はじめに
どうも、「幸い特にユニフォームのマーキングミスはなかった」系マリサポのお市です。左右腕のリーグチャンピオンのワッペンがたまらんですね。(追記:左じゃなくて右でした)
第1節アウェイ全北現代戦をモノにした我らがマリノス、2020年初の日産スタジアムでのゲームを迎えます。相手は去年のAリーグチャンピオンで現在首位を突っ走っているシドニーFC。ここを打ち破れるかどうかで、「ACLのグループリーグ早期突破確定→5月以降の負担軽減」という過ごし方にも変化が出るでしょう。何よりホーム開幕戦ですから勝って流れを作りつつ、内外に「今年もマリノスやるな」と思わせることが重要。要は勝つべきゲームということです。
とはいえ、相手は現Aリーグ王者。ちゃんと叩くべくちゃんと予習しておきたいところです。そこで何戦かシドニーFCを見て思うところを書いていきます。さらにオーストラリア人ボスガチ勢のカリルさん(@kaykay1819)のコメントも拾ってきましたので、そちらも要所要所で使っています。ちなみにカリルさんとボスのエピソードはDiario de F.Marinosでも取り上げられてます。
それでは早速今シーズン1発目のプレビュー、はっじまーるよー。
シドニーFCの基本情報
ダラダラ書いても仕方ないので、覚えておくべきポイントはこちら。
シドニーFCは…
- 現在リーグ戦の真っ最中で直近12戦負けなし
- 4-4-2ベースの「堅守速攻」のチーム
- 優秀な外国人助っ人が牽引役である
予想スタメンはこんな感じ。
キーパーのレッドメインとRSBのグラントは現役オーストラリア代表で、2CBも代表を支えてきたベテランだ。そこに19歳のLSBキングを加えた守備陣は、連携がこなれていてなかなか崩しにくい。
アウェイであり、かつ相手が攻め立てまくるマリノスなので、「シドニーは引き気味に構え、守備から入るのでは」とカリルさんも言っていたが、そう思えるのは後ろの安定感ゆえだろう。
警戒すべき選手
チームの顔役でもあるセルビア人プレーメイカーのミロシュ・ニンコヴィッチはACLメンバーリストから漏れた。カリルさん曰く、「国内リーグ戦に向けて、35歳と高齢である彼を温存しておきたいということが理由ではないか」とのこと。
それでも流石はAリーグ王者、その他にも優秀な人材を揃えている。とりわけ危険そうな3人を挙げてみる。
CMF 26 ルーク・ブラッタン
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- 近距離パスの出し入れするよう動き回る潤滑油。オーストラリアの和田拓也(ボランチ)。シドニーFCの速いポジトラの陰にこのロン毛あり。
- 自陣からの攻撃で彼が関わらないケースはほぼ無い。何度もパスを呼んでプレスにきた前線の脇でボールを受け、長短のパスで相手の陣形をずらしたり穴を突いてくる。
- 右足ミドルもある。30mくらい離れた位置のFKは彼が担当して打ってくる。
- RSBのグラントもロン毛だが、こっちはヘアバンドを巻いてる。ロードオブザリングに出てきそう。
RMF 5 アレクサンダー・バウムヨハン
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- シャルケ、バイエルン、ボルシアMGなどドイツの強豪を渡り歩いたドイツ人天才MF。日本でいうと清武弘嗣みたいなタイプ。
- タッチが細かく、エリア内やブロック間など狭いエリアでもボールを失わない。
- キック精度も高い。エリア脇に侵入してからの低め速めクロスでアシストを量産している。(5アシスト、24キーパスはチームトップの数字)
- 流動的なシドニーFCの前線でも最も自由に動き回る選手。
- リーグ戦15試合15ゴールを記録している英国人エース。DFの死角に入り込んでワンタッチで仕留める、駆け引きに長けたボックスストライカー。佐藤寿人っぽい。
- 前プレは中央のコースを切りながら実施する。4-4ブロックの前でカウンターに備え、ボールを受けたら単騎ドリブル。ロングカウンターの口火を切ることも。
- カリルさんも「注目選手」として真っ先に名前を挙げた。
- 生え際。
マリノス式シドニーFC攻略法
「地元(オーストラリア)じゃ負け知らず、そうだろ」と青春アミーゴなシドニーFCに対し、マリノスはどう応戦するかを考えてみる。キーワードは「王様の脇」と「時間の強奪」。はいそこ厨二臭いとか言わない!
1.ポゼッションで狙うは「王様の脇」
先述のとおり、右サイドのバウムヨハンは、シドニーがボールを持って攻めている時は要注意人物だ。いつもなら逆サイドに居座るニンコヴィッチがいない分、彼を「ピッチ上の王様」として頼るシーンは多いだろう。そそくさとトップ下の位置に入って、喜田・扇原コンビの付近でパスをさばいたと思ったら、右のハーフスペースへ突っ込んでアシスト…というのも考えうる。
ただこのバウムヨハンも、シドニーがボールを持っていない時には4−4ブロックに入る。
このブロックは、縦幅は狭いが横幅はあまり圧縮されない。言い方を変えれば、サイドハーフとボランチの間のスペースは決して狭くないともいえる。なので右のバウムヨハンの脇をブンちゃんに突いてもらうのも手だと思う。
机上の空論感満載ではあるが、シドニーの守備意識は基本「人<スペース」であり、隙間にボールが入ったら集合して刈り取るのが彼らのやり口。なので、あえて空けているくらいの隙間ができる。そこを速めのパスで突いていけたら、罠にかからずそのまま攻め込めるかと思う。
また、右サイドで隙間を使った攻撃といえば、健さんのロングスルーパス(このパスを筆者は体操選手の技っぽく”マツバラ”と呼びたい)→テルのバックドアという鉄板パターン。これでLSBキングにテルとの1対1を強いるのもアリだろう。
この隙間を使うためには、クリリンがライン間で相手ボランチコンビの視線を集めることが必須条件になる。あまり前からハメにいくチームではないので、クリリンが降りてビルドアップを助けに行くのは考えにくいが、隙間を潰さないよう立ち位置には注意してほしいところだ。
2.攻撃→守備の切り替えは「時間の強奪」をモットーに
フィジカルと熟練の連携で弾き返す守備に関しては、シドニーのDFラインはかなり強い。全北戦同様、ゴール前までいったけど水際で止められてしまう…というシーンは少なからずあると思う。
ただ、ボールを運ぶという点に関しては、プレーの選択肢が少ないように見える。よく見たのは以下2パターン。
しんちゃんの縦パスに見慣れてしまった我々マリサポからすると味気なく感じるくらいにCBコンビからはボールが出ない。彼らのパスは、近くの選手につけるパスがほとんどだ。
となれば、CFを中心に前プレを敢行し、そのままショートカウンターに繋げるのも手だろう。
バウムヨハンは横移動は多く行うが、ボランチの位置まで降りるのは稀だ。ボールを前に運ぶ時に彼のドリブルや長めのパスが必要になるからだろう。なのでまずは中継役のブラッタンを監視しながらCBにプレッシャーをかけて、DF→ボランチの前進ルートを断っていきたい。パスルートを潰し、ボールを持っている選手自身にもプレッシャーをかけて、CBが次のプレーを判断する「時間」を強奪する。これを90分続けることは難しいだろうが、試合開始直後などは狙っていいと思う。
CFにエリキを据えてひたすらプレッシングで相手を窒息させてきた、2019シーズン後半のような戦い方も視野に入れていきたい。
おわりに
堅い相手ですし、引いて守ってくるのも考えられますが、アタッキング・フットボールを標榜するならこのブロックを崩してこそかとも思います。去年セレッソや鹿島に手を焼いた4-4ブロックも、今年は大丈夫といえるように崩し切りたいところです。
ちょっとシドニーFC戦とはずれますが、個人的な思いを述べて締めたいと思います。(ひたすらポエムなので見なくてもOKです)
昨季マリノスは、積み上げをシャーレという形で結実させました。喜田拓也が日産スタジアムでシャーレを掲げたあの風景は、マリサポやマリノスに関わるすべての人にとって決して忘れられないものになったと思います。
ただ左右腕のチャンピオンワッペンだけでは、「成功」の証明としてはささやかすぎるな、と私は思います。(追記:左じゃなくて右でした)
過去に我慢したかどうかは知りません。でもどうにも勝てなくて悔しくて、今でこそ手のひら返しで賞賛してくる色んな外野に揶揄されても言い返せなくて歯噛みしたことは確かです。もっと言えば2004年以降タイトルから遠ざかって、行き先が見えない長い長い雌伏の日々もありました。いわば長いこと「おあずけ」を食らっていたようなものです。
その長さを思えば、1年のリーグタイトルくらいではお腹いっぱいになりません。もっとタイトルが欲しいですし、愛するクラブにはもっと大きく発展してほしいと思っています。
「おあずけ」の日々の苦しさを振り返るのもいいですが、次のご飯を得るための競争はもう始まっています。さも何も得てないかのように貪欲に勝ちを求めていきましょう。
贅沢は味方。もっと欲しがります。負けたって勝ったってこの感度は揺るがないの。(©️椎名林檎)
<この項・了>
Special Thanks:Khalil Kayal