれない。
声デカ以外にも練習後にヨガをやったりパンチ気味のパーマだったりとキャラ立ちしている。健さんと同じ2/16生まれ。近頃20歳になったが10代の頃と変わったことは特にないらしい。まあ、これからよ…
18 水沼宏太(こうた、宏太パイセン)
Embed from Getty Images176cm 31歳 在籍3年目
予想ポジション:RWG二番手
〜クラブ公式PodCast『SPEAK OUT!』いつも聴いてます〜
アシストメイカー兼ジョーカー兼前プレ担当大臣兼新戦力のポジショニング管理官兼大声コーチング部長兼法人営業兼クラブ公式PodCast『SPEAK OUT!』パーソナリティ兼マネフォ先生。1人で何役こなすつもりなんだろうか。会社にいたら個人スケジュール表が「【新規プロジェクト】キックオフ」とか「◯◯再発防止MTG」とか得体の知れないミーティングで埋め尽くされそうなくらい幅広く活躍している選手。
そんな宏太パイセンだからこそ、サポはもちろんチーム内からの信頼が厚い。ゴールが決まればピッチ内の選手もベンチの選手も喜ぶのはサッカー選手あるあるだが、彼がゴールした時は通常の3割増しくらいでみんな嬉しそう。ポジション争いのライバルでもあるテルも我が事のように喜んでいるあたり、根っから慕われているのが見て取れる。
ただどんなに周りが慕ってくれて居心地がいい会社でも、自分の価値をより試してみたいと思うのは自然な流れ。ましてや会社に属するわけでもない個人事業主たるサッカー選手なら、「出られないなら別のチームへ」と思っても仕方ない。だが、宏太パイセンは残った。昨季先発は1試合のみ、他クラブからのオファーもあったにも関わらず、だ。
日産自動車サッカー部から数えれば50周年、マリノスとしては30周年となる今季は、父でありクラブのレジェンドでもある貴史氏(現・蹴球メガネーズ)にならって背ネームを「MIZUNUMA」に変更。攻撃陣でも数少ない30オーバーの選手が、もう一度自分の価値を証明するために、親子2代で愛したクラブのために、並々ならぬモチベーションをもって2022シーズンの戦いに挑む。もうエモさが池井戸潤作品のそれなのよ。
そんな水沼宏太を後押ししたい!となったそこのあなたは、ぜひ「SPEAK OUT!」公式グッズをお買い求めください。(当ブログ初のダイレクトマーケティング)
ちなみに最近口髭とアゴ髭を伸ばし中。明治維新前に活躍した志士っぽい。
28 山根陸(リク)NEW!!
173cm 18歳 新加入
予想ポジション:ボランチ三番手
〜ユース随一のテクニシャン〜
世代別代表を歴任し、マリノスユース893周りどころか国内の育成ヲタクたちにもその名を知らしめてきた中盤のマエストロ。余談ですが今季筆者はリクのユニを買いました。
ユースからの昇格選手がやってくるとどんなプレーヤーなのか(程々にしかユース見てないのに)よく聞かれる筆者だが、リクについて聞かれたら「とにかく上手い」と返すようにしている。なに?ざっくりすぎる?では「テクニックに長けたボランチ」を想像してください。その選手のトラップとパスの能力値をそれぞれ5倍してください。それがリクです。
詳しくは、過去記事で書いているのでこちらをご参照ください。
「マンチェスターシティでプレーする」と明言したにっしーとは異なり新体制発表会ではあまり多くを語らなかったが、「最終的な目標はA代表でワールドカップなどの公式戦で活躍すること。」という点だけはハッキリと断言していたのが印象的だった。
吉尾海夏、山田康太といった偉大なるマリノスユース技巧派MFの先人たちも、1年目はプロのプレースピードとフィジカルに若干手を焼いた。またマリノス自体のレベルが上がったので、同じくテクニックで売っていた司令塔タイプで1学年上の植田啓太はレンタルに出ることになった。
激戦区となるボランチで出場機会を得るには、彼ら以上のインパクトが必要。トップ昇格を手繰り寄せた昨夏の練習試合のように、チームのヘソとなる仕事ぶりをプロレベルでも見せてほしい。
今時珍しく公式SNSアカウントは持っていない。まあTwitterなんてやってもしょうがないからね。私が証明です。
35 樺山諒乃介(カバ、KABAちゃん)WELCOME BACK!!
Embed from Getty Images171cm 19歳 レンタルバック
予想ポジション:トップ下三番手
〜From WestエリアのYoung Blood〜
ちょっと目を離した隙に髪色を変えている興國産ヤンチャ坊主兼トリックスター。昨季は強気に仕掛けるドリブルを買われてマリノスでもレンタル先の山形でもサイドで起用されていたが、今季は高校時代でもプレーしていたトップ下での起用が濃厚。
エウの怪我もあったとはいえ、昨季開幕スタメンを射止めた実力に疑いはない。のちに代表入りする川崎のSB山根も手玉にとるドリブルは、マリサポを大いに沸かせた。
けどKABAちゃんの武器は派手なドリブルだけではなく、「自分が何をすればどこが空くのか」とスペースを意識して動ける点にあると筆者は思っている。このシーンでもドリブルで中に切れ込んでパスした後もそのままDFを連れて中央へ。きちんと自分がDFを釣ったことでAJが空いたかどうかを見ている。
観客を沸かせる派手なテクニックも、注目を集めるようなビッグマウスも霞むくらいのポテンシャルがあるのは確実。トップ下のライバルは強力だが、出た試合で確かな結果を残せば成り上がれるはず。なんてったって本人曰く「点取ったもん勝ち」ですから。三番手から大まくりでレギュラーのフェアリーテイルも、目立ちたがりのし上がりたがりのKABAちゃんなら大マジで狙ってるはずだ。
ビッグマウスゆえに周りに煙たがれるかと思いきやバロンドール級の末っ子力の持ち主で、先輩たちに可愛がられやすい。小林祐三氏に「後輩を指導しているイメージが湧かない」と言わしめた天野純も懐柔したと思いきや、レンタル先の山形では山田康太と早々に仲良くなった。というかプリンスも兄貴って言われる年頃になったんだなあ…
FW
7 エウベル(エウ)
Embed from Getty Images170cm 29歳 在籍2年目
予想ポジション:RWG一番手
〜限界なんて「知らねえです」〜
優しげな垂れ目がかわいいブラジリアンぬるぬるドリブラー。昨季は開幕戦を怪我でスキップしたのもあってフィットに若干時間がかかったが、徐々にテルから定位置を奪取。小池龍太とのゴールデンコンビでマリノスの攻撃を支えた。ちなみにチャンスクリエイト数は16回でリーグ最多。
ひとたびボールを持てば最低1人はドリブルで抜いてくれるので、神様仏様エウベル様(ついでに早くにエウに目をつけていたSTEP ON MCのOJ様)と言わんばかりの無双っぷりだったわけだが、いかんせんゴールが遠い。たまに狙いすました一撃を見舞うこともあるが、基本エリア外からのシュートは「まずは枠を捉えてくれ」と祈るレベル。特に利き足と逆の左足のキックは大いに改善の余地あり。


「エウが外したシュート本数など、彼が積み上げたチャンスメイク回数で十分おつりが来る」と言えば確かにそうだが、相手も徐々に「どんなに突破しても縦えぐってクロスだろうな」と対応を変えてきたのも事実。マルコスほどあからさまではないが、上手くいかないとプレーが雑になったり不服そうな態度をとることも多いので、今季はゴールも狙えるところをチラつかせて対策を上回っていきたい。
ゴールセレブレーションは息子といっしょに観ているベイビーシャークをモチーフにしたものらしいが、アシストしてくれた選手を讃える「靴磨き」もよくやってるイメージがある。イライラしがちとはいえ根はマリノス歴代ブラジリアンでも屈指のいい人っぽい。
9 レオ・セアラ(レオ、レオちん)
Embed from Getty Images178cm 27歳 在籍2年目
予想ポジション:CF一番手
〜肩にちっちゃい重機載せてんのかい〜
昨季8月リーグ月間MVPの夏男。日本初挑戦となった2016年のFC琉球(当時J3)では2得点に終わったが、失意から立ち上がるべく筋トレに励み、リベンジとなった去年は10ゴールをマーク。キャリアのV字回復の陰で筋肉教に目覚めた。その点でいえば、概ねマヂラブの野田クリスタル。
来日当初は相手DFラインとの駆け引きを主にしていたが、オナイウ移籍後辺りからプレースタイルが徐々に変化。オナが実施していた、降りて攻撃の組み立てに参加する動きも取り入れるようになった。自分が点を取る形にこだわるよりかはチームの助けになる方を選ぶ利他的なメンタリティを持つ。その点でいえば、概ねエジ。
チームにも適応した夏場は大爆発。ヘッド、ワンタッチゴール、弾丸FKと多彩なゴールパターンを見せつけた。しかし上位陣とのゲームが増えた秋以降は、チームの調子と暑さと共にプレーも下降線を辿ってしまった印象。「計算できる真面目なFW」ではあったが、「苦しい時でも点を取ってくれるエースストライカー」とはならなかった。今季はアンロペ、西村と新たなライバルとポジションを争う。よりコンスタントに結果を出すためにも、もうちょっとわがままに振舞ってくれてもいいのよ…?
デジっちの収録時期と誕生日がかぶったので、担がれて海に落とされるドッキリを受けた。若干グダグダしたのでリアクションが取り切れず「やるならちゃんとやれ」とツッコミを入れており、リアクション芸にこだわっているご様子。その点でいえば、概ね出川哲朗。
10 マルコス・ジュニオール(マルコス、クリリン)
Embed from Getty Images169cm 29歳 在籍4年目
予想ポジション:トップ下一番手
〜イメチェン中のキングオブトリコロール〜
天上天下唯我独尊、唯一無二のキング。トップ下の玉座に収まるを良しとせず、相手が嫌がるところを見抜いてはそこを抜け目なく使って、そして60〜75分あたりで定時退勤する。長らく御髪下ろし奉っておられ、名をばクリリンと申されていたが「我が頭にも髪伸びぬ」とて今は伸ばし奉っておられる。あなや、もはやクリリンとは呼べぬ。
さて現代サッカーにおいて、「王様」という言葉は味方がひねり出したスペースや時間を食いつぶす独善的なプレーヤーを揶揄する意味合いで使われがちだが、マルコスの場合は特別扱いされるだけの理由がある。1つはボールを扱うテクニック、もう1つは立ち位置の嫌らしさだ。神戸のイニやんほどではないが、マルコスが向かう先を追えばそのチームの泣き所がわかると思えるほど、その位置どりは的確。例えば相手のサイドに自軍のWGを止められる存在がいないと見るや、WGとワンツーができるような位置を狙ったりする。
ただ攻撃の組み立てに参加する反面ゴールから遠のいてしまったのも事実。名ゴルファーのアプローチのように正確無比なエリア外からのコントロールショットも昨季は枠を捉えず、天を仰いだり悔しがるマルコスをよく見た覚えがある。
吉尾海夏、樺山諒乃介といった活きのいい若手が玉座を虎視眈々と狙っている今、改めて「王の威厳」を見せつけるためにもNo.10のゴールが見たいところ。髪型が変わろうと彼に似合うものは変わらない。悔しそうな顔ではなく、満面の笑顔とスタジアムに火をつける咆哮だ。
ボールの扱いだけでなく、ドライビングテクニックも秀逸であることが判明。スキンヘッドに戻った暁にはワイルドスピードに出て欲しい。
11 アンデルソン・ロペス(ロペス、アンロペ)NEW!!
Embed from Getty Images185cm 28歳 新加入
予想ポジション:CF二番手
〜遅れてやってきた理不尽〜
フルネームはアンデルソン・ジョゼ・ロペス・デ・ソウザ。今季の理不尽戦術兵器枠。エリキ、ジュニオール・サントス、ダイゼン・マエダのチームびっくり人間に入りそうなブラジリアンストライカー。ここ数年のチームびっくり人間のおかげか「ポジショナルとか華麗なパスワークとか見栄えのいいものだけでは試合を決められぬ。最後は論理もへったくれもなく無理やり殴る棍棒も必要。」とマリノスは学習している説がある。
「(2022年2月時点では)外国からの入国はできないはずでは?」と思ったら、速攻魔法「去年いたのでまだビザが残っていた」を発動。来日後の数日の隔離期間のみで済んだのでもうチームに合流している。この辺の隙のなさも流石メルカート893。
2020年に鬼畜マンツーマンとカウンターと北海道物産展と銘打っておきながら花畑牧場を呼んだことへの憤怒で札幌が川崎を粉砕したゲームがある。
このゴールにもあるように、ゴツい身体をうまく使って相手をはね飛ばしながら進み、無理な体勢でも枠に飛ばせるのがストライカーとしてのアンロペのメリット。ここはサンちゃんことジュニオール・サントスに似ており、相手のガス欠を誘発できるマリノス向きではある。
ただサンちゃん以上に、エリア内でワンタッチで合わせるのが上手い。「何が何でもその場で止まって足元でマイナスクロス受けて足を振りたい」という強い気持ちでニアに飛び込んだりは基本しなかったサンちゃんと比べると、ワンタッチでも点を取れる自信があるからかニアにも顔を出す。また札幌でCFを任されていた時にはシンプルなプレーで周りも上手く使えていた印象がある。こう書くと「サンちゃんver.2.0」っぽいが、筆者の所感は概ねそんなところである。
ちなみに高さの割に空中戦は不得手。SofaScoreによると2019〜2021シーズンの平均空中戦勝率は34%(参考:「半年で多くのマリジェンヌの心を奪い去った男」けんゆーは58%、去年のレオちんは43.7%)とビミョー。3シーズンで30点を計上しているがヘディングでのゴールは5発のみとあんまり上手くない。大島秀夫アシスタントコーチに魔改造してもらう他なさそう。
紅白戦ではLWGで起用されるなど、マスカット監督も起用法を模索中のよう。ちなみにアンロペ本人は「LWGやったことないんでしんどかったっす(意訳)」と答えてる。まあ、なんだかんだCFに落ち着くんじゃねえかな…
現在アンロペ自身は単身赴任中だが、奥さんは旦那不在中にめっちゃ羽根を伸ばしている。
17 宮市亮(リオ、ミヤチコ、亮君)
Embed from Getty Images183cm 29歳 在籍2年目
予想ポジション:LWG三番手
〜二枚目かつ三枚目の残念なイケメン〜
宮市亮、マリノス加入。昨夏この報道を受けて筆者は「元アーセナルのワンダーボーイ」「プレミアリーグ経験者」などの輝かしいキャリア、そして爽やかな高身長イケメンっぷりが頭によぎった。
「ああ、また1人すごい経歴のイケメンが入ってくるんだ。」
そう思ってたのも今は昔。
チームのLINE LIVE、PodCastなどで見聞きする、このハイテンション一発ギャグお兄さんがあのRapid Ryo(プレミアを沸かせてた頃のあだ名)こと宮市亮だとはにわかに信じがたい。だがもう気付けば先輩後輩同期構わずいじられるムードメーカー枠である。10年前を知らない世代のマリサポには、「この人ほんと凄かったのよ!」と言いたい。というか今季のデジっちとかもはやミヤチコワンマンショーやないか。
外見の精悍さと中身のおもしろお兄さんっぷりでピッチ外での活躍は上々。けど大事なのはピッチ内だ。
昨季はリードの外れたドーベルマンの如くガシガシプレスに行くはいいものの、後ろと連動できておらず広大なスペースを開けてしまったり、何よりハードすぎてJリーグの笛ではファウルになってしまったりでリーグ戦出場わずか2試合。優勝に向けて勝ち星が落とせない緊張感の中では、守備の穴を作ってしまいかねず怖くて起用できないというのが指揮官の本音かもしれない。マリノスのサッカーとJリーグへの適用に大いに悩んだシーズンだった。
両足で高速クロスを上げられるスペックや仕掛けながら味方に攻め上がる時間が与えられる点は大きなメリット。あとは理解を深めてデメリットを減らしてくれれば、自ずと出場機会は得られるはず。アジャストに泣いた昨季を糧にできるか。我々は「この人ほんと凄かったのよ!」と過去形ではなく「この人ほんと凄いのよ!」と現在形で今の宮市亮を誇りたい。
23 仲川輝人(テル)
Embed from Getty Images161cm 29歳 在籍5年目
予想ポジション:LWG一番手
〜GTR、再発進〜
ご存知リーグ優勝した2019シーズンの得点王兼MVP。2020シーズン以後は怪我の影響もありなかなか数字を残せていないが、それでも変わらずマリノス屈指の人気を誇るチームの象徴。新シーズンユニフォーム予約ランキング1位の事実がその支持率を雄弁に物語る。
筆者含めてテルへの人気や期待が高止まりしているのは、神戸からのオファーを蹴って残った2021年夏の移籍市場の出来事などの恩義に厚いキャラクターだけではないと思う。
限られた時間で確実に仕事ができる水沼宏太の影に隠れがちだがテルもまた、いつどんな時でも最適なプレーができる「計算の立つ」選手なのが大きい。トレードマークの足の速さもさることながら、そのトップスピードの中での的確な判断とゴールに直結できる武器(ペナルティエリア外からの巻いたシュート、えぐった後の速いクロス)を持ち合わせている。テルがボールを持った時にマリサポを沸かしているのは彼の人気だけではない。要所で積み重ねてきた彼のゴールとアシストこそが、我々に期待を抱かせるのだ。
昨季、ゴール数だけでなく常軌を逸した守備参加でもチームを助けた前田大然はもういない。だがSBのフォローもしながら攻撃でも貢献する姿勢は、レギュラーに定着した2018シーズンからテルがやっていたものでもある。人員の入れ替えや戦い方のマイナーチェンジによるトライアンドエラーが予想される今季、計算できるテルの存在が実に頼もしい。ハマのGTR、マリノスのエースナンバー23が紡ぐ第二章に期待。
20代最後の歳になってもなおいたずら小僧ムーブは止まず。早速集合写真で大いにチョけた。
30 西村拓真(たくま、にしむー)NEW!!
Embed from Getty Images178cm 25歳 新加入
予想ポジション:LWG二番手、CF三番手
〜口は常に半開き〜
この選手を語る前に避けて通れない映像がある。
4年前の初の海外挑戦となったCSKAモスクワの歓迎動画が未だにこすられる不憫なストライカー。チャームポイントは基本半開きの口と鋭い眼光。試合中よく(迫真)って感じの顔になる。ベガルタサポのモトさんが紹介文を書いてくれてるのでこっちを読んで欲しい。
ちなみに年の近い別の仙台サポ(ほろ酔い)に「西村どうなん?」と聞いたら「西村ぁ?シャドーだから!」とにべもなく一蹴された。
左サイドから斜めにズカズカ裏抜けしていく動きと、大然ほどではないにしても十分うざい(※褒めてます)プレッシング、距離を問わないシュートセンスが持ち味なので、動き回りながらゴールに向かっていけるシャドーは最適解かもしれない。だが、昨季の仙台では1トップでゴールを背にするプレーも経験済み。やりくりが厳しくボールを彼に届けるまでに苦労していたからか、タスク過多っぽかったけれど横浜ではどうだろうか。
アンロペ、レオちんといったCF候補者はどちらもブラジリアンのため、ACLの登録枠を考えると起用できないタイミングもあるかもしれない。なので「CF西村拓真」を必要とするタイミングはあるはず。その辺を意識してかコーチ陣はにしむーにゴール前での動きを指導しているとのこと。
「F・マリノスの漢になれるように」と入団コメントで語り、マリサポ受けは早くも上々。オナ、大然と立て続けに日本人FWを覚醒させてきたマリノスでゴール量産なるか。
高校時代から試合前に水回りを掃除するルーティンがあるらしい。
39 ンダウ・ターラ(タラちゃん)WELCOME BACK!!
186cm 22歳 レンタルバック
予想ポジション:CF四番手
〜I know I can, Be what I wanna be〜
セネガルにルーツを持つ重戦車系CF。2021に大卒でマリノスに入ってそのままタッチアンドゴーで町田へレンタル。今季しりとりの終わりとマリノスの若手CF問題に待ったをかけるべくレンタルバック。
が、ドゥドゥ、長谷川アーリアジャスール、中島祐希、鄭大世といった錚々たる面々の牙城はさすがに崩せず出場時間わずか22分(途中出場2試合)にとどまる。大学時代のプレー動画を観た印象では、「はやい、デカい、ゴツい」という吉野家ばりの三拍子が頭に浮かんだが、プロでもその片鱗はほんのり見せており、J2のヤヤ・トゥーレこと長崎のカイオ・セザール相手でもボールキープできるところは確認した。
しかしこの時のイメージだけで推測するのは無理がある。ダクトから漏れ出た蒲焼きの匂いで白飯をかき込む以上に無理がある。今年はレンタルの貰い手となる他のJクラブも同様だっただろうから、受け入れ先が現れなかったため正直マリノスに帰還した線が強い。
とはいえ、チャンスはチャンスだ。アンロペやサントスのようにブラジリアンFWで重戦車系はいたが、日本人でこのタッパと重さはなかなか稀有であり、登録枠の関係でアンロペやレオちんを外さざるを得なくなるかもしれないACLで火を噴くかも。今季最大のサプライズになれるか。
にっしーやKABAちゃん同様HIP HOPやR&Bが好きらしく、仕草の端々にそれっぽさが窺える。この動画の0:29あたりで「一票お願いします」と指を一本立てていたが、手の甲を前にしてる辺りLose YourselfのMVの冒頭っぽい。だがここはあえて(もうタラちゃんはとっくの昔に知っているだろうが)オススメのこの曲で本紹介文の締めとしたい。
以上のプレイヤー30名とコーチングスタッフが、マリノスの2022シーズン開幕メンバー。夏に出入りがあるだろうが、ひとまずはこのメンバーで。タイトル獲るんだ絶対に!
<この項、了>