【どっちの】2020年ACL ROUND16 vs 水原三星ブルーウィングス プレビュー【三色ショー】

どうも、お久しぶりです。リスペクトしている人に「お前のブログは無駄が多い(原文はもっと婉曲的)」と言われてもやり方を変える気がない系マリサポのお市です。そもそもこの導入が無駄なのは百も承知ですが、ブレずに自分たちの駄文を貫いていきます。

いよいよ来ちゃいました、ACLノックアウトステージ。未だかつて踏みしめたことのない場所に、マリノスは今立っています。とはいえお上りさんではいけません。当ブログもアジア制覇に向けてブレずにいつも通りハードワークして、理不尽に殴る準備をしていきます。

対する相手は水原三星ブルーウィングス(以下、水原)。

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2000年代のA3などでも鉢合わせたKリーグの名門も、今回はちょっと様子が違うようです。
煮え湯を飲まされた過去はいったん忘れて、今どんなチームなのかを見てみましょう。

それでは水原戦のプレビュー、はっじまーるよー。

水原ってどんなチーム:前プレ込みの堅守速攻

水原のACLでのゲームを見た感想は、「専守防衛の自国選手軍団」といったところだろうか。
国内リーグで降格の危険すらあった水原だが、9月に解任ブーストをぶっこみV字回復。新任のパク・コンハ監督になってからは5勝4分2敗と「負けないチーム」になりつつある。

リーグ戦チーム得点王(9得点)オーストラリア人CFのタガート、ゴツいカナダ人CBのドニールはどちらも怪我。一見するとかなり厳しい状況である。ACLグループリーグでの1試合平均の得点数は0.75と東地区のベスト16チームでは唯一1得点を下回る。さらにグループリーグで挙げた3ゴールはすべてセットプレーからのもの。流れの中からは点が取れていない。全北もそうだけどACL前にキープレーヤーを欠いてウチの下馬評を上げるのはやめてくれ期待されない方が強いんだウチは 

それでも大崩れしないのは、やるべきことがシンプルで明白だからだろう。5-3-2を基本陣形とするこのチームの守備は連動している。みんなティモンディ高岸かってくらい精力的に走る。それを象徴するように、失点も少ない。

0.5(グループリーグでの水原の1試合平均の失点数。東地区では最小値。)

とはいえ単に引きこもるだけが水原の守備ではない。刈り取るためのハイプレスも行う。
相手のゴールキックなどで、相手CBがエリア前でボールを持った時、中盤の3の両端(IH)は突出したプレスを敢行して、いわゆる「同数でハメる」ようにしてくる。その穴を埋めるべく残り2枚もスライドしてパスコースを消す。
例えて言うと、2018年のルヴァン決勝の湘南のようなプレスを後半20分くらいまで頑張ろうとするわけだ。
プレスをかわされても祈るチアゴはいないが、5バックがべたりと城壁を構えている。

相手はパスコースがなくなってやむなく縦パス
→3CBの両脇(HV)が前を向いて相手ボールホルダーから奪取
 →カウンター発動。速い両サイドのWBを使ってボールを運ばせる

こんな流れが水原にとっては理想。かなり湘南に近いと言っていい。しかも浮島監督が就任する前の湘南だ。

なので、スペースを消すと言うよりはパスが受けられそうな相手を潰すイメージだし、ラインはマリノスほど高くはないがプレスを敢行する時は高めに設定する。ボールを繋ぐことにも固執しない。戦い方の基本線は「プレスをハメながら時計の針を進めつつ、ショートカウンターかセットプレーで1点とる」になりそうだ。

水原を崩すキーワード:「3バック間」「ブロック前」

上の図は、国内リーグ戦を含む今シーズンの水原の失点を図にしたもの。
黄色い線はアシストやドリブルなどゴール1個前のプレー。赤がシュート。オレンジはセットプレー。

堅守を誇るチームではあるが、5バックの隙間を狙うクロスから失点しがち。深めにえぐって膝の高さくらいのボールを入れられると止まることが多い。(反対にあまりハイクロスからは失点していない)アンジェマリノスの十八番がどこまで引き出せるか。ここはテルや高野きんにくんに期待がかかりそうだ。

また5バックで専守防衛を心がけるチームにありがちだが、押し込まれすぎると自陣ペナルティエリア前が空きやすくなるのも堅守の崩しどころかもしれない。ここからミドルシュートもいいだろうけれど、浮き玉のパスで裏をとるのも一興。この辺りはマルコスの得意技だろうし、ミドルとなれば悪魔の左足がまた火を噴くかもしれない。

最後に付け加えると、試合終盤のロングカウンターも割と苦手。ハーフウェーライン付近から出ているシュート1個前のプレーはいずれも、押し込んだ時のパスミスをかっさらわれてから広大な空きスペースを突かれたもの。マリノスとしては、先制して水原が押し込もうとしたところをカウンターで仕留める全北戦のような老獪さが試される。

水原の要注意人物:LWB 32 リ・キジェ

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名前は元湘南のあの人に似ているが、顔はもっと素朴で町工場ではんだごてを黙々とやってそう…とか思ったら高校は機械科らしいLWB。プロキャリアの始まりは清水だが、そこからAリーグにも行った国際派でもある。
得点源らしい得点源がない水原において、えぐいカーブがかかった彼の左足クロスはかなり重宝している。セットプレーのキッカーも務めており、カタールでのGL突破に大きく貢献した選手といえよう。

彼と逆サイドのRWB、12番のキム・テファンは基本的に大外のレーンを1人で駆け上がってくることが多く、カウンター時に必要な幅を担保してくれる。ただ右サイドのヘアバン眉毛キムよりも、左のリはカバーエリアが広い。ファーへのクロスに3バックがボールウォッチャーになっても、きっちりと絞って対応できるため、水際の守備でも頼れる。バス止めのキーマンにもなる厄介な選手だ。無理やり日本で例えるなら(佐々木翔+福森晃斗)÷2といったところか。

攻めあぐねてロスト→リが大外を駆け上がるケースや、近い位置でのセットプレーは避けたいところだし、クロスを上げる場合はファーよりも3CBの隙間を狙うイメージで狙っていきたい。

おわりに〜0を1に羽撃かせ、歴史を名乗らないか〜

我らがキャプテン喜田拓也は、「自分たちはここに歴史を変えにきた」と言った。たしかにもう歴史は作ったかもしれない。悔し涙を流したり、うまくいかずに頭を抱えたりした今シーズンだったが、アンジェ・マリノスはACLのグループリーグ突破という1つの「クラブ史上初」を飾った。

だが、まだ航路は続いている。さらなる「クラブ史上初」を飾る余地がまだあるのだ。

奇しくも相手は同じトリコロール。そして、「堅守速攻」の帆を掲げてきた「世代交代中」のチーム。かつての自分たちがオーバーラップしたりもする。痛みを伴いながらも我々は「負けないチーム」から「攻めて勝ちに行くチーム」に変わった。この選択はやはり正しかったと証明したい。だからこそ、勝って前に進みたい。

そして毎年思うことだが、1試合でも多くこのチームで勝ちとりたいし、タイトルという形あるものに結実させたい。それがサポーターたる私の願い。ノックアウトステージは負ければ即終了だ。「こういう試合もある。次、次。」とは言えない。だからこそ、勝って前に進みたい。

「クラブ史上初」が1つじゃ足りない理由は、挙げきれないほどある。最少失点率の相手だろうと、無得点に終わらずに勝ち切ってこそ今のマリノスだ。
さあ、またひとつ勝ち進んでクラブの歴史を名乗らないか。

<この項・了>

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