はじめに
どうも、「キャッチしたあとのスローが素早く的確なGKは無条件で推す」系マリサポのお市です。
さ、時間がないから巻きで行きましょ!今回はGK編です。今年のGKはなんと手厚い5人体制でかつ皆粒ぞろい。アンジェマリノスの最後の門番にして最初の攻撃者たちに触れていきましょう。
GK 1 高丘陽平(ようへ、ダンベル高丘)
Embed from Getty Images181cm/24歳
昨シーズンのJリーグ屈指のトンデモディール、「パギを売って高丘を買うの計」(ひねりなし)で射止めたアンジェマリノスのサッカーにドンピシャな現代的キーパー。出身も横浜なので里帰りを果たした格好である。なに?出身は横浜FC?そんな野暮なこと言うんじゃない。
まさに鳴り物入りで入ったようへだったが、昨シーズンはほんっとおおおおおに勝ち星に恵まれなかった。デビュー戦となった広島戦、エヴェラウドと上田のゴラッソに沈んだ鹿島戦、塩試合の湘南戦、アウェイ川崎戦に至っては割りを食う形ではあったが一発退場となってしまった。ACLのシドニー戦は引き分けに持ち込まれて初勝利ならず。なぜだ、なぜそこまで勝たせてくれぬ。前世で悪いことでもしたのか。そうこうしているうちにオビちゃんにゴールマウスを譲ってしまった。
だがそのスペックに疑いの余地はない。キャッチング、シュートへの反射などのゴールキーパーとしての基礎技術はもちろん主力を張るに相応しいレベルにある上、いわゆる「繋げる」GKでもある。
特にハーフウェーライン手前くらいまでの高い位置をとったSBに向けて、ぴたりと合わせるミドルパスも一見の価値があり、プレス回避にはもってこいの武器になる。クロス対応に難ありかと序盤は思っていたが、CBとコミュニケーションをとったのか2試合弱で改善の目処がたつなど、課題解決のスピードも速い。
マリノス界隈内外からも国内随一の有望株という評価は、数試合の勝ちなし程度で揺るぎはしない。あとは今年、名に実が伴うことを見せつけるシーズンとできるか。
天然要素あり。鳥栖時代の遠征時にいたずらで入れられたダンベルに気付かず荷物検査に引っかかったことがあり、古巣のサガンティーノたちからは「ダンベル高丘」のあだ名で知られる。そういうおいしいやつマリノスでも一発かましてほしい。そんな天然エピソードがある割にしっかりしており、立て板に水のごとく優等生コメントが出せる特殊能力を持つ。ただパンゾーさん曰く「基本真面目だけどちょいちょいデリカシーに欠ける」らしい。
GK 21 梶川裕嗣(カジージャス)
Embed from Getty Images185cm/29歳
こちらも「絶対マリノスに合うやつー!」と高い評価とともに徳島からやってきた足元上手い系キーパー。パギの負傷やACLメンバー外を起点にスタメンを勝ち取ると、そこからトントン拍子で横浜の正守護神に定着…はできなかったけど、去年J1初出場を果たしたとは思えぬプレーぶりを見せつけた。
とにかく冷静。猛然とプレスをかけられてもギリギリまで引きつけてパスが出せる、心臓に毛が生えたビルドアップができる。キャッチ→スローで的確なポイントを突いたり、ペナを飛び出てポゼッションに参加してもひょうひょうとパスをつなぐあたりは見ていて惚れ惚れする。もちろん足元だけのGKではなく、シュートストップなどは前任者のパギに勝るとも劣らない。
そんなどの能力も総じて及第点以上のカジージャスだが、それでもハイライン裏を突いたボールの対処にはかなり手を焼いたご様子。たしかにつなぎに参加したりは徳島でもやっただろうが、あんなトンチキハイラインはそうそうあるものではない。経験を重ねてなんとか克服したいところ。ようへとオビちゃんという若い戦力の突き上げはあるが、GKで29歳は中堅ともいえる。ぜひ若い衆に負けずにハイレベルな正守護神争いを繰り広げてほしい。
ピッチ内での冷静さとは裏腹に、ゆるいところも。昨年オンライントークイベントの途中で雨が降った際には、洗濯物を取り込み忘れて慌てふためいてた。
GK 31 オビ・パウエル・オビンナ(オビちゃん)→栃木SCへレンタル
Embed from Getty Images193cm/23歳
身長、フィード、いじり甲斐の三拍子揃った若き正守護神候補。小池龍太と双璧をなす、JFAアカデミー卒業生の出世頭。去年の夏に栃木SCに武者修行に出されたが、活躍もあって2ヶ月でレンタルバック。そこから徐々にメンバー入りを果たし、ACLでハネて一躍正守護神候補に名乗りをあげた。M-1で敗者復活から躍進したコンビみたいなシンデレラストーリーは、苦難の多かった2020マリノスでは数少ない嬉しいサプライズだったといえる。
ACL上海戦で元セレソンのオスカルのPKを止めたシーンはもはや語り草になるだろう。
あと栃木レンタル時代に見せたこのレーザービームも有名。マスター・タサカがフォースを授けた説も。
このようにド派手な活躍もするが、その分水原戦でロングシュートを決められるなど、まだマリノス式ハイラインの裏を埋める仕事に課題を残す。またリーチでカバーしてはいるが「読んでたらパンチングじゃなくてキャッチングできたのでは?」というシーンもあったりする。多大なポテンシャルの片鱗は見せたものの、まだ完成したGKではないという印象がある。
だが、好意的に捉えればこれも伸び代であり、ポテンシャルおばけの状態でもACLで戦えるなら、もっと成長したらどこまで行けちゃうのというワクワク感がある。サムライブルーや海外行きという目標も夢じゃない選手だと思うし、その意味でも(本当にやるのか不明だが)東京オリンピックに出て国内外にその名を轟かせたいところ。
まずはようへやカジージャスとのハイレベルな正守護神争いを勝ちきれるか。フォースと共にあらんことを。
チーム随一のいじられ後輩キャラ。先輩に可愛がられる一方、歳が近い大然和尚ともよくつるんでる様子がLINEライブで散見される。クラスに1人いて欲しいタイプの陽キャ感がある。ただし単なるおふざけキャラではない。真面目なインタビューなどでは思慮深い一面ものぞかせる。
(2021/09追記)
6/30に育成型期限付き移籍で再び栃木へ。
序盤こそ以前よりも低めのDFライン設定だったので、空中戦やトンデモセービングに強みのあるオビちゃんが起用されていた。だが徐々にラインも上がりビルドアップでの貢献も求められるようにシフトしたため、広いエリアをカバーできてパスにも長けるようへに正守護神の座を譲ってしまった。
日本でも屈指のポテンシャルを持ち合わせるGKであることに変わりはないので、栃木で課題と向き合いつつ、ゆくゆくはまた横浜からCFGの世界的プロジェクトに参画し直してほしい。
GK 32 田川知樹(イナリー田川、いなりん)NEW!!
180cm/18歳
興國カルテットの1人にして、岩田智輝と今オフ加入の「Wトモキ」の一角を成す高卒新人ゴールキーパー。好物がいなり寿司であることが新体制発表会で判明して以来、ファン・サポーターにいじられはじめ、ついにはクラブ公式LINEライブで愛称が「いなりん」(松原先輩はイナリー田川とおおむねアウトなネーミングをつけかけたが無事回避)に確定してしまった。それでいいのか。
高卒新人らしい朴訥な笑顔が印象的だが、彼も他のマリノスキーパー陣同様チャラいテクい。興國のゲームを見ても、後方からのコーチングでビルドアップを下支えしつつ、自らもボールに絡む積極性を見せていた。あと右利きながら左足も割と使う。またゴールエリアを飛び出して守備することも多く、スプリント→身体を倒してセーブなどはかなりすんなりできている。GKとして180cmは低めの部類に入るだろうが、それを補って余りある攻撃への関与や広い守備範囲はスイス代表ヤン・ゾマーのよう。詳しくは自己PR動画を作っているみたいなのでそっちを見てほしい。
今年はルヴァンなどカップ戦が主な戦場になりそうだが、シゲさんのフルメタル・ジャケット指導で技術を上げて、ぜひ経験を積んでもらいたい。また身長やプレースタイルの近いようへはいいロールモデルになるはず。間近で見ながらどんどんいいところを盗んで欲しい。
GK 34 中林洋次(ウッズさん)
Embed from Getty Images182cm/34歳
GK陣のお父さん的存在。シティにおけるスコット・カーソン枠。1チーム1人しか出られずなかなかレギュラー交代も発生しないGKというポジションでベテランが戦うとなると、その出場機会は決して多くない。だがウッズさんは準備を怠る様子がない。ベンチ入りした際のGK練でも安定したキャッチングを見せ、シゲさんの鬼ミドルもきっちり止める姿を見ていると、「何かあってもウッズさんがいるから大丈夫」という安心感が湧いてくる。ね、パギさん。
ただGKというポジションで34歳は決して老け込む歳ではない。ハイライン裏のケアなどマリノス特有の仕事も問題なく処理できることは2019最終節で証明済み。チーム最年長がスタメンを射止める胸熱展開も密かに期待している。
地黒だからか「タイガー・ウッズに似てる」と若い頃に言われたのがきっかけであだ名がウッズになったご様子。ただしゴルフの腕はからっきしで用具一式処分したとか。あと料理の腕が確かであることがオンラインイベントで判明し、料理対決では堂々一位に。ブツ撮りの巧さのおかげじゃないかとか言わない。仕事でやらかした時に「お前はマジで何してんだよ」と言いながらハンバーグ作ってくれるウッズさんが欲しい、そんな今日この頃です。