目次
はじめに
どうも、「英検n級の語学力で海外旅行したら、インド人にすごい訛りの英語で説教された」系マリサポのお市です。自分の中でもはや年中行事になりつつある選手名鑑づくりをせっせとやっていたところ、こんな記事を目にしました。
2021シーズンからマリノスのヘッドコーチに就任する、ジョン・ハッチンソン(以下ジョンさん)氏。「元マルタ代表」や「UEFAライセンス(Aだけど)持ち」といった経歴が目を引く新コーチです。オーストラリアのスポーツメディア『OptusSports』ボスとの接点が少ないように見える彼が来浜を決断した経緯が書かれていました。
今回は『OptusSports』さんからも許可をいただいた上で、そんな記事の和訳を無謀にも試みました。
特に戦術的な内容は触れられていませんが、ジョンさんの並々ならぬ情熱(とトンデモっぷり)が少しでもお伝えできれば幸いです。私のダメ語学力での翻訳ですが、それでも良いと言ってくれる寛大な人はぜひどうぞ!
翻訳部分
原文:2021/2/9 OptusSport ‘He called me… I walked into the lounge room and told my wife we were moving to Japan’
「」はジョンさんのコメント。『』はボスのコメントです。
セントラルコースト・マリナーズのレジェンド、ジョン・ハッチンソン。彼はなぜ日本に行ってアンジェ・ポステコグルーの新たなアシスタントとなることを決めたのか。Optus Sportにその顛末を語ってくれた。
始まりは一通のメールからだった。
セントラルコーストのレジェンド、ジョン・ハッチンソンは米国メジャーリーグサッカーの名門シアトル・サウンダーズのコーチを務めていたが、彼は苦境に立たされていた。
そこで彼は、アンジェ・ポステコグルーにアドバイスを求めたという。
「あれは8月のことだね。正直その時の僕はシアトルで苦しんでいた。2020年はCovidがあったし、家庭でも学校代わりに家で子どもたちの勉強も見なきゃいけないくらいだった。」
「アンジェとは過去ちょっと話したことがあるくらいで、彼が代表監督だった頃に挨拶した程度だったから、ひとまずメールを送った。”助けが欲しいんです。いま僕はあなたと同様に海外にいますが、苦しんでいます。同じ海外で働く者として何かアドバイスありますか?”と。」
「彼はその日の夜のうちに返信をくれた。『踏ん張れ。海外に留まるんだ。君は素晴らしい仕事ができている。私は君のことを注目している。』と。」
「だから僕は、”よし。アンジェもこうやって返信をくれたことだし、また心機一転頑張ってみるか。”って思えたんだ。」
「そのあとだった。アンジェから『ちょっと話せるか?』ってメッセージがきたんだ。50分ほど話してから電話をきって、すぐ妻に”日本に行くよ”って告げたんだ。」
41歳になるジョン・ハッチンソンは、一線級のオーストラリア人監督であるアンジェ・ポステコグルーから断りようのないオファーを受け、かつてピーター・クラモフスキーやアーサー・パパスが務めた役割を引き継ぐ決意をした。
「彼が僕に電話口でコーチとして雇いたいと伝えてくれた瞬間、僕は居間に飛んでいって妻のケイトに”日本に行くよ!”って伝えたんだ。」
かつてAリーグでもMFとしてプレーし、2015年に引退したハッチンソンは、セントラルコースト・マリナーズでコーチ業を始めて、シアトル・サウンダーズのセカンドチームやウェスタン・ユナイテッドでマーク・ルダンの補佐を歴任した。
高名なポステコグルーとコーチとして協業するという誘いは、ハッチンソンにとっては飛び込む上で格好の動機となったようだ。
「世界最高の仕事だよ。僕はコーチ業が大好きだ。家族は僕に付き合って日本に移住するから色々犠牲にすることになるけどね。僕の息子は11歳でまだ小学6年生※くらいだからね。」
(※注:無理やり日本の学年に当てはめました)
「僕は数合わせのために日本に行くんじゃない。学び、成長するために日本に行くんだ。僕は41歳で、指導歴は6年ほどだから、コーチとしては若手の部類だ。けれど真剣にコーチ業を考えてるんだ。」
「アンジェと働いたことは少ししかないけれど、彼はベストだよ。業績という意味ではオーストラリア人コーチの中でベストだと思う。Aリーグだと彼の率いるブリスベン・ロアーと戦うのは怖かったし、オーストラリア代表でアジアカップも優勝している。それに日本ではJリーグ制覇もやり遂げた。」
「Jリーグで、横浜で、アンジェとやるこの誘いをどう断れって?断りようがないよ。」
「僕はずっと日本で働きたかったんだ。セントラルコースト・マリナーズ在籍時にACLで行ったときに日本が大好きになった。街並みは綺麗だし、日本に住む人たちはいい人だってチームの皆で話していた。でも正直僕からしてみれば、サッカーがすべてだ。」
「生活は二の次なんだよ。それくらいアンジェの下で学べるというのは素晴らしいことだからね。」
横浜在籍2年目にしてオーストラリア人監督としては初の海外主要リーグでのタイトルを得たものの、ポステコグルーは昨季9位に終わり、タイトルを川崎フロンターレに奪われてしまった。
横浜としては真価を問われる新シーズン、開幕戦は2/27、アウェイで王者川崎と戦う。
おわりに
いやはや、サッカーの世界ってとんでもないですね。
夫が長電話してると思ったらいきなり「日本行くぞ」とか言い出すわけですから、ケイト夫人も「はぁ?日本!?」ってなったに違いありません。ジョンさんもそこの一般人的な感覚は持ち合わせてるのか、子どもを思いやってはいますが、「でも生活は二の次!」って言っちゃってますからね。
一方でオーストラリアにおけるボスの存在感というのも改めて思い知ることになりました。彼の元に行けば成長できると思わせるほどの実績とカリスマ性がオーストラリア人指導者の認識にはあるんだなと。去年は9位だけど
その上で親分肌なキャラクターも映えるようです。特に関わりがあったわけでもないジョンさんの「何か海外でやってくアドバイスありますか」という雑なメールにも「頑張れ、君のことは見ているから」とこれまた雑だけど熱い即レスができるのも、ボスと呼ばれるゆえんかと思います。
国内外で実績を残している人が、真偽は定かではないけど「君を気にかけている」とか言ってくれるとやっぱり嬉しいでしょうしね。
ともあれ、ジョンさんにとっては大きなチャレンジであると同時に、マリノスにとっても勝負のシーズンです。毎年勝負のシーズンって言ってる気がするけど
名門シアトルから抜け出て新天地を求めた覚悟のほどを、ぜひ横浜で見せてもらいましょう。
ちなみにインタビューは動画版もあります。しゃべるジョンさんが見たい方はぜひこちらをどうぞ。
<この項・了>