【あと】2019年プレミアリーグプレーオフvs帝京長岡高校○4-1【ひとつ】

どうも、ノアイケおじさんです。今回はいつもと趣向を変えて、ユースの観戦記を。言っておきますが、レビューなんて高尚な代物ではないのでご注意ください。

 

ユースのリーグ戦「高円宮杯」とマリノスユースの立ち位置について

(※知ってる方、ユースヤ○ザの皆さまは読み飛ばしてください。そうでない人は下記シャシンのような女性講師をイメージしながら軽く読んでいただけたら幸いです。)

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まずは「プレミアリーグプレーオフってなんぞ?」ってところからご説明します。(この記事の最大の目的は、「ユース観るの興味あるけど、ぶっちゃけよくわからん」って方を沼に引き摺り込むためだったりするし)
ざっくり言うと、このプレミアリーグプレーオフはプロで言うところのJ2プレーオフと同じです。

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毎週のように行われている高円宮杯リーグ戦は、大きく2部に別れます。各地域の代表が集まるのが「プリンスリーグ」、そしてその上に東西で分けられた1部相当の「プレミアリーグ」があります。去年と今年、マリノスユースは2部相当のプリンスリーグに在籍し、上位に食い込みました。

そんな各地域のプリンスリーグの上位チームが一堂に会して、来年のプレミアリーグ参加権を争うのが、今回お話しする「プレミアリーグプレーオフ」です。「16チームを4つのグループに分け勝ち抜き戦を行い、各グループ1チーム、計4チームの勝者を決定する(JFA」一発勝負です。かなーり乱暴に言えば、2回勝てば昇格」です。

ただ、この一発勝負というのが厄介かつとんだドラマメイカーだったりします。たとえば去年のマリノスユース。彼らはJユースカップ(高円宮杯リーグ戦と平行して実施するカップ戦)を制して日本一のJリーグユースクラブとなりました。観る者の心を鷲掴みにする楽しいサッカーは、一大旋風を巻き起こしました。ただ、そんな2018マリノスユースも、プレミアリーグ昇格を逃しています。プレーオフ2戦目の尚志高校(福島)戦で破れたためです。一発勝負の怖さですね。

今年の2019マリノスユースは、素晴らしいチームながら昇格できずに散っていった先輩たちの姿を間近で見ていた3年生が牽引するチーム。トップチームがシャーレという15年の忘れ物を取り戻したように、去年の「忘れ物」を取り戻し来年の高みを目指す戦いと言えるでしょう。

と、今日の試合の位置付けとマリノスユースの立ち位置を説明したところで、肝心の試合の話に参りましょう。

プレーオフ帝京長岡戦の感想文、はっじまーるよー。

(メガネ女性教師のターンここまで)

 

テクニックだけじゃない「俺たちのサッカー」

今日の対戦相手、帝京長岡(新潟)はテクニシャン集団として名高いチーム。我らマリノスが誇る識者、Bunさんも警戒していた。

実際、試合中も帝京長岡の選手たちはここぞの場面で「俺たちのサッカーするよ!」と声を掛け合ったりしていた。磨き上げてきた自分たちの腕への自信があるんだと思う。

そんなテクい相手を前に、マリノスユースのスタメンはだいたいこんな感じ。(会場間違えてエディオンスタジアムの方行っちゃってキックオフ見逃したので帝京長岡のスタメン陣形に自信が持てない)

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リーグ戦でレギュラーGKとして君臨した寺門くん(2年)は負傷離脱中も、そこ以外はほとんどフルメンバー。来季トップチーム昇格予定のCFノアくん、RWG松田くんを中心とした前線の破壊力が持ち味となる攻撃的なチーム。

前半早々は帝京長岡ペース。基本線としては、前線からのプレスをしつつ、かわされたら即刻自陣に引き下がる形でマリノスユースを迎撃してきた。マリノスユース同様、前線のタレントが豊富だった。とりわけ来季の町田入りが内定している10番晴山岬くんは印象的だった。9番本田翔英くんとのコンビで左サイドから攻めの起点を作る。スピードの割にタッチ数が多いドリブルや、タッチライン際ギリギリのボールを残す足腰の強さは、マリノスで言えばテルに近いだろうか。

ただ帝京長岡で最も驚かされたのは、特定の個人というより各自のタフさだった。いわゆる「球際」「インテンシティ」の部分で、前半のマリノスユースは上回られていたと思う。テクニシャン集団という触れ込みからは想像できない球際の強さだった。おそらく狭めのスペースでの練習に慣れていて、奪われた後の切り替えが速かったりして即時奪回慣れしてるんじゃないだろうか。。なんて思ってたら失点。

前がかりハイプレスを抜けて何本かライン裏を狙えていたマリノスユース、立て直そうとCBに下げたところに、来季の京都入りが内定しているRMF谷内田くんが猛プレス。そこからボールロストしてしまい、GKが飛び出す。それをあざ笑うかのようなロングシュートが決まって失点。去年トップチームでよく見た「飯倉チャレンジ」である。

やり方としては合理的だった帝京長岡としては、完全にこれで手応えを得たのではないだろうか。その後の10分くらいは「自陣にブロックを構える帝京長岡vsそれをなんとか崩したいマリノスユース」の構図になっていた。

 

あの時と同じ「司令塔→トップ下」

帝京長岡のブロックを前にしたマリノスユースは、あの手この手でこじ開けようとする。LMFの津久井くんが右のハーフスペースまで寄ったり、CFのノアくんが中盤手前まで下がってボールを受けてタメを作ったり工夫をこらしまくった。しかしいかんせんサイドからの崩しに終始しすぎた。敵陣ペナルティエリア前までたどり着いた後のラストパスがクロス一辺倒になりつつあったのだ。
だが結果的にこのサイドアタックは、「中央攻撃の撒き餌」になった。ボールホルダーに群がる守備をする帝京長岡が、だんだんと中盤を空けて行くようになったからだ。

そして、そうして空けた中盤のスペースを使いながらボールを動かしていったマリノスユース、前半30分ついにブロックをこじ開ける。CMF吉尾くん(海夏の弟)からのブロックをすり抜けるパスで抜け出したOMF石井くんが、冷静に流し込んだのだ。

このゴールをアシストしたキャプテンを務めたボランチの吉尾くんは、「サイドアタックを続けていれば中盤が空く」と早い段階でわかっていたと思う。失点してからはサイドに簡単に叩いたり、ハーフスペースに寄ったりしてボールと相手の注意をサイドに寄せていた。このシーン、吉尾くんがバイタルエリアで浮いていたのは偶然ではなく、彼自身がゲームの流れをコントロールしてそう仕向けたからではないだろうか。たぶん。きっと。

このゴールを見て反応したのが、去年マリノスユースを中盤の底から支えた名レジスタ、土佐陸翼くんだった。

「真似」したとされるのが、去年のJユースカップの準々決勝札幌U-18戦の先制弾(だと思う。外れてたら超恥ずかしいけど)。

舞台こそ違えど、去年と同じようにボランチからトップ下へ、ブロックを寸断するようなパスが通り、鮮やかなターンから冷静に沈めるところはほぼ同じだ。どちらも観る側もプレーする側も痛快なゴラッソだったといえる。

去年のJユースカップでの快進撃のせいか、私の周りのマリサポさんでもユースを気にかける人が増えたと思う。だが「去年の榊原くんは上手かった」「去年と比べてどうか」という言葉を多く受けてきた。それだけ2018マリノスユースは魅力的なチームだったということだが、後を継いだ吉尾くんや石井くんはきっと責任重大だったはず。前任者を追いつけ追い越せと努力してきたのではないだろうか。そんな彼らが、先輩たちが見せたゴラッソをこのプレーオフの場で再現してきたのは、かなりドラマティックだった。

 

輝きを増すボランチと報われたFW

こうなるとマリノスユースは止まらない。同点弾から2分程度で、またしてもOMF石井くんがネットを揺らす。

白状すると見逃した。たしかショートコーナーからのエリア内の混戦からだったと思う。

さらにそこから5分程度すると、来季のトップチーム入りが内定しているRMF松田くん(筆者は勝手にえいたろさんと呼んでる)が質で殴ってゴール。

それまでサイドアタックの牽引役としてクロスにカットインにと暴れまわっていたえいたろさんだが、ここでいよいよゴールという結果に繋げてきた。彼は来季トップチームに昇格するので、うまくいけば遠藤渓太の突破を見守る会(a.k.a.遠藤渓太保護者会)の皆さまがそのままえいたろさんの名を叫ぶことは必定だろう。

前半は3−1とマリノスユースリードで折り返す。

後半は攻めざるを得なくなった帝京長岡がDFラインを上げてきたため、マリノスユースとしては、いかに自陣でボールロストをせずにラインの裏を突いていくかという流れに。
この展開でいっそう輝きを増したのが、吉尾くんと植田くんのボランチコンビだった。

吉尾くんは前目のポジションをとり、前線への配球役を担当。植田くんはその後詰めを行い、「松原健の生き霊が宿ったのか」ってくらい頻繁にSBをかますLSB池田くんの空けたスペースも管理していた。だが、植田くんもまたボールタッチの巧さやパスの正確性を売りとする選手だ。なので、ワンタッチで吉尾くん→植田くんと繋いで相手をおびき寄せ、がら空きになったサイドに振るなどの芸当も見せていた。モドリッチとクロースか君らは。

技能を活かして輝くボランチを尻目に、貢献しているのに成果がなかなか出なかった選手もいた。最前線に張るCFノアくんだ。回数を数えとけばよかったと思うくらい、ノアくんは帝京長岡のDFライン裏を狙って走りまくっていた。しかし、パスが長かったりファーストタッチがうまくいかなかったりでゴールには至らなかったのが、見ていて歯がゆかった。。

裏抜けだけでなく、ノアくんは大事な役割を多くこなしてくれていた。ラフなクリアボールは身体を張って身体を張って納める。ゴールキックなどロングボールが来れば競り勝ってマイボールにするなど、CFとしての仕事を粛々とやってくれていたのだ。

だが、彼の最大の武器はそういったいわゆる「大型CF」の役割ではない。長いストライドを活かしたスピードでの裏抜けも、彼の武器だしゴールパターンの1つだ。その抜け出し方は(大変失礼だが)決して上手くはないと思う。同世代でももっと裏抜けの上手いFWはいるだろう。だが、ノアくんは何度もスプリントを仕掛ける。しかもチームのために身体を張ったその後でも緩まず狙い続けるのだ。

そして後半25分、その努力がいよいよ結果となる。

何度でも身体を張り、何度でも愚直に裏を狙い続けるアタッカー。どうしたって応援せずにはいられない。だから彼がネットを揺らした時、私たちはありったけの歓喜を込めてこう叫ぶのだ。

 

おわりに

ドッキリな試合の入りではあったものの、終わってみれば4−1で大勝を納めたマリノスユース。悲願のプレミアリーグ昇格まであと1勝となりました。ただ、ここまでは去年のチームも駒を進めました。大事なのは次の2戦目も勝つこと。
2戦目は12/15()11:00から、札幌U-18とのゲームになります。王者となったトップチームサポの皆さま、ぜひぜひ若きトリコロールの継承者たちへ念を飛ばしてくださいませ!

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<この項・了>

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