【トリコロールの】やけにやかましい2021シーズン昇格内定選手ずかん【継承者】

どうも、「ユース戦士たちを頼んでもないのに見守る近所のおじさん」系マリサポのお市です。頼んでもないのに勝手にやってるあたり緑のおばさんよりもタチが悪い。

今年もこの季節がやってまいりました。ユース3年生のトップ昇格の季節です。

だいぶ遅くなってしまいましたが、今年もユースから昇格する西田、山根両選手をやたら熱っぽく、やたら主観的に語っていこうと思います。去年と今年現地で観戦できていないので推測多めになってますがその辺はご了承ください。

それでは来季内定者紹介、はっじまーるよー。

SB, CB, DMF 西田勇祐(にっしー)

2003年8月6日生まれ 179cm/70kg

〜豊富な武器を揃える真の「ポリバレント」〜

知ってること

ユース2年まではボランチ、現在はCBとしてプレーしている万能戦士。「展開力に長けるセントラルプレーヤー」と公式選手名鑑では書かれているが、もはや常連となったエリートリーグではSBでもプレーしている。すっかり本人もその気なのか、ボール保持でも絡めるSBでのプレーを楽しんでいる節がある。小池龍太と松原健のいいとこどりを目指しているようで、シティのカンセロもロールモデルとのこと。多種多様な武器を取り揃えている選手なので、攻守の様々なシーンに関わるマリノスではもしかしたら「なんでもできるしタッパも申し分ないSB」として名を上げていくかもしれないし、一周回って元々のボランチで花開くかもしれない。ポケモンのイーブイの如きポテンシャル。

中学3年で出場したクラブユース選手権ではベスト4入り。ただ世代別代表歴はなくネット上のコメントも数えるほど。だがそのコメントや試合の映像を見る限りはアツく向上意欲のある選手である。とあるゲームの自陣ゴール前、「あー、撃たれちゃったか。けどまあコースは切れてたしシュート外れたからいいでしょ」と筆者が思うような守備のシーンでも、「もっと上手く守れたはずだ!」とばかりに地面を叩いていたのが印象的。
ゴール時には見ているものの心を揺さぶるデカめのガッツポーズをキメたりする。今年の高円宮杯プレミアリーグ第9節流通経済大柏戦では、相手との接触で頭部から出血しながらもゴールと魂のシュートブロックで勝利に貢献。雨の中でのガッツポーズは画面越しでもグッとくるくらいエモかった。あと顔立ちは若干ケイマンに似てる。

小学生の時に所属していた街クラブ、横浜GSFC出身選手としては初めてのJリーガー。幼い頃からサッカー小僧だったらしい。

強み

基礎的な身体能力、技術が軒並みハイアベレージ。180cm近い身長とジャンプ力、(さすがにチアゴクラスとは言えないが)足も速く、最後の1分まで走れるスタミナも持ち合わせている。筆者の推測だがシーズン前のチーム内体力測定はかなりいい数字を出しそう。
また身体の真ん中にボールがあることが多く、右利きながら左足でのプレーも苦としないため、「右足で出すと見せかけて左足でパス」など相手のプレスを狂わせるテクニックも◎。ユースでは両サイドのCBを経験しているし、エリートリーグではLSBに回っても特に問題なくプレーできている。技術の中でも特筆すべきはロングキック。低くて速いため、対角線フィードなどドンピシャで味方に届けるのもできる。ハイラインの裏を快速でカバーし、長短のキックで相手のプレスを無効化できるCBとしてユースでは「にっしーがいるから大丈夫」と思えるくらい重宝している。試合を読む目も優れており、「次に何が起こるか」「次にどこが空くか」という予測にも長ける。ボール保持(攻撃)では細かくSBとパス交換をしながら穴を探りつつ、好機と見るやWGにフィードを飛ばすなど最後尾からゲームを揺り動かせる。非保持(守備)では快速に甘えずに早めに次の展開を予測してカバーリングの一歩目を踏み出している印象。

課題

エリートリーグなどプロと混ざると、プレースピードとプロ選手の身体能力にまだアジャストできておらず、今の所は数々の武器を思うように発揮できていないように見える。
とりわけ1on1の対応はどのポジションでも目下の課題。最終ラインの選手にしてはまだ線が細く、エリートリーグではボールをめぐる相手FWとのおしくらまんじゅうやかけっこであまり勝てていない。快速と予測を兼備したカバーリングでプロのFWの裏抜けも追いついてはいるが、その後身体を先に入れられてボールを奪い切れないケースが散見される。(観る側の筆者がチアゴで感覚が麻痺しているのも正直あるかもだけど)「よし、マイボーr …にならない!」みたいな感じ。
あとSB歴の浅さがプレーの端々から垣間見えてしまいがちでもある。ボール保持時の「カウンターを予防するための立ち位置」や「次にパスが引き出せる立ち位置」に入るタイミングが若干遅いのか、サイドでのボール回しで「にっしー!」と周りから名前を呼ばれる回数も多く、守備(ボール非保持)も迷いがあるのかボールを奪いに行くのをためらっているもよう。

期待

古くは兵藤慎剛や金井貢史、今なら岩田智輝を見た我々マリサポは、武器の多い選手がいかにチームを救ってくれるかを知っている。ましてやポジションに縛られずCBが攻撃のタクトを振るい、SBがフィニッシュに絡むタスクの多様なマリノスのサッカーでは、意外な局面で意外な武器を求められるかもしれない。
とはいえ、万能型と言われる選手はフィットできないと「これといった武器がない」という烙印をあっさり押されるのがプロの世界でもある。数々の武器を研ぎながら、なるべく早く「これならプロの世界でも負けない」と言えるものを見つけるのが最優先かもしれない。そして将来的には「裏を抜かれても、怪我人が出ても、導入する戦術が斬新すぎてもにっしーがいるから大丈夫」と言われるくらいにマリノスに安心と幅を与える存在になってもらいたい。

CMF 山根陸(リク)

2003年8月17日生まれ 173cm/65kg

~「マエストロ」は、たゆたえども沈まず~

知ってること

パリの市章に刻まれた言葉がしっくりくる、不屈のプレーメイカー。「巧くて賢い強かなフットボーラー」という公式名鑑が示す通り、技術とセンスは折り紙つき。トップチームの4-2-3-1に当てはめるならボランチの一角だろうけど、プレーエリアはやや前目(敵陣寄り)。ボランチ和田拓也のように距離感を保ちながら、ボランチ天野純のようなパスで攻撃を仕切っていく感じの選手。本人の憧れはイニエスタ。理数系は苦手らしい。

10番キャプテンの重責を担ったU-15日本代表をはじめとした各世代別代表でのプレー歴が物語るように、早くから将来を嘱望されてきたエリート。中学3年で出場したクラブユース選手権でもマリノスジュニアユースの10番キャプテンとしてベスト4入りに貢献。ユース昇格後も1年目からAチームのメンバーに食い込むなど順風満帆のキャリアを歩んでいた。
しかし好事魔多しとばかりに、1年生の後半から2年生前半は怪我での離脱やコロナによるリーグ自体の中断などで徐々に実戦から遠ざかってしまうなど受難の日々を送る。いつだったか有観客のときに観たユースのゲームで、ただ1人だけ足を引きずり試合は愚かその周りの練習にも混ざらなかったリクを見た時は、筆者も怪我の残酷さを痛感したものだ。
だがリクはそこから立ち上がった。出場した試合では確かな技術を見せつけ、ともすれば縦に急ぎすぎになったり前進手段がわからず迷子になったりしがちなマリノスユースの攻撃をパスワークで引き締めた。さらに五輪期間のトップチーム宮崎キャンプに帯同すると、練習試合のヴェロスクロス都農戦4本目で出色のパフォーマンスを発揮。(LINE LIVEプレミアム会員の人はアーカイブ観れるのでぜひ)ワンタッチ、ツータッチのプレーでパスを細かく交換しながら味方と相手の重心を動かし、崩しを引きださせる動きを連発。派手さこそないものの「このゲームの中心は誰か」を確かに示した仕事ぶりだった。このゲームでの出来が評価されたのか、怪我に泣いた不遇の日々を覆してついにトップ昇格の切符を掴むに至る。

強み

トラップひとつ、キックひとつで見る者のため息を誘うテクニシャン。またターンの半径も小さく小回りが効くため潰されにくい。ユースだと特に名前と顔が知られているからか、相手チームも「山根=めっちゃ上手い」は共通認識としてあるようで2人以上で潰しにくるが、それでもチームメイトは「リクなら取られないでしょ」とばかりにボールを預けるし、現にヒラリとかわしてみせる。ボールを奪いに来る相手などの”矢印”の逆を意識しているようで、健さんお得意の「出し先が読みにくいパス」の使い手でもある。1試合通しで観てると「山根うめえ!」と4回は唸ると思う。筆者はたまに唸るの通り越して噴き出すくらい上手い。遠くを見渡す姿勢の良さとそこを射抜くパスの正確さも見事。
さらに相手の穴や自分たちのビルドアップの問題点をつぶさに感じ取り、解決策を提示できる解析能力も有する。「あれ、なんかボールの通りがいきなり良くなってない?」って時、プレーを辿ってみるとリクが関与していることもしばしば。いるだけでパス回しの淀みを掃除してくれるので、中盤に置くだけブルーレット感がある。

課題

プロレベルの速いプレースピードになると選択肢が狭まっている印象がある。エリートリーグなどプロ相手だと、まだタメを作って相手を引きつける…などのユースでしていた余裕を持ったプレーをするための判断の時間が足りていないように映る。ボールの扱いとパスの出しどころのチョイスはプロレベルでも問題ないため、少ないタッチでの小気味いいパス回しもできていて、時折目の覚めるスルーパスを通すシーンもあるが、本来の引き出しを全て使いきれていない感が否めない。
司令塔系ボランチによくありがちな守備への懸念も。ボール保持時の冷静かつ的確なプレーぶりとは逆に、不準備だったのか非保持の時は慌てて相手を潰しに行くリクの姿をユース、トップ問わず何回か観てきた。真面目に穴を埋めたり素早くチェックに行こうという気概は感じられるので、「戦える司令塔」という印象は受ける。だがスペース潰しも若干遅かったり当たり負けしたりと改善点は多い。長所であるパスワークの巧みさは失うことなく、喜田名人あたりから守備の極意も学んでほしい。

期待

良くも悪くも「縦に速く、早い」マリノスのサッカーは、司令塔系のボランチにとってやりづらいところもあると思う。ややもすれば中盤もフィジカル・スピード勝負になりかねず、リクのようなテクニックで売っている選手にとっては長所が出しにくい時もあるだろう。
それでもなお、トップでやっていてもブレないボール扱いとパスセンスを見ていると、ゆくゆくはマリノスのビルドアップを改善してくれるのでは…と期待せずにはいられない。鹿島が柴崎岳を得て1つ大きなステップを上がったように、リクの成長がそのままマリノスの進化につながる気さえ感じさせる。怪我に泣いた高校年代のように思い通りにいかないこともあるだろうが、逆境をはねのけて掴んだ今回のトップ昇格は1つの成功体験。横浜の、いやさサムライブルーのマエストロとして「周りには四の五の言わずに認めさせる」圧倒的な指揮者っぷりを期待したい。

以上!ポジションやキャラクターは違えど、サッカーを知る2人が上がってきた印象です。ぜひぜひ期待してみてください。

<この項・了>

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