【Can’t】2020年J1リーグ第10節vs大分(A)プレビュー【Stop】

どうも、「なんだかんだあって文が書けない日々を過ごした」系マリサポのお市です。あるんですたまにこういう時期が。

私のことはいいんです。やってきました、皆が恐れてた鬼のような「連戦月間」が。今しがた決まったルヴァン杯のノックアウトステージも含めると、9/30まで週2で試合があります。サポたる私には怪我人が出ないことを心から祈る他できませぬ。

その一発目が、去年嫌というほどトラウマを植えつけられたアウェイ大分戦です。ありとあらゆる欠点を突かれたあの日です。あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえその全てを愛した結果頂点に立った我々ですが、やっぱり嫌な思い出は払拭したいもの。鬼門(候補)の克服のために勝ち星を得るべく、対策会議としゃれこみましょう。

久々のプレビューはっじまーるよー。

 

Facts お互い大変なここ最近

(数字はすべてFootballLabを参照)

マリノスもなかなか波に乗れていないが、大分もここ最近の成績は芳しくない。というか目下リーグ戦5連敗中だ。9得点はリーグ14位、18失点はリーグワースト2位。去年の快進撃を思うと、かなり厳しい状態にある。

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不調の原因と考えられるのが、ボール前進の手段が減ってしまったこと。
上の図の通り、ラスト30m侵入回数はリーグ14位、ペナリティエリア侵入回数6.7回(1試合平均)でいえばリーグワースト。低い位置でボールを保持し、相手を釣り出しその裏を突く「擬似カウンター(釣り野伏せ)」が主な攻撃手段とはいえ、さすがにエリアに運ぶ回数がワーストなのは寂しい。

それでも変わらないのは、ボールを奪われた後のスピードだ。リーグNo.1を誇るインターセプトもその一助になっているだろう。その数1試合平均で2.7回。ちなみにマリノスは1試合平均1.5回で15位である。
余談だがFootballLabのインターセプトの定義はSofaScoreのそれより厳しく、「相手のパスに対して能動的に動いてそのパスをカットし、自ら保持もしくは味方につなげたプレー」なので、大分は能動的にボール奪い1試合に2、3回はカウンターにつなげられていることになる。(この”能動的”ってなんやねんと深掘りし始めるとこの記事も下書きのまま日の目を見なくなるのでやめる)
そんな「能動的に奪う」大分の象徴的なシーンが、前々節の鹿島戦の先制点だ。

CFの知念からスタートし、その背後をシャドーの田中やWBの岩田が連動して埋めて、相手のパスミスを誘い、ショートカウンターを完遂させている。初動の速さがミソとなったゴール。我々もパスコースがなくプレスの網にかかった昨年の二の轍は踏みたくないところだ。

また、大分の全8ゴールのうち、実に5ゴールが後半40分以降に記録されているのも興味深い。もともと擬似カウンターを完遂させたいチームなので、前線に「長い時間速く走れる」選手が多い。相手の脚が止まり陣形にほころびが見え始めたところで長めのボールを入れれば、あっという間にエリア内に3人近く集まる。

 

Key Points とびだせでぃふぇんすの背後

(どうでもいいが、どうぶつの森のとたけけの曲ならアーバンけけが一番好き。ジャミロクワイ感がある。)

予想スタメンはこちら。

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大分は鹿島戦と同じメンバーを予想。
RWBにレイチェルこと松本怜を起用する線も考えたが、彼は水曜のルヴァン杯でフル出場。水曜全休の岩田を当ててくる可能性のが高いだろう。レイチェルと高山、さらに渡といった瞬発力に長けた面々は後半のオープン展開でジョーカーとして切るかもしれない。

対するマリノスは、(たぶん外すかもしれないが)前田大然の起用を予想した。エリキのコンディションが上がりきらないというのもあるが、ボスとしては新戦力のフィットを早めたいのでは?と思う。いきなり難度の高い相手だが、だからこそ大然がWGの仕事を全うできれば面白い。CFは先週ゴールを決めたオナの先発を予想。

(P.S. おいおい、半分冗談のつもりだったのに当たるかもしれんぞ…)

鍵となるのは、両軍ともにDFラインの裏だ。

まず大分の視点に立つと、しつこいようだがスピードがありかつ走るコース取りを意識してオフサイドを回避できるアタッカーが多い。去年のホーム川崎戦、なんならダミアンより厄介なレベルでハイライン裏を突いた知念を筆頭に、カウンターを仕留め得るアタッカーが立ち並ぶ。1GK+3CB+2DMFの手厚いビルドアップ部隊から相手を誘引してからの擬似カウンターを中心にスカッド作り等も進めたのだろう。格好の人材が立ち並ぶ。

また、単に速い選手がゴール前に殺到するのではなく、ボール保持時のエリア内での立ち方はきちんと整備されているようにも見える。

「片方のサイドでボールを持ったら逆サイドのWBもエリア内に入ってファーに構える」
「同様にシャドーの片方はエリア前で待機して2次攻撃に備える」
「ペットボトルは捨てる前にラベルを剥がす」

など再現性ある攻撃のための規則が見え隠れする。

1人のみならず複数人が絡んでくる形なので、これはもはや1人でどうにかできる話(いわゆる「チアゴに祈る」案件)ではないだろう。なのでマリノスとしては、このパターンに持ち込まれないようにすべく、陣形が崩れた状態での自陣でのロストは意地でも避けたいところだ。

対するマリノスが突くべきは大きく2点。

・押し込んだ時の5バックの隙間
・高い位置で奪いにきた時のDFの裏

前者は大分のセット守備のやり方を逆手にとったやり口だ。

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5-4-1でブロックを敷く大分だが、そのうち3バック両脇(いわゆるHVHVideoの略ではない)が前に出て潰しにくる傾向が強い。この出てきた選手の背後を埋め忘れたりすると、使いやすいギャップができる。柏のブロックをこじ開けたオナとAJならあるいは。

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後者はショートカウンターを狙いたい大分の意図を利用する形。

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リトリート基調が強く、低い位置にラインを構えて引き込んでくるイメージが強い大分。だがプレッシングからのショートカウンターで仕留めた鹿島戦でのゴールのように、ハメに行く時はきっちりとラインを上げてくる。うまく剥がして裏のスペースを突ければ、向こうのWBとこちらのWGのかけっこに持ち込める。仙台戦で大津社長からの弾丸スルーパスで抜け出した水沼宏太、という呼応する三十路ラインに近いことができれば万々歳だ。

 

Key person 田中達也/ティーラトン

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「なかなかボールが運べない」大分にとって、貴重な存在になっているのが、右シャドーに活躍の場を移した田中達也(元浦和のレジェンドFWではない)である。

大分のボール保持時のゴール前での立ち振る舞いはたしかによく整備されているが、一方で前述のエリア内侵入回数が指し示すようにそこまでボールを運ぶ手立てに困っているのも事実。その解決策として大きな期待をかけられているのが田中達也であり、彼のオープンスペースへのランニングだ。事実彼自身裏抜けをライフワークとしている節がある。

「攻撃のところで決め切り、守備のところでは守り切る。最後の精度が大事になる。(自分のプレーが相手に)バレていてもランニングを続ける。僕が足元で受けてターンしても意味がない」
(参考:J’s GOAL

シャドーの相方を務める高澤がストライカーとしての色合いが強いのに対し、田中達也はWBの時同様にサイドに位置して遮二無二走る。彼とコパアメリカで日本代表に選出されたWBの岩田がいる右サイドは大分がボールを前進させる上での最大の手段といえよう。押し込んだマリノスの裏を、「いろんな意味でSGGK」高木駿のキックで飛び出した田中達也が疾走する、、、なんてシーンを作られたら大変厳しい。レシーバーとなる田中も、QBになり得る高木もぜひおとなしくしていて欲しい(懇願)

ちなみに高木はチンジャオロースにこだわりがあるらしい。胡麻団子を真ん中に配置するセンスも素晴らしい。

一方のブンちゃんは、去年の彼とはまったくと言っていいほど別人だ。もちろんいい意味で。
HUBで「で、でもブンちゃんなりに考えてあそこに居たと思うんすよ!」と長尺で弁解しようとしても周りの誰にも理解されなかったあの日のオレよ、見てるか。ブンちゃんは立派にキーマンとなったぞ。オレの話が長いのは変わってないが。
閑話休題。クリリンやAJ、そして多士済々なWGやCFがいるが、ファイナルサードでのパスはブンちゃんから出ており、彼こそが攻撃時のキーマンと目する声も高い。

となるとブンちゃんをいかに高い位置でプレーさせるかが肝になる。SofaScoreのヒートマップで勝利を収めた仙台戦と大敗を喫した鹿島戦のブンちゃんのプレーぶりを比較してみる。左が鹿島戦、右が仙台戦のもの。

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仙台戦の方がより高い位置でプレーできており、相手ペナルティエリアに迫らん勢いであり、そもそも多くボールタッチしたことを示す赤いエリアが広い。ブンちゃんにいかに自由を与え、クサビのパスを入れさせるかは最近のマリノスの生命線といえよう。

田中が裏抜けを中心にチャンスメイクをやりきり大分の攻撃を牽引するか、ブンちゃんが高い位置をとり続けてマリノスの攻撃を彩るか。今の両チームのキーマンがぶつかり合うサイドは要注目。

 

おわりに 「たられば」すら超えていけ

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7月の成績は勝ちより負けが先行し、「アタッキング・フットボール」の看板にふさわしくない慎ましやかなゴール数。結果だけ見れば批判が集まるのは致し方ない状態です。内容の改善点が積み上がっても、少しでも結果が悪ければ「苦しむ王者!」とか言われます。これが王者の務めかと思うとハラワタが煮え繰り返る身が引き締まる思いです。

ただ、良くも悪くも去年と置かれた状況はまったく違います。「あの選手がいたら」「この選手が万全なら」と嘆きたくなる気持ちはわかりますが、そんなことを言ってる間に次の対戦相手が練り上げたマリノス対策を持ってやってきます。

たとえ飛車角落ちだろうと、たとえ対策を練られようと、いかようにでも対処できるし、その結果思わぬ化学反応が楽しめるのがサッカーの醍醐味です。「地獄の連戦」の中での試行錯誤の末、もしかしたら2019以上のトリコロールが拝めるかもしれません。

さ、張り切っていってみましょ!

<この項・了>

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