目次
はじめに
どうも、「Vシネを中学生で観たけどやっぱりよくわからなかった」系マリサポのお市です。記憶はぼんやりしておりますが、上述のセリフはよく覚えてます。
前節のマリノスは、テルと大然の爆速WGコンビ、ヒラメ筋が眩しい高野会長、そこに意外性No.1の留学生サントスを加えた横浜市立三色高校陸上部が躍動。内ゲバを制しました。
殴り合いなら勝てるという自信、大量得点という合法ドラッグの味を思い出したわけですが、次の相手は堅守速攻のイメージが強い広島。オープン展開での殴り合いに持ち込むまでは手間がかかりそうな相手です。
とはいえそんな彼らも少しずつ変化が見えたりします。優勝への足掛かりとなった三ツ沢でのホームゲームの再来を狙うべく、「今の」広島との戦い方を考えていきましょう。それでは広島戦プレビューはっじまーるよー。
広島の数字:得失点ともに少ない堅守速攻…?

ここ数年「堅守速攻」とうたわれるチームらしく、失点は少なくリーグ2位タイの9失点。マリノスの7月の失点数が12であることを思えば、いかに少ないかがわかる。打たれるシュート自体も86本(リーグ4位)と少ない。JFK式5-4-1は健在と見ていいだろう。
一方で、得点も若干少なかったりする。14ゴールはリーグワースト6位タイの数字だ。もっとも堅い守備があるのであまり気にするほどの数字ではない…と言いたいところだが、シュート数はマリノスより8本少ないばかりの122本(リーグ7位)。116本の清水が16ゴールなのを思えば、もう少しゴールが入ってもいいのでは、、、とモキモキ(©️森本貴幸)している広島サポもいるのではなかろうか。
こうした「堅守速攻」の殻を破ろうと試行錯誤しているのが、今年の広島ではないかと思う。事実JFK監督の試合後コメントを見ると、今のスタイルから進歩を求めているように思う。
(前略)
第11節 FC東京戦試合後コメントより抜粋
それは、前から取りに行きたい我々がいるので、少し絞ったりとか、少し相手にボールを持たせてもいいから我慢して絶対にやらせてはいけないところを共有することは、今、葛藤しているところだと思う。
(中略)
相手に多少、持たれるのであれば、やらせてはいけないところを我慢するのはもう一度、見直したい。ただ、我々はポゼッション率を上げたいし、その中でサイドを崩したいし、人が関わってゴールしたい。このサッカーは変わらない。
(失点で相手の守りが堅くなり難しくなったのか?)そうでなかったと言えないと思う。ただ、我々は相手が前から来ようが後ろに引こうが、我々らしいサッカーというのがどういうものか、どこを崩すのかは目指してやってきている。引かれたとしても、そこを崩し切るチームにならないといけない。崩し切ったけども最後は点を取れなかったというシーンもある。それぐらいビハインドになると相手の集中力も高まる。スペースを開けることが難しくなる中でも最低でも勝点を取れるチームになりたいと思っている。
第10節浦和戦試合後コメントより抜粋
そんな進歩のため、今年の広島は去年と一味違うポイントを設けてきた。
攻撃(ボール保持)・守備(ボール非保持)に分けて見ていこう。
広島のポイント:川辺駿監督作品「サンチェの動く城」
Embed from Getty Images広島の攻撃といえば去年までは「タッチライン際に張ったWBの縦突破」が肝だった。去年三ツ沢で勝った時も「みんなのトラウマ」柏好文こそ本調子じゃなかったが、ハイネルを起点に戦ってきた。その基本線は大きく変わらないだろう。
だが今の広島はもう一つの武器を持ち合わせている。それが主に左サイドで行われる「ポジションチェンジ」だ。東京戦ではWB柏と若くして10番を背負う森島司(どうでもいいけどめっちゃ主人公感ある名前だよね)、左ストッパー佐々木翔、ボランチの青山が近距離でパスを交換しつつ、立ち位置を変えるシーンが見られた。

思えばアンジェマリノスはこちらの辛苦などビタイチ知らない外野からクソミソ言われながらもポジションチェンジを攻撃に組み込んできた。その結果、この手の崩しには、カウンター防止やサイドチェンジのための立ち位置をとる喜田名人が必須だと知った。広島でその役割を担うのは、レジェンド森崎和幸の跡を継いで8番を背負う川辺駿だ。次の手を考えた立ち位置をとりつつ周りに指示する様は、ミシャをして「ドクトル(博士)・カズ」と言わしめた前任者を彷彿とさせる。
ぐるぐる回る左に比べ、右サイドはWB茶島とシャドー浅野弟が大外でプレーし、空いたハーフレーンに右ストッパーの野上が抜群のタイミングで突っ込んでくるなどはあれど、川辺はあまりポジションを捨てない。押し込み切ったとき、またはカウンターの時にゴール前に顔を出すが、その時には磐田のトップ下だったことを思い出させるパスで決定機を演出する。
チームのヘソを務めながらも最後の局面でも力が発揮できる川辺こそ、広島の中心じゃないかと俺は踏んでおるのよ(ミルクボーイ内海風)
マリノスのポイント:ステゴロをいなしてシマを奪え
Embed from Getty Images川辺を中心としてボール保持にも力を入れようとしている広島。
近距離でショートパスを回し、ポジションチェンジをやろうとする分、ボールサイドの逆(往往にして広島の右)のスペースや背後の人数不足を許容してでも「狭く」守ろうとする。マリノスが相手なのでリトリートからカウンターが基本線にあるだろうが、片側サイドに寄せた即時奪回やポジションチェンジも使いたいはずだ。
片側に圧縮した場合も、ブロックを組んだ場合も、広島の守備はかなりボール保持者に寄ってくる。
人数をかけて寄せられ、そのまま奪われればペレイラや森島、熱心なヴェルディサポータードウグラス・ヴィエイラといった選手たちが仕留めにかかるだろう。
だがこのステゴロプレスをかわせれば、相手のシマにずかずかと若い衆を侵入させられるのも確かだ。
とりわけポジションチェンジを使おうとサイドでひし形を作ったりぐるぐるローテーションをしよう、そしてその前段として狭く守ろうとすれば、代償として陣形は崩れやすくなることを我々はよーーーーーーーーーーく知っている。おそらくJで1番知っている。後ろでバランスをとろうとしている川辺もプレスに釣り出し、その背後を使えれば前線の武闘派カチコミ部隊(上述で陸上部にたとえたのにいきなり指定○力団になってすまない)も使えるはずだ。
どんなにサイドに追い詰められても、パスコースを作り続けることを、諦めないで(cv.真矢みき)。
またリトリートを決め込んで5-4-1になっても、かなりボール保持者に目をとられる傾向が強いのか、5と4の間で動く選手にふわっとロブパスを通されるシーンも複数回あった。札幌戦AJの先制点に繋がった形のように、ブロックの間を不意に突くパスが見られるはずだ。

シマを奪うということは、力づくだけではいけない。サンちゃんや大然和尚といった武闘派でいきなりカチコミしても、きっちり待ち構えている状況では「ディエゴとの地上戦でも負けなかった」荒木大吾を中心とした守備網に阻まれるだけだ。
「オジキ、早うカチコませてくれや」と突出したプレーに走りがちな前線の武闘派にも相手の注意を引きつけるなどしてシノギをあげてもらわねばならない。そして上手く相手が釣れたら、顧問弁護士のごとく後ろに控える頭脳派たちの合図でカチコミ。いかにラスト1/3でカチコミ部隊を自由にできるかがこのゲームの鍵になりそうだ。
予想スタメン
最後に予想スタメンどん。

まずマリノス。
- 前線の3人はフィットを急ぎたいサンちゃんと大然和尚、そして復調途中のテルのままを予想。
- RCBには、こちらも徐々に復調しつつあるチーちゃんを予想。ただここを健さんにする案もありそう。RSBは1対1だけでなく多対1を得意とする小池龍太を。
- ほとんど休みなく働く喜田名人を休ませ、アナザー田拓也こと和田プロを予想。プレスをいなし古巣に「恩返し」する姿を拝みたい。
- しんちゃん、ブンちゃん、タカには5-4-1ブロックの隙間を狙うパスを期待。
そして広島。
- RWBには去年ブンちゃんを重点爆撃したハイネルを予想。
- CFにはレアンドロ・ペレイラ、シャドーにドウグラス・ヴィエイラ。後者はあまり空中戦が得意そうではないが、それでもマリノスのSB裏を狙うには適任かも。ちなみにシャドーに浅野弟を入れるとより流動的になる。
- ボランチは川辺・青山が固定化されつつあるので東京戦と同じく先発では。
前節清水戦では、個人のクォリティが噛み合い点を奪えた。ただ、じっくりと自陣でボールを動かしながら相手ゴールを陥れたのは、どちらかというと清水の方がうまかったのではないか。
今後マリノスに求められるのは、対面の相手をやっつけられる素質を持つアタッカーたちに原則を学びながらも、最後の局面でそのポテンシャルを発揮できるよう彼らを交えたビルドアップを整備していくことだと思う。
新戦力のフィットとチームの練度向上。たしかに欲張ったオーダーだ。
しかし仁義なきお仕事もサッカーも勝負ごと。強欲なくらいでちょうどいい。個人のクォリティも連携による崩しも、ゲーム内容も勝ち点3も総取り。「さすがに無理では…」と思われても、どれかじゃなく全部を求める。それでこそ「勇猛果敢」が旗印のポステコグルー ・ファミリーだ。
ありとあらゆる収穫を得るべく、鉄火場に臨んで欲しい。