【走る】津久井匠海について知っていること【質的優位性】

どうも、「久々のブログで冒頭何を話せばいいか悩む」系マリサポのお市です。

当初ユース昇格組の話は、来季昇格する選手が決まる頃、つまり10月から11月くらいに書くつもりでした。しかし、今年はこんな出来事が起きたので、急遽この時期にアップします。

津久井匠海、異例の速度でのプロ契約。

 

マリノスユースでは初めてのことらしいですね(かつて小野裕二が高校生でプロデビューしてましたがアレは2種登録であってプロではない)。

今回は異例の早期プロ契約を勝ち取った津久井くんがどんな選手なのか、私見を述べていきたいと思います。なお、書き手である私がツイッター特有のクソデカ表現を得意とするため、決して鵜呑みになさらず参考程度に留めていただくようお願いします。

では、久々の更新はっじまーるよー

 

そもそもどんな選手なの?

基本的なデータを見てみる。

身長:177cm
体重:75kg
利き足:右
ポジション:WGCF
クラブ公式のキャッチフレーズ:チームプレーに徹する豪快奔放な攻撃者

数字で見ると決して大柄には見えないんだが、高校生年代のゲームで彼を見ると、かなり大きく見える。特に肩幅が広く胸板が厚いので、パッと見でフィジカル強そうに映るタイプ。
実際パッと見の印象に違わぬフィジカルモンスターっぷりが目につく。現にキャンプ中にはリーグ屈指のDFとなったチアゴをぶち抜いたとの話もあるほどだ。

後述するようにユースではWG、CFとしてプレーしており、どちらでも対面の相手を独力でちぎったりねじ伏せたりできる。

 

強みと課題は?

07MNR4HS_1

だいたい↑に書いてるけども、改めて。

強み

何と言ってもゴリゴリと単騎で突破できるトップスピードの速さとフィジカルだろう。体幹がしっかりしてるのか、ユースレベルでは五分のボールを巡るおしくらまんじゅうは基本勝っていたイメージ。その強みを活かしてグイグイ突破していく姿は中学時代に所属したクマガヤSCの大先輩、原口元気(ハノーファー)の若かりし頃を想起させる。本人もゴリゴリドリブルを武器と自覚しているようで、「推進力」という言葉にまとめて表現している。

その推進力で相手を引きずりつつもエリア内に侵入し、振りの速いシュートでギリギリのコースを射抜くのが主なゴールパターン。
またトップスピードに入ってもボールタッチがあまりブレないのも特徴。広いスペースを走破したスピードをあまり落とさず、エリア内の密集した地域を突破していく。
後半互いに足が止まってきてオープンな殴り合いになった時にいると嬉しい選手。

こうした「ボールを持つとゴリゴリ仕掛けてくるため危険」というイメージを相手に刷り込んだ上で、マーカーを集めて相手をずらす囮の動きも最近は狙っている節がある。ゼロックス前の高体連選抜とのゲームでは、彼が相手を引き寄せたことが決定機につながった。

身体の無理が効くので、前線からのプレスも迫力がある。サボらず実直に二度追い三度追いをやり続けてくれるタイプ。フィジカルを利してそのままボールを奪って単騎突撃→ゴールという草サッカーあるあるの「ひとりカウンター」みたいなこともできちゃう。

後述するが年上とプレーする機会も多い選手だったため、物怖じせず要求しまくる。パスが出てくるのが遅かったりすると、2個上の先輩にも檄を飛ばす。数字を残してナンボな前線の選手なので、もしかするとプロで一番役に立つのはこのメンタリティかもしれない。

課題

ゴールを背にしたプレーや、狭いスペースでのプレーはまだ途上のように見える。もっとも、「自分のポジションにも仲川(輝人)選手や水沼(宏太)選手など偉大な先輩たちがいて、見習う部分もあります。」という当人のコメントからWGとしての起用が多そうなので、前を向いてプレーすることが多そうだが。

また攻守に懸命になって働くタイプなので、スタミナの消耗が激しい。ユースでも途中出場や途中投入が多く、あまりフル出場していたことはない気がする。ある程度の配分をもってプレーできるかは今後の鍵になりそう。

SBの攻め上がりを待たずにそのまま突撃するケースもあるので、大局的にプレーの判断をして周りをもっと使ってほしいとも思う。その辺はユースの大先輩たる渓太が上手いのでどんどん吸収してほしい。
うまくいかないと1人でなんとか状況を打開しようと突破を試みるが、そういう時ほどよく突っかかる。ドリブル時のロスト数が彼の調子のバロメーターかもしれない。

 

いやそういうのいいからさ、どんな子なの?

基本めっちゃ元気。

1学年上の池田航とブラウンノア賢信(讃岐にレンタル中)のインスタライブでは「生意気w」と言われてたが、大抵先輩にそう言われる後輩はかわいがられているので、トップチームでも末っ子力を発揮してくれそう。あと眉毛がきりっとしているので、だいたいの写真での顔つきは(`・ω・´)←こんな感じ。
身体つきの良さはトップチームの選手に引けを取らず、筋肉フェチのマリジェンヌたちのお眼鏡に適うはず。特に広背筋が素晴らしい。

ピッチ上での怪物っぷりが注目されがちだが、ゴールを決めた後の笑顔の弾けっぷり、喜びっぷりはめちゃくちゃ年相応。笑うと顔がくしゃっとなってかわいい。

 

どんな過程で育ったの?

その才能は早くから高く評価されており、すでに小学生の頃には名が知れていたらしい。

中学生の頃から数多のオファーを受けたものの、小倉SDのラブコールが実り(この辺詳しく話を聞いてみたい)、マリノスユースの門を叩く。
高校に入ってもその躍進は止まらず、チームがJユースカップで日本一に輝いた2018年には、1年生ながら準レギュラーとして結果を残していた筆者が初めて津久井を見たのはその頃。
当時彼は基本的にRWGか2トップの片割れだったが、名だたる強豪校の上級生を力づくで剥がす様を見てテンションがぶち上がった。
余談だが、その頃から筆者はユースの試合をツイッターで実況していて、津久井を「走る質的優位性」と呼んだのは我ながらいい仕事したな、と自負している。

1年目からこんな感じだったので、翌2019年はレギュラーかな、と思いつつ見ていた。
だが、そうはいかなかった。年代別代表の活動などの勤続疲労もあってか、2年目を迎えた津久井は怪我に苦しんだ。だいたい7月ごろから9月末までは不在だったと思う。(トップチームの選手みたく負傷時にはニュースリリースが欲しいがきっと難しいだろうな)
その間に、CFブラウンノア賢信、RWG松田詠太郎(相模原にレンタル中)、LWG井出真太郎(現桐蔭横浜大)という3年生トリデンテが確立。彼らがチームの躍進に大いに寄与する一方、怪我の影響もあってか津久井は1年目同様「準レギュラー」の立ち位置が多かった。選手人生はつくづく何が起こるかわからない。
とはいえ、出れば何がしかのインパクトを残すプレーヤーなので、出場した試合では対面の相手に圧勝することも相変わらず多かった。

また2年目の進化も見えた。
1年目は基本的にWGか外に流れる2トップの一角としてプレーしていたが、2年目で1トップのCFとしてのプレー機会がグッと増えた。4-2-3-1を敷くマリノスユースにあって、CFは相手最終ラインのピン留めや潰れ役など「ボールに触らないけど陰ながら貢献する仕事」が多い。ポストプレーも要求される。今までとは似て非なるタスクだったに違いない。
筆者は側から見ていただけなので本人の心境はわからない。なのでこれは完全に私見なのだが、津久井はCFのタスクに悩みながらもプレーの幅を広げたように見えた。
得点やアシストは1年目から大きく伸びたりしなかったが、自分が相手に警戒されていることを知りつつ、マーカーを引きつけたり背負ったりして、周りに時間とスペースをもたらせるようになったのだ。
なお今年にはそれを裏付けるようなコメントもしていた。

「代表でも周りの選手を使って、自分が(ゴール前へ)出ていくことを教わっています。『周りを使うのか、自分が行くのか。その判断を見極めないとダメだぞ』って、ずっと言われていたので、見極めながら得点を狙っていきたいです」(上の記事より抜粋)

「すごいけど使い勝手が難しい」いわゆる「浪漫枠」に終わらないよう、進化した津久井。筆者のようなヲタクはそんな彼を見て「果たしてトップに上がったら津久井はCFとなるのかWGとなるのか」と大変おせっかいな悩みを抱えるのだが、それはまた別の話。

 

今後は?

ZqYW9aZ_1

先述のとおりWGでの起用が濃厚視されているもよう。長きに渡る「津久井匠海をWGで使うべきかCFで使うべきか」論争は、いったんWGということで決着を見そうだ。
とはいえユースでの主戦場だったRWGには大エース仲川輝人や全身タイツのコウ○ッチマン実力者の水沼宏太がいる。LWGも層が厚いので、ベールを脱ぐとしたらカップ戦だろうか。

とはいえ、ポテンシャルに疑いの余地はなく、過去「マリノスユースの傑作」と呼ばれた先輩たちに負けずとも劣らないはず。あまり悩みすぎず伸び伸びとプレーする方が良さが出る選手なので、近くの先輩たちにフォローしてもらいつつ、飛躍のきっかけを掴んでほしい。

その豪快なプレーで日産フィールド小机の脇(通称土手)に立つユースファンを沸かせ、度肝を抜いてきた津久井匠海。エリート街道をひた走り成長を続けてきた彼の「成長曲線を止めたくない」とクラブはプロ契約に踏み切った。
ぜひその期待に応え、クラブを背負って立つ選手まで成長してほしい。うまくいけば土手の隣、日産スタジアムの檜舞台でも観客を沸かせ、驚かせる選手にきっとなれると筆者は信じている。しかも、そう遠くない未来に。

<この項・了>

追伸:シャシンはすべて「部位まで捉える」敏腕フォトグラファー系マリサポのRIKOさん(@riko_0717_yfm)からご提供いただきました。ありがとうございました。

 

 

コメントを残す