はじめに
どうも、「J1王者(のサポの末席を汚すもの)」のお市です。これで書き始められる日をどれほど待ちわびたか!今更ですが、横浜F・マリノスの選手、コーチ、スタッフ、関係者の皆々様、このブログを読んでくださっているマリサポのみなさま、優勝おめでとうございます。
そして、ごめんなさい。どこぞの飲み屋で「全選手分のふりかえり書きます!」と高らかに言いましたが、間に合いそうにありませぬ。。
とはいえ、このシーズンを常勝軍団マリノス復活の第一歩として刻みたい私としては、何も触れずに年を越すわけにはいきません。そこで、非難ごうごうだったJリーグアウォードのテンプレートに色々くっつけて私なりに選手、スタッフのみなさまを讃えつつ「よくぞシャーレを取り戻してくれた」と感謝の意を伝えていきたいと思います。ええ、ジェイ(@RMJ_muga)さんのパクリです。
ちなみに、MVPと得点王、優勝監督賞を受賞した下記の3名については、当アウォードでは殿堂入り的な意味合いで選外とさせていただきます。決して彼らに触れる時間がなくなったわけではありません。決して。
ささ、さくさく参りましょう。2019マリノスアウォード、はっじまーるよー。
まずは三賞の発表からです。
殊勲賞:パク・イルギュ
正守護神争いにおいて横綱ばりに立ち位置を盤石なものとしていた飯倉大樹。彼から定位置を奪ったのが、今年J3クラブからきた「パギ」ことパク・イルギュだった。ポジション争いにおける「大金星」を挙げたことから殊勲賞に。
ゴールマウスに立ってシュートを弾くのはもちろん、DFライン裏を埋めるリベロとしての役割から、ビルドアップのスタート地点としての働き、チーム内でのいじられ役までその貢献は広範に渡った。その守備範囲、まさにJ3のノイアー©︎とれぱん先生、いやさハマのノイアーである。
ただ私が思うパギの最大の美徳は、課題修正能力だと思う。前線から同数ハイプレスを敢行してくるチームに相手に、プレスをかけてきた選手の頭上を抜くロブパスを使うなど、課題と向き合い考えて実行できる「やってみよう」という賢さと勇気と練習量こそが、パギさんがマリノスにもたらした最大のメリットだったかもしれない。来季も(怪我とか退場とか飛び出しミスとか以外で)マリサポを沸かせてほしい。
敢闘賞:喜田拓也、扇原貴宏
尊い。このツーショット尊い。まぢもう無理、しんどい。
チーム運営に多大なる影響を与えた尊いキャプテンボランチコンビを敢闘賞に。プレッシャーに耐えてよく頑張った。感動した。昨シーズンまでキャプテンを務めたのはボンバーや中村俊輔といった大御所ばかり(1シーズンだけノイズが入ったが気にしない)の中、今回はAJ含む3キャプテンのトロイカ体制でスタート。のちにAJがベルギーで一旗あげにいってしまってからは、2人で協力し合いながらチームを導いていった。
The DAYの通りピッチ外でも大いに貢献していたと思うが、我々ファン・サポーターにもわかるピッチ内での貢献でも特筆に値した。序盤戦ではパスワークの要衝として活躍、筆不精の私をしても彼らのパスを分析したくなるほどだった。(巧妙なステマ)
終盤戦、マテエリテルの前三枚を全面に押し出すサッカーになってからは、SBを高い位置でプレーさせるべく、後方のスペースをあらかじめカバー。カウンターリスクを軽減する黒子に徹した。マルチタスクをこなしつつリーダーシップを発揮できる2人。タカも喜田名人もなかなかA代表に縁はないが、彼らが国内屈指のボランチであることは疑いようのない事実だ。
技能賞:畠中槙之輔、ティーラトン
横浜のプレス回避の裏にこの2人あり。最終ラインのテクニシャン2人を技能賞に推したい。
しんちゃんにとっては、本当に大躍進のシーズンになった。シーズン前にはドゥレ和尚のバックアップと思われていたが、開幕前のキャンプでチャンスを掴むとそのままスタメンの座を確保。マリノスのビルドアップにとって必要不可欠な存在になり、そしてとうとうA代表まで登りつめた。ちなみに、彼とチアゴが通したパス本数は世界のCBと比べても頭抜けている。
代表戦でサロモン・ロンドンの前に屈したりしているので、CBとしての力量不足を指摘する声は依然あるものの、Jリーグに「攻撃の初手としてのCB」のイメージを打ち上げたパイオニアとして畠中槙之輔の名は残るはずだ。
ブンちゃんことティーラトンは、当初獲得に対しては懐疑的な目を寄せられていた。というのもアウェイ大分戦で対面の松本怜にぶっちぎられまくるわ、いそいそとCB間に入ってビルドアップに参加したはいいものの特に意味はなくしんちゃんの負担を増やすわと散々だったからだ。もちろんチーム内の序列は落ち、ベンチ入りすらままならない状況となった。だが、ブンちゃんはそれらを努力で克服してみせた。
マリノスのやり方に慣れたブンちゃんは、持ち前のテクニックを随所に見せ始める。特に前線からプレスがかかった時に、寄せてきた相手のWGをかわすステップワークはスタンドを沸かせるだけでなく、チームのビルドアップを大いに助けた。また、課題と思われていた対人守備でも技術を発揮。相手ボールホルダーの見えないところからそっと脚を出して絡め取るボール奪取や、空中戦を挑まれた際の落下地点への位置どりは、それまで批判していた玄人筋をもうならせた。
しんちゃんのパスとブンちゃんのボールテクニック。この2つこそマリノスの攻撃のベースラインだったと思う。
カムバック賞:松原健、和田拓也
健さんは確定だったが、もう1人で悩んだ。ぶっちゃけここブンちゃんでもいいかな、と思ってたが、最終節での大まくりでわー坊氏をチョイス。
りくとの躍進の影に隠れ、不遇の序盤を過ごした健さん。「マリサポがなぜか皆札幌で記憶をなくした日」として認識されているトラウマゲームの第7節アウェイ札幌戦を最後に、彼の出番は全くと言っていいほどなくなる。
健さんがベンチすら追われた理由はボスのみぞ知る、、、なのだが、外野のオレが察するに、先に触れたブンちゃんのような相手プレスをかわす技術を見せられなかったこと、そして1対1の守備での勝率が芳しくなかったことの2点が主原因ではなかろうか。
タッパやパスセンスといったポテンシャルは抜群なので、別チームに移籍した方が幸せかも、、、なんて縁起でもないことすら頭をよぎったが、健さんは残った。そして先に挙げた課題の2つをクリアし、定位置を再度奪ってみせたのだ。再度RSBとしてスタメン出場した第26節広島戦以後は、テルとの抜群の連携を見せて再度その地位を不動のものとした。
そしてついに、今シーズンの優勝を決定づけた第33節、アウェイ川崎戦のえりりんへのアシストという形で健さんはそのポテンシャルを「偽SB」の位置で見せつける。DFの足先にギリギリ届きそうで届かない極上スルーパスは、苦境と戦い続けた健さんのマスターピース(最高傑作)だった。
一方のわー坊こと和田拓也のリベンジは、最後の最後にやってきた。
各所で言われているようにわー坊の転機になってしまったのは、アウェイ東京戦だったと思う。キレッキレの永井が相手だったとはいえ、対人守備の脆弱性を露呈してしまったゲームだったといえる。その後再アピールのチャンスだった天皇杯鹿島戦でも中村充孝にズタズタにされてしまい、以後彼はベンチ入りもままならない状況が続いた。
「ああ、わー坊はきっと広島に戻るんや。。上手い選手なのになあ」などとオレが勝手に彼の去就を結論づけた頃、転機は訪れた。舞台はシャーレが懸かった最終節。彼が定位置を失うキッカケになっただろう東京とのゲームだ。
そこで本職のSBではなくボランチで出場したわー坊は、距離感が遠くなりすぎないように常に動き回りながらボールを受け続けた。終わってみれば両チーム合わせて2位のパス成功数(64本)を記録しながら成功率は90%を記録するという堂々たるパフォーマンス。しかも「優勝がかかったゲーム」「自分を追い詰めた相手へのリベンジ」などといったことを微塵も感じさせない飄々としたプレーぶりだったのも素晴らしい。プロってすげえ。。
最終節のパフォーマンスが評価されたか、わー坊氏は完全移籍を勝ち取ることに成功。ボランチとしても計算が立つことを証明してみせた「ハマのキミッヒ」から来季も目が離せない。
功労賞:栗原勇蔵
今季限りでユニフォームを脱いだトリコロール一筋のバンディエラ(旗頭)。少しおどけた引退セレモニーでのコメントは実に勇蔵さんらしく、最後までマリノスの4番が似合う男だった。
井原さんやマツさんやボンバーといった名だたる先人たちと比べると、その経歴はいささか寂しい。ただ、自陣ゴールの背後から見ていた背番号4の背中は、広く大きく、頼もしかった。相手にどんな助っ人FWがいようと、怯まず肉弾戦を挑んで勝つ勇蔵さんは、チームとスタンドに安心と勇気をもたらしていた。
また、セットプレー時には貴重な得点源としても活躍。高い打点からネットに突き刺すようなヘディングは彼のトレードマークだった。余談だが、オレが最初に生で観たマリノスのゴールは、2004年レッジーナとのプレシーズンマッチでの勇蔵さんのゴールだった。当時オレは小僧だったので、ピッチ内が大乱闘スマッシュブラザーズ状態だったことは覚えていないが、勇蔵さんのヘッドが突き刺さった瞬間はよく覚えている。
マリノスの栄枯盛衰を知るNo.4、ひとまず選手としてお疲れ様でした。今後もクラブに残ってくれるとのことなので、溢れるマリノス愛を活かして欲しい。あといきつけのサウナを教えて欲しい。
NBAシックスマン賞:遠藤渓太
スーパーサブというと聞こえは悪いかもしれないが、「ベンチに遠藤渓太がいる」というのは終盤のマリノスの大きな武器だった。スタメンこそマテウスに譲ったものの、バスケットのシックスマンのごとく、途中投入されたゲームにすんなり順応。その時々で求められるプレーを確実に実行する姿は、「困り眉をしたどこか頼りなさげな若手」という彼の誤ったパブリックイメージを粉砕するようだった。
とりわけ最終節、優勝を決定づけるゴールは彼がずっと試合中に試していた形だったと思う。対面のDFをちぎり、ファーサイドに突き刺す一撃を、誰あろう渓太が放った。ここまでドンピシャのタイミング、ドンピシャの配役でカタルシスを運んでくるのは、「ボヘミアン・ラプソディ」くらいではないだろうか。
このあたりからスポーツ感のない賞が続きます。
グッドデザイン賞:第26節vs広島(H)仲川輝人のゴール
バックドア、きれいにきまりました。ニアへのクロス、速め低めで出来栄え点も見込めますね。ワンタッチゴール、完璧な流れです。出来栄え点が加算されますね。(フィギュアの解説のように)
「負ければ優勝戦線脱落」のプレッシャーのかかったゲームで、これぞマリノスの得点パターンというゴールで先制できた。失点の少なさで知られる広島の堅固なブロックをかち割ったように、技術点、芸術点だけでなく演技構成点が高く、シーズンベストといえる一撃だったと思う。キスアンドクライとはいかなかったが、ボスとピーターはタカも巻き込んで抱き合っていた。
ちなみにルヴァングループリーグ札幌戦のチュンくんのゴールも素晴らしかったが、あまりに練習通りすぎるのと、札幌のカップ戦メンバーであることを差し引いて次点とした。
ユー○ャン新語・流行語大賞:#すべてはマリノスのために
「シャシン」と迷ったが、タオマフのモチーフにもなり、Twitterのトレンドもかっさらっていったこのハッシュタグを選択。スタジアムのバイヴスをぶち上げるだけでなく、金曜ロードショーの「バルス」祭りのような盛り上がりをも提供してくれるワードはそうそうない。大津兄貴、本当にありがとう!
さて、最後はMVP。
MVP:チアゴ・マルチンス
そのゴール数、攻撃の鋭さで名を轟かせた2019のトリコロール。しかしそのアタッキング・フットボールもこのしゃがれた声のブラジリアンDFがいなければ成り立たなかった。ハーフウェーライン近くまで侵出するハイラインを敷くマリノスにとって、その裏を反則じみたスピードでカバーするチーちゃんは守備の戦術兵器、まさに「置くだけ守備戦術」「ライン裏を掃除するゴツめのルンバ」だった。彼の存在それ自体が、守備における武器の1つだったのだ。
またスピードだけがフィーチャーされがちだが、チーちゃんも昨季に比べ成長を遂げた。とりわけノリと勢いと身体能力でやっていた1対1守備は、いつからか円熟味を増し、相手をじわりじわりとライン際に追い詰めるなどの賢い対応も披露。いつだったか、かの戸田解説員をして「すべてが丁寧」と言わしめた時には、去年を知る全チーちゃんクラスタは感涙したに違いない。少なくともオレはうるっときた。
同じようにビルドアップも多大な成長を遂げ、今までノリと勢いでやっていた攻め上がりもタイミングを見極めることで立派なハイプレス打開策になっt、、、いやちょっと待てさすがに相手ペナ脇まで行くのはアカンて。喜田名人すっかりCBの位置におるし。
また、開幕前のキャンプまではそう思わなかったが、かなりのムードメーカー気質も発揮。相棒のしんちゃんとの会話はもちろん、タカに絡みに行ったり、日本語を覚えていくなどコミュニケーションはバッチr、、、いやちょっと待てさすがにキャプテン指差して「ブス」はアカン。
「シャシン」に代表されるように、TheDAYでも撮れ高抜群のリアクションやコメントを残し、きっと映像制作班の皆さまも助かったに違いない。
そんなチーちゃんはヨーロッパ行きやブラジル帰還など去就が色々噂されたが、そこは俺たちのオグベンさん、見事完全移籍での獲得と相成った。
これまで以上に対策を敷いてくる国内のチームとの戦い、ACLのトンデモ助っ人FWたちとの白兵戦と血湧き肉躍る2020シーズンになると思うが、誰あろう彼なら安心できる。チーちゃん、今年もありがとう。来季も共に戦おう。
おわりに
短めにまとめるつもりがえらい長さになっちゃいましたが、賞賛コメントやお礼を言いたい選手については色々書けたつもりです。なんとか年内に間に合ってよかった。
2019年も1年、当ブログおよびキャスをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。新年2020年からは、当ブログのタイトルを改め、心機一転様々な角度からマリノスについて書いていくつもりでございます。レビューの頻度も、、、できれば上げたい。
それでは皆さま、良いお年を。
<この項・了>