【一流のマタギは】2019年J1リーグ第26節vs広島(H)プレビュー【焦らない】

はじめに

平素よりお世話になっております。「最近サ道に目覚めそう」系マリサポのお市でございます。水風呂がぬるいと「やる気あんのかな?」と思う©︎栗原勇蔵

さて、4位広島との直接対決がやってまいりました。(今回小ボケは少ないですよ)

広島と聞くと、どうにかこうにかテルの令和初ゴールで勝ち切ったアウェイ戦を思い出しますが、間違いなくその時よりもチームの練度と雰囲気は上がってます。なにせ向こうはリーグ戦11試合負けなしですから。我々も「夏の4-4-2地獄」を抜け出し、V字回復できたところ。お互いにいい状態でぶち当たる格好です。こいつぁ楽しくなってきたじゃねえの(震え声)

ただ、勝たなきゃいけない理由が我々にはあります。まだギリおぼろげに見えてるシャーレの面影がこれ以上遠のかないように、今のACL圏を確固たるものにするように、「勝利こそすべて」の精神で勝ち点3とりに行かなきゃいけないわけです。

こんな勝ち点3至上命題のゲームなんですが、私はあえて声高にして言いたいわけです。「崩し切って勝とう」と!(もはやこのメッセージ言いたいがために書いた節すらある)最少失点の広島を、前半戦やっとこさ倒した広島を、崩し切って勝ってほしい。それができたらチームの成長を確認できると思うんですね。

ってことで、手堅い広島をマリノスがどうやって崩すのかを、私なりに考えてみようかと思います。広島の試合を観た感想と、ここ最近のマリノスをベースにやってきます。
読んでいただく同志マリサポの皆々様におかれましては、うちの子のこんなプレーを観たら「サンキュー!」とサムズアップしようとかのポイント探しに使っていただけたら幸いです。ここに書かれていることができないからといってダメってわけじゃないですのでご勘弁。

それでは、マッチプレビューはっじまーるよー。

 

予想スタメン

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マリノス側は実は読みにくい。渓太とブンちゃんのコンビは共に代表帰りなので、疲労がありそう。だが、LSBの候補わー坊は契約の都合上広島戦出場できず、LWGの候補マテウスは負傷していて出場できるかはわからない。なのでいったん前節と同じメンバーを予想。

対する広島側は怪我人が続出している。前線の核となるドウグラス・ヴィエイラ、レアンドロ・ペレイラが揃って負傷しマリノス戦は難しそう。恐らく渡がファーストトップを務めるだろう。シャドーに入って前線にアクセントをもたらす森島司も離脱していたのでスタートからはいけるかどうか。ルヴァン杯札幌戦同様に川辺をシャドーに上げて青山を入れるかも。

 

広島風5-4ブロック

広島風お好み焼き的なノリです。(明らかに喧嘩を売りに行くスタイル)

すでに何人か言及されているとおり、広島の守り方はWBが下がり、シャドーが下がる5-4-1の形。

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ただ、この守備陣形は「持ち場を守る」意識よりも、「ボールを持った相手を潰す」意識が強い。4-4-2の並びを守り、一人当たりの守備範囲を狭くし続けたセレッソの堅守とはまた違った守備の仕方をしている。縦横の幅もセレッソとは大きく異なり広め。見方によっては「間延びしている」ともとれる陣形だ。WBはタッチライン際に張り、横に広く陣形をとる。3CB+WBの「5」のラインは低めなので、縦幅も広い。

磐田戦やルヴァン札幌戦を見る限りは、前線からのプレス(前プレ)はあまり連動してなさそう。前プレはそこまで積極的では無いと思う。プレスのキッカケも、誰かが動いたらそれに吊られて、という形が多い。
ただ、これも途中加入のレアンドロ・ペレイラがCFに入っていて、プレスの一番手だったのが原因かもしれない。渡がCFに入った場合はプレスの開始タイミングが整備されて、上手くやってプレスをしてくる可能性はある。「1人でチャンスを作ってゴールまで」というペレイラの恐ろしさは失われたかもしれないが、守備面はむしろ脅威が増したとしても不思議ではない。

ブロックは築くけどスペースより人をみている、縦横に陣形が広い、前プレは積極的では無い。そうなると自ずとスペースは空いてくる。ラインを構成する選手の間(A地点)や、いわゆる「ライン間」と呼ばれる5と4の間(B地点)は空いていて使えそう。

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だが、広島はここを突破されても焦らない。ボールを自陣深く運ばれたあと、統率のとれた5バックの守備で跳ね返せるからだ。ボールを「5」の前まで到達されるまでにチーム全体が戻りきり、守りやすい状態を作る。いわゆる「守備からリズムを作る」チームだと思う。ボンバーと勇蔵の爆栗コンビを筆頭とした守備でもって守りきり、カウンターへ繋げる「堅守速攻」を知るマリサポのみなさまなら、わかっていただけるのではなかろうか。

城福監督は前節磐田戦後のインタビューで2、3回「能動的に守備する」という言葉を用いて自軍の守備を評している。それは何も、高い位置から前プレをかけてボールを奪ってショートカウンター!みたいな湘南っぽいやり方「だけ」を指しているわけじゃない。得意な形に引き込んで、カウンターの芽を作るのも十分「能動的な守備」ではなかろうか。相手の攻撃のスピードを緩め、自陣に戻りきって守りやすくする。そして一気にカウンターへ繋げる。なかなか崩せない、負けない広島の真骨頂といえよう。

 

広島風高速カウンター

(いちいち”広島風”をつけて煽ってるけど、中身は結構広島褒めてます)

ではそんな負けない広島の攻め手は何かと言うと、前線+WBのスピードとテクニックを活かしたカウンターではないだろうか。守備時には若干「間延びしてる?」と思いたくなる5-4ブロック。セレッソのようなコンパクトな守り方に比べてやりにくさはある。だが実はこの距離感こそ、スピード溢れるカウンターに長けた広島にとっては最適解だったりする。

その理由が、ボールを奪ったあとスペースの広さとボール回しの速さにある。
まず前者はボールを奪った瞬間「使われていた」スペースは、「使っていい」スペースに変わる。中盤の選手は余裕を持ってボールを持てるし、WBは快足を飛ばして裏を突けるし、perfumeならワンルーム・ディスコを踊れる(申し訳程度の広島要素)。
ボールを奪われたチームは、ワンルームどころの騒ぎじゃないスペースを与えたらまずいということで、空いているスペースを消しにかかるし、ボールを奪いにいく。だが、広島のパス回しは速く、そうしたプレスをものともしない。

このゴールは普通に自陣でポゼッションをした後決めているゴールだが、注目していただきたいのは、迷いなくボールを回していること、そして各自の繋ぎにミスがないこと。この流れるようなパスが自陣からのカウンターで発動する。映像がなかったので例示できないが、
「ボールを奪う→縦パス→斜めに落とす(レイオフ)→斜め前のスペースへパス→チャンス」というシーンはルヴァン札幌戦で割と多くあり、この形で自陣からガツガツガツガツボールを進めてくる。

これも守備で耐えながら、ボールから離れた選手がカウンターに備えながら位置を取る、という基本が徹底されているからできる技だし、個々の選手に確かな技術があるからできる技だと思う。広島を守備だけのチームと見積もらず、「堅い守備陣と素速いカウンターのひと刺しを持つチーム」と捉えて戦いたい。

 

ラスト1/3を超えていけ

こうした広島のブロックを前に、マリノスはどうすべきかを考える。

先述のとおり、広島の5-4ブロックは隙間が割と空いている。ここを使わない手はない。なので、割と敵陣にボールを運ぶことはできそう。問題はその後。相手のゴール前、もっというとピッチを3等分した時の相手側1/3をどう崩すかが重要だ。

実はこの問題はガンバ戦でも起きていた。下の図は、ガンバ戦でのマリノスの位置ごとのパス本数を可視化したパスソナー。左が前半で、右が後半。

 

 

 

前後半ともにハーフウェーラインあたりでのパス本数が明らかに多い。ガンバ戦も相手陣地でプレーする時間が多かったが、それを裏付けるデータだと思う。

一方、前後半での違いとしては、後半の方が自陣でのパス本数が多いことがわかる。だが、前後半どちらが攻撃がうまくいっていたかを考えると、後半だと答える人が多いのではなかろうか(まあ2週間前の話だから私はぼんやりとしか覚えてないけど)。事実、SofaScore.comによると、エリア内でのシュートは前半3本だったのに対し後半6本と倍増。ゴールも後半2点とっている。

この理由は、前半が「攻めすぎた」ことにあると考える。つまり、ボールを敵陣に運んだはいいけれど、その分相手の陣形も狭くなってしまい、つけこむスペースがなくなってしまったのではないか、と。反対に後半はパトリックがブンちゃんを狙い撃ちしたり、りくとがアデミウソンに狙われたりと攻められる回数が増えた。危険は増したが、その分ガンバの陣形も縦に間延び。マリノスが使いたいスペースが生まれ、エリア内までボールを運べるようになった。

となれば、今回も近しい状況が起こってもおかしくないと思う。ボールを意気揚々と運んだはいいものの、5バックに苦しみ攻めきれずヤキモキする、、、というガンバ戦の前半みたいな展開は大いにあり得る。

だからこそ、相手を引きつけてスペースを作り続け、広島が守りにくい形でエリアまで到達する必要がある。たしかにブンちゃんのミドルシュートや、エリリンやクリリンの無理やりな突破でゴールをかち割って、あとは必死に守ってウノゼロなんてのもいい。勝ち点3がどうしても欲しいゲームだからだ。しかし、この試合こそ、堅い広島相手だからこそ、崩すことを最後まで諦めず、相手を引き出すチャレンジは続けて欲しいと思う。イージーに見えるゴールを叩き込み、攻めきって勝ってこそ、2年に渡って突き詰め続けた「勇猛果敢なアタッキングフットボール」の成熟具合を内外に知らしめることができるからだ。

決して縦に急ぎすぎず、焦らずじっくりと相手のブロックを崩していく。焦らず確実に仕留められるよう仕向けてこそ、熊を仕留める一流のマタギになれるはずだ。

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おわりに

結構さくっとですが、無理くり書いてみました。チーム成長の手応えを得つつ、シャーレとACLへの勝ち点3をモノにする。世のビッグクラブはこれの繰り返しで伸びていったんでしょう。もう一度常勝軍団になろうとしているマリノスには、ここを是非モノにしてほしいですね。それでは皆さま、三ツ沢でお会いしましょう!

P.S. ちなみに私がプレビューを書いたホーム神戸戦、予想スタメンはがっつり外してますが試合は勝ってます。広島戦もいけるに違いない。

<この項・了>

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